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政府は4日、構造改革特区に限って認めている株式会社による農業経営を、全国的に解禁する方針を固めた。
株式会社が、農地を借りる賃貸方式で経営に参入できるよう農地法を改正する。2005年の通常国会に改正案を提出する考えだ。
現行の農地法は、農地の賃貸利用について、経営陣の過半数が農業関係者で構成される農業生産法人か農家にしか認めていない。利用権の移動を制限し、農地を維持するためだ。
しかし、政府は昨年4月に導入した特区制度で、地域限定措置として株式会社などの賃貸利用を認めた。
これを受け、今年4月の時点で、38法人が特区での農業経営に参入している。山梨県では、ワインメーカーが畑を借りてブドウ栽培からワイン製造・販売までを手がけ、一貫した品質管理を売り物にした事業を展開している例がある。
政府は株式会社の農業経営参入を全国的に認めることで、こうした特色ある農業経営が広がると見ている。また、農家の高齢化などにより、耕作放棄地が21万ヘクタールにも及ぶ「農地の空洞化」の解消にも役立つと判断している。
農水省は当初、株式会社による農業経営には、「利益が上がらなければ経営から撤退し、農地の荒廃を招く」と否定的だった。特区で認めた規制緩和の全国展開を検討する構造改革特区推進本部評価委員会のヒアリングでも、同省は「全国展開の弊害の有無が判断できない」と消極姿勢を示していた。
これに対し、評価委側は、「特区では現時点で成功と判断できる例も多い」と主張し、農水省も「全国的にも株式会社の参入が期待できる」と方針転換して全国展開に踏み切った。
◆農地法=戦後の食糧難時代の1952年10月に施行された法律。耕作者の農地取得促進と権利保護、地位の安定と農業生産力の増進を目的としている。所有権や利用権に関しては、農地を購入・賃借する場合は最低でも50アール(北海道は2ヘクタール)以上であることを義務付けるなど厳しく制限している。農水省は近く取りまとめる「食料・農業・農村基本計画」の中間報告で、農地法の見直し方針を盛り込む方向だ。
(2004/8/5/03:04 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20040805it01.htm