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何が変わったというのか――第20回参議院議員選挙総括
あえて率直に言おう。この選挙の結果あぶり出された事実は、選挙民の意識は結局のところ一部を除いてほとんど変わっていないのではないか、ということである。
まず地方、特に西日本を中心に起きた、一人区での民主党および民主党系無所属候補の大健闘であるが、これは1人区で民主躍進の9、自民は11減の14(読売新聞)の記事中に
公共事業を抑制するなどの小泉内閣の構造改革路線に対し、「地方の切り捨てにつながるなどの批判が強かった」(自民党幹部)ことも響いたと見られる。国と地方の税財政を見直す「三位一体」改革に伴い、地方財政が悪化し、地方の不満も強まっていた。
とある通り、「カネをばらまいてくれないなら、自民党に投票する意味がない」と、いままで同様「利権分配」を地方の選挙民が求めていたことを如実に示している。
次に比例代表で竹中平蔵氏が公明党を除く候補の中でトップ得票を得て当選したことについては、ひたすら民間から起用された大臣としての知名度がものを言ったわけで、決して
経済界、構造改革の推進求める・参院選結果(日本経済新聞)の記事にあるように
(経済同友会代表幹事の)北城氏は竹中平蔵経済財政・金融担当相の当選について「構造改革の本格的な取り組みを願う国民からのメッセージだ。国会議員としての立場をいかし、郵政民営化や社会保障改革など、構造改革の推進にますます活躍されることを期待したい」とエールを送った。
などという「財界にとって都合のいい解釈」をされては困る、非常に頭の痛い投票行動の結果なのである。
そしてもうひとつ、今回の選挙では「年金問題で国民の怒りが爆発」したことになっているようだが、本社出口調査/「年金改革評価しない」 自民投票者でも36%(朝日新聞)の記事に
政府の年金問題への取り組みを「評価しない」とする有権者は全体で56%に達したが、選挙区で自民党に投票した有権者だけをみても36%に上っている。
とあることから、実はそれほど投票を左右するような「争点」にはなっていなかったのではないか、と思わざるを得ないのである。イラク問題などなおさらである。
さて、唯一変わったことがあるとすれば、都市部の有権者の行動である。「全国の地方区でのトップ得票を得たのが神奈川での自民党公認候補」「三人区のうち大阪・埼玉、また四人区東京での自民党・公明党公認候補のダブル当選」に見られるように、実は都市部の有権者に与党系候補者が大きな支持を得て、この四つの府県の合計では野党より与党の当選者の方が多くなった、という厳然たる事実。そしてこのことにより、地方の民主党健闘を打ち消し、結局「どちらが勝ったとも言えない」微妙な結果を生みだしたことは、大変注目すべきである。これはあくまでも個人的な考えであるが、これは内閣および自民党による巧みな情報統制と、小泉内閣マンセーなごく一部のオピニオン・リーダーに引っ張られた「思考停止状態で『長いものに巻かれるだけ』の有権者」が都市部に多く存在したことの、何よりの証明であろう。
自民党の強い地方、野党の強い都市部、という構造、また参院選:低投票率「自民有利」定説覆る(毎日新聞)という構造、これらの「いままでにない結果を生む」「政党側から見た投票行動の構造改革」こそが、今回の選挙でもっとも変化が著しかった点であり、しかしそれが国民熟慮の結果ではなく、流された末の行動の結果である、というところに、私は大きな失望を覚える。
そしてもうひとつ。選挙民はどちらも財界の意向に忠実な「二大政党」による政権交替だけに注意が向き、このような場合に絶対必要な「国民一人一人の利益面から政治を監視する第三勢力」の力をさらに失わせた。この選択は、小泉エセ構造改革をさらに推進させ、ごく一部の金持ちだけが得をし、大多数の国民だけが「痛み」を背負わされてさらに貧しくなる「階級化」をいっそう促進するだけ、ということは、強調してもしすぎることはないであろう。「第三勢力」群が主張する「護憲」など「平和ボケ」だ、それで国が護れるか、というところばかり悪く言われているが、結局その選択は事実上「大部分の選挙民の暮らしはどうなってもかまわない」、と主張しているに等しい、ということだけはわかっておいてもらいたいものである。
http://takayan.blogtribe.org/entry-647b7fa996d3d53d1d417d6b06237813.html