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宇宙「平和利用」の国会決議見直し、政府・与党が検討
【ワシントン=笹沢教一】宇宙開発を平和利用目的に限定した35年前の国会決議「平和利用原則」の見直しについて政府・与党が検討に入った。外交筋が3日明らかにした。
財界・産業界からの要請を受けた動きで、安全保障目的での活用や商業利用の活性化など宇宙開発の可能性を広げられるとして、2006年度からの第3期科学技術基本計画にも反映させる方向で調整を進める。ミサイル防衛などの安全保障面で協力関係にある米国にも近く方針を伝える。
実現すれば、1985年の中曽根内閣時代に、自衛隊の通信衛星利用を認めるよう原則の解釈を変更して以来の大幅な見直しとなる。
日本の平和利用原則は厳しく解釈され、自衛隊は衛星通信などの民生技術しか使えず、宇宙航空研究開発機構の衛星による最先端の観測データを使用できない状況にある。
宇宙開発関係者によると、次世代の情報収集衛星は従来の民生技術にはない高い解像力を持つ。またGPS(全地球測位システム)を補うため2008年に打ち上げる多目的衛星は、水平方向の誤差25センチの高度な測位性能などを搭載するため、安全保障目的でのデータ利用をめぐる問題が今後焦点になってくるという。
見直し論議がさらに具体化すれば、再度の決議や解釈の変更、宇宙の安全保障利用を可能にする法制化なども視野に入れる必要があるという。
国内には、北朝鮮の核・ミサイル開発などで、衛星による監視強化などを求める世論があり、産業界には原則の適用でロケット部品の輸出が制限され、国際競争の場で不利な現状の改善を求める声もある。
◆平和利用原則=宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)を発足させるため、1969年5月の国会で決議された宇宙開発利用の基本方針。超大国の核戦争を防ぐため、宇宙の平和利用をうたった国連決議を踏まえたものだが、解釈が国連決議より厳しい。
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040704i101.htm