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東京都北区の洋服店で今月20日、91歳の老女がスリの現行犯で逮捕された。
過去10年に10回逮捕されている「おそらく最高齢の現役常習スリ」(捜査員)は、警視庁王子署の調べに対し、「つい人のものに手が出てしまう」などと供述したという。
調べによると、女は20日午後4時ごろ、北区十条仲原1の洋服店内で、買い物をしていた女性(57)の手提げバッグから封筒1通を盗み取った。封筒の中に現金などはなく、領収証などが入っていただけだった。
商品のズボンを手に取って見るふりをしながら、そのズボンで、女性のバッグに手を入れる瞬間を隠すという常習犯特有の手口だったが、犯行を目撃した店員が、歩き去っていく女を店から約10メートル先の路上で取り押さえた。同店によると、女は1年半ほど前から、週に2、3回出入りしては、客のバッグの中をうかがうそぶりをしていたという。
身長1メートル45、体重40キロ。終戦の直前に夫が戦死した後は、旅館で働くなどして2男1女を育て上げた。現在は、年間60万円の年金などで暮らしている。犯行当時は約9000円を所持していた。
女は逮捕されるたびに、高齢であることや逃亡の恐れがないことなどを理由に釈放されるなどの寛大な処分を受けてきた。今回も送検前に釈放され、板橋区内にある一人暮らしの自宅へ戻った。
釈放前に、女は「私は悪い人間。大変申し訳ありませんでした」と、土下座して犯行を認め、「これまで数多くのものを盗みました。治らないんです」とうなだれたという。
(2004/9/22/14:58 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040922i208.htm