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テロ対策要綱:「日本も脅威高まる」警察庁が通達
国内でテロの脅威が高まっているとして、警察庁は19日、発生を防止するための重点施策と将来的な課題を初めて体系的にまとめた「テロ対策推進要綱」を策定し、全国の警察本部に通達した。欧米で導入が進む強力なテロ対策法制の採用を目指し、テロリスト侵入防止のための諸施策や特殊部隊増強など体制強化も盛り込んだ。警察庁は「政府や他省庁と一体となった枠組み作りが必要で、そのたたき台になることを期待している」と説明する。
要綱は、日本や日本国民対象のテロの脅威が高まったと分析。理由として、昨年10月と今年5月、国際テロ組織「アルカイダ」のウサマ・ビンラディン氏の名の声明が日本をテロの標的とした点や、アルカイダ関連組織の幹部とされるフランス人が02年以降少なくとも4回出入国していたことを挙げ、国内に約9万人いるイスラム教徒のコミュニティーにテロリストが紛れ込み、行動を起こす危険性があると指摘した。
未然防止のため、(1)旅券へのバイオメトリクス(生体認証)情報採用や旅客機へのスカイマーシャル(警備乗務)配置など水際対策強化(2)情報収集と取り締まり強化(3)空港や鉄道施設など重要拠点の警戒警備徹底−−を挙げた。さらに今後の課題として▽外国人宿泊者の宿泊カード記入と宿泊者名簿の警察への届け出の義務化▽より広範囲な通信傍受やおとり捜査の導入▽生物・毒物管理の届け出義務化と罰則導入−−など、欧米諸国がテロ対策で導入する法規制の研究を挙げた。必要なものは日本の法制度にも取り入れるよう政府に働きかけたいとしており、今後、論議を呼びそうだ。
また、発生時の対処能力強化策として▽NBC(核生物化学)テロ専門部隊の増設と資機材の一線署への配備▽7都道府県200人の特殊部隊(SAT)の増員−−などを挙げた。
【窪田弘由記】毎日新聞 2004年8月19日 11時52分