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【日本経済一歩先の真相】
2004年8月7日 掲載
郵政改革で浮上したムチャクチャな方針
http://www.gendai.net/contents.asp?c=036&id=15525
郵政民営化論議が本格化してきたが、小泉首相が何をしたいのか、どんな郵便局の姿を描いているのか、いまだにサッパリ分からない。
小泉さんは、郵政民営化について「ムダを省き、効率化するため」と説明している。既存の民間金融機関や運送会社との競争になれば、良質なサービスを安く提供しようとするし、収益が上がれば税金を徴収するから国庫が潤うと強弁している。
しかし経営の効率を求めれば、山間、へき地、離島は言うに及ばず、ちょっとした町の郵便局だって閉鎖に追い込まれかねない。日本のお手本は、90年にドイツで民営化されたドイチェ・ポストだ。そのドイツで起きているのが、まさにこれ。民営化後は、不採算地域からの撤退がどんどん進んでいる。民間企業としてシビアに競争すれば、これは当然の成り行きである。
そこで出てきているのが、郵便、郵貯、簡保の3事業について、全国一律のサービスを法律で義務付けるという方針だ。郵政公社の生田総裁も、「地方にとって郵貯と簡保は欠かすことができないインフラだ」「経営者の判断に任せれば、サービスに限界が生じる」と義務化を歓迎している。
これは驚きである。業務内容や経営方針を法律で縛られた民間企業なんて聞いたことがない。企業にとって進出、撤退は経営上の重要なテーマだ。それを経営責任のない第三者が決めるようでは、ムダなんて省けない。つまり、効率化なんて絵に描いたモチなのだ。
3事業を分離し、持ち株会社が統括するという方針にも疑問が残る。金融界では三菱東京と三井住友がUFJの奪い合いをしている。しかし、ヤマト運輸や日本通運を奪い合うことはない。業務上の関連がなく、メリットはまったくないからだ。ところが民営化後の郵便局は、民間では考えられない「金融運送会社」を目指すのである。
小泉さんは、「民間でやれることは民間に。民間でやれないことを政府がやる」と言っている。この原理原則に従うと、持ち株会社の下に置かれた3事業が一体のままで全国一律のサービスを提供するなんて、民間にはできないことなのだ。となると、郵政事業は政府がやるしかないということになる。
採算を考えれば閉鎖確実の山間、へき地、離島の郵便局に限って政府が運営し、既存の民間企業と競合するような都市部の郵便局は閉鎖する。郵政改革の目指すべき道は、これしかないはずである。