現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙5 > 431.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0809.HTML
2004.9.5
加藤紘一氏動く
「時は奇跡を行う神である」(シラー)。
小泉政権限界説が広がるなかポスト小泉への動きが活発になってきた。亀井静香元政調会長、谷垣禎一財務相、平沼赳夫前経産相、高村正彦元外相、藤井孝男元運輸相、野田聖子元郵政相、福田康夫前官房長官らの名があがるなかで、最近とくに注目を集めているのが加藤紘一元幹事長の言動である。
加藤氏は4年前の“加藤の乱”の失敗のあと、事務所長の不祥事の責任をとって衆議院議員を辞職。自民党離党。3年に及ぶ試練と忍耐の時期を経て2003年11月の総選挙を無所属で戦い当選。その直後、小泉総裁(首相)の強い要請を受けて復党。その後は派閥に復帰することなく、自由な立場を貫いてきた。
政界復帰後の加藤氏は、ブッシュ大統領のイラク戦争への反対を公然と表明し、米国に従ってイラクに自衛隊を派遣した小泉政権を強く批判。さらに米国追従ではなく、米国とも中国とも対等の自主的外交を主張している。
国内の経済運営について、加藤氏は4万人近い自殺者が出ている現状を重視し、これを止めなければならないと警鐘を打ち鳴らす。国民が自分自身と日本の将来に希望を失っている結果だとして、国民が希望を持つことができるような経済政策をとるべきだと強調する。加藤氏は自然尊重、、教育重視を主張している。
このような政治理念と政策を「加藤ビジョン」として近く発表するようである。このために加藤氏は多くの識者と精力的に意見を交換し、「加藤ビジョン」の構想づくりを急いでいる。
加藤氏をめぐる動きのなかで最近注目を集めたのが8月30日に行われた「新YKK」の会合だ。「新YKK」とは、加藤紘一元幹事長、山崎拓前幹事長、亀井静香元政調会長の三氏。今後もこの会合は続くようである。
加藤氏は無派閥だが、亀井氏は衆院29、参院17、計46の両院議員を擁する志帥会の会長だ。志帥会は党内第三の勢力をもつ。山崎氏も山崎派(衆院25、参院4、計29)の会長だ。加藤、亀井、山崎三氏が結束すれば、76議席をもつ巨大勢力となる。これは森派をわずかだが越える。旧橋本派が日歯連事件で壊滅状態に陥った状況下、新YKKが結束すれば、その力はあなどりがたい。これは仮の話だが、もしも三氏が加藤紘一氏を中心に結束し、加藤政権樹立の方向を固めたとしたら、自民党内の情勢は一変する。
私は以前から小泉構造改革は、1960年代末から約10年間中国全土に吹き荒れた毛沢東による中国文化大革命に似ていると指摘してきた。文化大革命は一時は高揚したが成功しなかった。破壊は一時的には国民大衆を熱狂させても長続きしない。結局、中国社会を混乱させただけだった。文化大革命で傷ついた中国を再生させたのはトウ小平だった。トウ小平は七転び八起きの苦難の末、中国の真のリーダーとなり、中国を破壊革命から救った。
小泉構造改革は過去3年半、日本社会を混乱に陥れた。加藤氏は、文化大革命による混乱を収拾し立て直したトウ小平によく似ている。
加藤紘一氏は大平元首相の愛弟子である。加藤氏は小泉首相のような「極端から極端へ」の政治、対立と抗争の政治を否定する。めざすのは「調和と安定の政治」だ。戦争に強く反対し平和を愛する。理想を持った現実主義者である。
政界の動きは早い。すべてが相対的である。加藤氏はポスト小泉の有力候補の一人として見られるようになってきた。穏やかな性格の平沼、谷垣氏ら「中二階組」に比べると、先輩格の加藤、亀井氏らの新YKKは力強い。
注目されているのは11月2日の米大統領選だ。民主党のケリー候補が勝てば、ブッシュ大統領と一体的な小泉首相の立場は苦しくなる。永田町に「小泉首相〇五年夏までの退陣」説が流れるなか、加藤氏がじわりと前へ出てきた。ケリー当選・ブッシュ敗北という事態になり、小泉首相の立場が傾けば、政変が一年以内に起こる可能性が高まる。加藤氏ら新YKKの動きが台風の目になるかもしれない。
(以上は9月4日付け四国新聞に「森田実の政局観測」として掲載された小論です)