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★天木直人・マスメディアの裏を読む─天木直人がマスメディアの裏を徹底的に斬ります。8月3日
<堀江貴文(31歳)と小泉純一郎(62歳)/小泉首相の抱えた爆弾/小泉首相を悩ます小さな難題/在日米軍再編問題と外務省/> 8月3日
○堀江貴文(31歳)と小泉純一郎(62歳)
近鉄球団の買収発言で連日メデアに露出している堀江貴文という人間に多大の関心を覚える。最近の殆どの経済雑誌が彼を取り上げているのも彼の生き様にこれからの企業戦士に訴えるものがあるからであると思う。以下は週刊エコノミスト、日経ビジネス・アソシエなどの記事から読み取った私の堀江、小泉比較論である。
私がこれまで最も関心を持ってきた人間は小泉首相であった。勿論ネガテブな意味からである。よくこれだけ無能で不勉強な人間がこの国の首相にとどまっていられることか、そして国民はよくそれに我慢していることよ、なんとか一日も早く小泉の化けの皮を剥がせないものか、というのが私の関心であり言動の根源であった。
8月3日の臨時国会の代表質問の答弁を聞いていても、小泉首相は参議院選挙の敗北にもかかわらず相変わらず開き直り答弁を繰り返して恥じない。しかし私はもはや小泉首相にはさしたる関心を持たなくなった。あるのはただ一つどのように幕が引かれるか見届けたいということだけである。任期いっぱいまで粘ってその間に人気回復の奇策や愚策を次々と打ち出そうと目論んでいるのであろうが、そもそも彼と彼をとりまく同僚議員や官僚には今の日本をとりまく諸問題を根本的に解決する能力はない。国民が本当に愛想を尽かすときが来ることは時間の問題である。今の彼は凋落していく権力者の兆候のすべてを漂わせてきた。もはや興味はない。
一方において堀江の言動は私の興味を惹き付けてやまない。プロ野球の将来がどうなるかは私の関心ではない。読売の渡辺恒雄やオリックスの宮内義彦などの旧体制のドンを「老害」「過去の経営者」という激しい言葉で一刀両断し、あらゆる非難にもひるまずTシャツで押し通している31歳の若輩に、この国のある種の突破口を見るからである。
考えてみると堀江は小泉首相と対極にある生き方を示していると思う。三世議員の小泉は自らの学歴、経歴をごまかして不明な形で政治家になり、派閥政治の中を得意の政局遊泳術で泳ぎ、政治家としての中身もこころざしも見るべきものがないままに総理になった。そして間違って得た総理の絶大な権力を、国民のために使うのではなく自らの私欲に乱用する、私にとってもっとも軽蔑したい人間である。
堀江は違う。平凡な家庭に生まれた彼はアルバイトで見込まれた才能を、サラリーマンと言う組織で時間をかけて出世するという道をハナから選ぶことなく一人で事業を起こす。日本というブランド志向の社会の中でそのような生き方は困難だということを自覚し、最低限のブランドとして東大を目指したところに彼の実力としたたかさがある。女性スキャンダルやITベンチャー企業の危うさなど彼を貶める風評は後をたたないが「それらは突出する者をたたく常套手段でしょう」とひるまない。「金があればよいというもんじゃあない」とか「身分をわきまえろ」というような老いた権力者が、野球フアンや選手たちの反発をくらい、誰もが楯突かなかった権力者の「裸の王様」ぶりが露呈されることは痛快なことである。彼のような人間が政界に現れれば小泉政治のいかさまなんかあっという間に吹っ飛ぶことであろう。
○小泉首相の抱えた爆弾ー安否不明者の究明
2日のニュースで一斉に報道されていたが「特定失踪者問題調査会」は「拉致の疑いが濃厚」な32人について早急に調査した上で拉致被害者と認定するよう求める要請書を内閣府に提出した。その中には脱北者が最近持ち出したという写真が失踪当時の不明者に一人に酷似している者もいるという。私は民間の有志の団体がここまで一生懸命に情報を集めて拉致被害者の救済に取り組んでいるというのに日本政府の本件に関する努力は一体どうなっているのかと常に疑問に思ってきた。日本政府といっても警察はかねてから情報収集に努めてきたが北朝鮮との国交正常化の進展を慮って政治家や外務省が抑制してきたのだ。その基本的な構図は「たかが10名程度の拉致者のために国交正常化という大事業が阻まれてはならない」という外務官僚の本音に現れているとおり小泉政権においても変化はない。それどころか人気取りで行われた二度に亘る小泉首相の訪朝をなんとか失敗に終わらせることなく面子を保とうとする小泉首相と外務官僚に至ってはこれまでのどの政権よりも売国的である。
それにしても「国交正常化の交渉再開の時期が来た」と繰り返す小泉首相は次から次へと民間団体が調べ上げていくあらたな情報を前にどのように北朝鮮と交渉して行こうというのか。小泉首相は記者会見で「いろいろな情報が入ってきますからそれらを参考に建設的に対応していかねばならない」というような趣旨の事を平然と述べていたが、内心は「面倒な事になってきた」と舌打ちしていることだろう。
実際問題として北朝鮮は横田めぐみさん以下の10名の安否さえも明確な回答をせずに「これ以上はわからない」とし日本側もさらに継続するという形をとって一件落着にしようとしているのである。そんな日朝当局の思惑に反してあらゆる不明者の究明を求められても対応できるはずはない。しかしその一方で国民感情として、もはや明らかになったここまで組織的に行われた北朝鮮のわが国国民の安否をうやむやにして国交を正常化し経済協力を進めるわけにはいかないであろう。わが国はもっと多くの北朝鮮の人を強制連行したではないかと主張する人たちも日本人の安否不明者を不明のまま放置すればよいということではないであろう。要すれば小泉首相と外務官僚は双方の過去の過ちを認め合い本当の意味の国交正常化交渉を行わねば日朝間の関係が信頼と敬意に基づいたものにならないということを知らなければならない。
その場しのぎの対応に終始してきた小泉外交がこの問題をどう乗り切ることができるのか。パフォーマンスに専念してきたツケが一気に噴出すかもしれないのである。
○小泉首相を悩ます小さな難題
北朝鮮問題に比べればはるかに次元が低い話であるが、3日の読売新聞は囲み記事として、田中外相更迭問題で相打ちの形で更迭された野上前外務次官が駐英大使としてカムバックすることを官邸が認めるかどうか、という事を取り上げている。実はこれは興味深い記事なのである。出世がすべての官僚の世界で野上が駐英大使になれるかどうかは外務官僚にとって大問題なのである。あの時野上は田中外相を身を挺して更迭に追い込んだということで、信じられない話であるが「外務省を守った」と豪語して外務省の職員から評価されたという。そうであれば「ほとぼりがさめるまで英国で時間を潰しそのうち機会をみて復権させる」という論功行賞の裏約束があってもおかしくない。
しかし官僚の世界の論理と世間の常識とはまったく異なる。もし小泉首相が外務官僚に押し切られてこの人事を認めることになれば「改革、改革」と叫び続ける小泉さんの命取りになるかもしれない。
おりから川口外務大臣が胸を張って外務省改革を発表したばかりである。外相としてまったく成果を示せずに9月の内閣改造で首になる川口さんには、勝負服である赤い服でも着て、「次官を最終ポストとする」という諮問機関の提言に耳を傾けて、最後くらいは外務官僚の操り人形をやめる気概をしめしてもらいたい。外務大臣にならせてもらった主君小泉を守るためにもそうすべきである。しかしあの人にはその勇気もない。文字通り何も出来なかった大臣で終わるであろう。
○在日米軍再編問題と外務省
外務省が今緊急にやらねばならない仕事はなにか。すくなくともその一つは「テロとの戦い」に急速に対応しようとしている米国の安全保障政策に呼応するわが国の安全保障政策の策定である。その際の基本はどのように効率的にわが国の国民の安全を確保するかということである。防衛庁はいち早くあたらしい防衛計画の大綱を年末までにまとめその中で装備の効率的な強化と自衛隊機能の強化を打ち出している。これに対して外務省の対応はまったく見えてこない。
そんな中で3日付の朝日新聞は竹内外務次官の驚くべき記者会見での発言を載せた。「そもそも米軍の側から始まっている問題で、提案は米側から出てくる」と述べただけで日本側からは在日米軍基地の再編について具体的提案をなにもしないと明言したというのだ。おりから前日には神奈川知事が川口外務大臣を訪れて基地縮小の住民の意向を伝えている。国民の願いをハナから米国に伝えようとせずすべては米国の提案を待って米国の要望をいかに満たしていこうかと腐心する。面倒な仕事は敢えて取り組もうとはせず、どうでもよいことばかりに多大なスタッフとエネルギーを費やして仕事をした気になる、これが外務省の実態である。
その記事が掲載された同じページに、看板を変えて機構改革を開始したと喜んでいる川口大臣の笑顔の写真が掲載され、その上には日本の国連安全保障常任理事国入りへの取り組みを強化するために川口外相を本部長とした国連強化対策本部が始動したという記事がでていた。米国のイラク攻撃を支持し国連を踏みにじった日本に常任理事国入りの資格があるのか、そもそも日本の常任理事国入りを心から願っている国が米国を含めて存在すると思っているのであろうか。外交とは正しい情勢認識からはじめなければならない。さもなければ空回りするか間違った方向に漂流するばかりである。
<8月3日以前の記事紹介>
8月2日 日米関係の底の浅さ/ 警察の裏金疑惑/小泉首相の残された任期
7月30日 ここまでなめられて国民は黙っていられるのか
7月29日 官も民も仕事の質が問われている
7月28日 発言をしない世の中/フーマンスの陰で日本が置き去られてい
7月26日 機構改革を繰り返す外務省の悲しさ
7月23日・アーミテージの「憲法9条は日米同盟にとって邪魔者である」発言
7月22日 小泉自民を襲う総無責任体制 他
7月19日 日本の大手新聞の分裂記事他
7月17日 フォーブス誌ロシア版編集長殺害