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国や地方自冶体などが業務遂行課程で作る文書は、国民、住民の共有財産である。現在及び将来の主権者、研究者が各段階の意思決定を検証できるよう、万全の保存システムを確立すべきだ。
国民、住民から負託された権力を行使する公共機関は、自らの意思決定や行動について説明する責任を有している。国民主権原理から言って当然のことである。しかし、説明責任は現在の主権者に対してだけあるのではない。将来の人々にも及ぶ。過去を振り返り学ぶことは社会の健全な発展のために重要である。
公正な意思決定が為されたか否か、国民はどのような反応を示していたのかなど、成功や失敗を検証するために公文書は欠かせない資料だ。歴史遺産とも言うべき広範な公文書を適切に保管し、利用しやすい制度を構築し運用するのは国などの責務である。そうした仕組みがあるかどうかは、その国の民主主義の成熟度を考える指標の一つと言える。日本では国立公文書館の職員は四十二人しかいない。
同種施設の職員は、米国二千五百人、カナダ六百六十人、中国五百六十人、英国四百五十人、フランス四百四十人などとなっており、日本と諸外国の体制の差は歴然としている。保管文書の内容も危機的状態だ。江戸時代や明治時代の資料は比較的充実しているが、所得倍増計画、公害問題など戦後の政策、社会的事件に関する文書はごく断片的なものしか保管されていないと言う。
各省庁から移管されたものは個々の許認可に関する文書が多く、政策決定に関する資料は少ない。このままでは日本の近代史に光を当てることが出来なくなってしまう。勿論職員数だけの問題ではない。公文書に関する意識の低さが背景にある。保存期間が過ぎたからといって行政機関が安易に破棄することが多い。公文書館への移管基準が不明確なため移管が円滑に行われない、といった事情もある。
あるべき公文書保存策を議論してきた、内閣官房長官の私的懇談会が先に提言をまとめたが、内閣として本格的に取り組むべきだ。提言は、「中間書庫」の仕組みを作り、重要文書は各省庁で使用中でも公文書館が集中的に管理して散逸を防ぐ、移管基準の明確化、資料を選別、評価する専門家制度の導入ーなど具体的かつ詳細だ。歴史記録というだけではなく、将来の発展への礎でもある公文書の保管利用策の充実を、内閣の重要施策に採用すべきである。