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今週号の「ニューズウイーク日本版9・22」に野上義二新駐英大使に関する記事が掲載されている。
英国デーリー・テレグラフ紙東京支局長コリン・ジョイス氏によるもので、「外務省人事は笑えない喜劇 − 官僚:田中元外相とともに更迭された前次官を駐英大使に抜擢した非常識にイギリスもびっくり」とタイトルが付けられている。
P.20〜
「<前略>
日本政府は9月10日、野上義二駐英公使を駐英大使に起用することを決めた。駐米大使に並ぶ高い地位だ。野上は外務事務次官だった2002年初め、一部のNGO(非政府組織)がアフガニスタン復興支援国会議に参加するのを拒否した問題で、当時の田中真紀子外相と対立、国会を混乱させたとして、田中とともに更迭された。
国民は田中の外務省改革を支持していた。野上は、その田中に徹底抗戦した鼻持ちならないエリート官僚のトップだった。その復権を、世論が歓迎するはずはない。
日本は、官僚の策謀には慣れっこになってしまっているようだ。日本の新聞の多くは、野上の復権をついでのようにしか報じなかった。なかには、駐イラク大使が13年ぶりに復活したことを見出しにした記事で、さらりと触れただけの新聞もあった。
<中略>
抗議の声を上げた野党はたたえられるべきだ。民主党の米沢隆衆議院外務委員長は、この人事は国民を軽視するだけではなく、次官経験者の大使就任を禁じた川口順子外相の私的諮問機関の提言を破ることになる、と声明を出していた。特定の外交官の力が強くなりすぎるのを防ぐための改革提言だ。
しゃくし定規の官僚にルールを曲げさせるのは不可能に近い。だが日本の官僚は、すきさえあれば身内のためにルールを曲げる。それも、影響力がありすぎるとして批判されている身内のために。
テレグラフの編集者たちは私に聞いた。なぜ外務省は野上のためにそこまで便宜をはかるのか。他に適任者はいなかったのか。ほかに希望者はいなかったのか。考えつく唯一の説明は、田中と刺し違えた野上の「功績」に報いる人事だった、ということだ。
けっこうな報酬だ。田中は先週、外国人記者クラブでの会見で、「野上は妻がイギリス人で、以前、英国大使になりたいと言ったことがある」と語った。西側のある外交官はこう言う。「英国大使のポストはすこぶる居心地がいいはずだ。外交上の大きな争点もないし、有力者と親交を深める機会はふんだんにあるし、ロンドンの豪華な公邸にも住める。楽しくて仕方ないだろう」
野上は更迭後も謹慎していたわけではない。02年9月に駐英公使に任命され、英オy率国際問題研究所(チャタムハウス)の上席客員研究員を兼務していた。ロンドンのある外交担当ジャーナリストは言う。「奇怪な話だ。日本大使館の名簿には、貿易担当や政治担当などの公使に続いて、チャタムハウス担当の野上公使が出てくる。こんな担当があるものか」
<中略>
小泉純一郎首相が「けんか両成敗」として田中と野上を同時に更迭したとき、彼は善悪の区別などかまっていられない疲れた学校教師のようにみえた。
そして先週、野上の英国大使起用を承認した小泉は、改革を頑として受け入れない官僚たちにすっかり消耗させられた『イエス、ミニスター』の主役の大臣にそっくりだった。
<後略>」