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http://hotwired.goo.ne.jp/
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20041028301.html
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脳の信号で人工腕をコントロールする実験、サルで成功
もしサルがお腹をすかせていても、手を縛られていたら、できることはほとんどないだろう。しかし、近くにある人工腕を自分の脳で
コントロールできるとしたら、話は別だ。ピッツバーグ大学のアンドルー・シュウォーツ教授(http://www.neurobio.pitt.edu/faculty/schwartz.htm)
の神経生物学研究所にいるサルには、それができる。このサルは、自分の頭で考えるだけで人工腕をコントロールし、その腕を使って
食事をする(写真http://www.wired.com/news/images/0,2334,65468-15436,00.html)のだ。
この技術が確立すれば、脊髄損傷患者や手足を失った人、あるいは脳卒中患者のために役立てることができるだろう。
「義肢として使うにはまだまだの段階だが……今回の成功は、正しい方向への大きな一歩だと思う」と、プロジェクトに参加した生命工学科の大学院生、
チャンス・スポールディング氏は述べた。子どもの腕ほどのサイズの人工腕(写真http://www.wired.com/news/images/0,2334,65468-15438,00.html)は、
肩と肘の関節が動き、食べ物をつかむ簡単なグリッパーがついている。実験に使用されたサルの両腕は体の側面に固定され、サルが食べ物を口元に
運びたいと考えると、サルの脳内の電極が、運動皮質――随意運動を制御する部位――でニューロンの発する信号を読み取る仕組みになっている。
脳の活動を入力されたコンピューターは、ピッツバーグ大学の開発したアルゴリズムを使ってニューロンのメッセージを解読し、人工腕に送信する。
「ニューロンの興奮率のパターンがわかったので、これを解読して、動作、方向、速度を決定できるようになった」とシュウォーツ教授は述べる。
シュウォーツ教授は26日(米国時間)、サンディエゴで開催されている北米神経科学会(http://web.sfn.org/)の年次総会で、研究成果を詳細に報告した。
シュウォーツ教授の研究のユニークな点は、フィードバックを伴ういわゆる「閉ループ」で脳の実験を実施したところにある。閉ループの実験では、
サルは人工腕を意識し、それをコントロールしようと努力する。過去に行なわれた実験では、サルは自分が外界に影響を与えていることを
全く理解していなかった。デューク大学ではすでに、同様の人工腕の実験を2000年に実施しているが、この実験では、インターネットを通じて
サルの電極の信号を送信し、およそ1000キロ離れたマサチューセッツ工科大学(MIT)にある人工腕を動かすことにさえ成功している。
結果をフィードバックしない「開ループの実験は、非常に精度が低かった。しかし、サルが実際に人工腕を見て、自分の行為の結果を確認する
閉ループの実験は、全く新しい研究領域を開いたといえる」とシュウォーツ教授は述べた。教授の実験では、人工腕はサルの身体意識の中に
組み込まれており、3本目の腕といえる存在になっている。
「人工腕をコントロールしているが自分だということを、サルに認識させるのがいちばん大変だった。人工腕を思うようにコントロールできること
をサルが理解し、自身の思考との対応関係を飲み込むまでに、非常に長い時間がかかった」とスポールディング氏は説明する。
コンピューターの助けを借りて意識的動作を行なうという現在の段階に達するまでに、サルはバーチャル環境でさまざまなレベルの訓練を受ける
必要があった。まずサルは、青いボールを打つという課題の動きを、自分の本物の腕を使って学習した。この腕の動きは、バーチャル環境で追跡された。
次にサルの両腕を固定し、その状態で上記の課題を繰り返す訓練を行なった。このプロセスは「ブレーン・コントロール」と呼ばれ、サルが人工腕の
使用に順応するための学習機会を提供するうえで必要なものだった。人工腕は、サルが自分の腕を動かそうとしたときに興奮する何千ものニューロン
のほんの一部によって動作する。そこで、人工腕を確実に動かすためには、サルに自然な思考プロセスを組み立て直させる必要があった。
サルはバーチャル空間で、生物学的なフィードバックを使って学習し、人工腕への命令として記録・送信されるニューロンの興奮率を加減する
方法を習得した。こういった「ブレーン・コントロール」段階のレッスンが終わるころには、サルは新しい形の運動をマスターしていた。
必要となる数個の主要なニューロンを興奮させる方法を習得して、バーチャル環境で幻の腕をコントロールできるようになったのだ。
こうしてバーチャル・レッスンを終えたサルは、次に人工腕へと進んだ。両腕を体の横に固定された状態で幼児用の椅子に座らされ、
肩に取り付けられた人工腕を他の場所から自分の口に動かして物を食べる訓練を施された。
「口元に近づけるまでの動きはかなり上手にできる。しかし食べ物が口に近づいてくると、サルは人工腕でなく食べ物に集中してしまうため、
動作が少しぎこちなくなる」とシュウォーツ教授は述べた。かなり先のことになるが、サルにもっと本物に近い腕を装着するという計画もある。
シュウォーツ教授は、現在の人工腕の端についている単一方向にしか動かない簡単なグリッパーを、動く指の付いた本物に近い手に交換したいと
考えている。現在の人工腕は、中国の上海に本社を置く科生假肢有限公司(http://www.keshen.com/)に特注して製作したものだ。
「現在よりも非常に複雑なものになるはずだが、徐々に進めていけばいい。最初はしっかりとつかみ、次は個々の指を動かすようにすればいいのだ」
とシュウォーツ教授は述べている。シュウォーツ教授は、実用化にたどりつくまでにはかなり時間がかかるとしながらも、脳の理解に関して今回の実験が
もたす進歩に大きな期待を寄せる。
「技術が進歩するたびに、脳内で起こっていることを深く理解できるようになり」、理解が深まれば、さらに新しい科学的発見へとつながると、
シュウォーツ教授は語った。米サイバーキネティックス社(http://www.cyberkineticsinc.com/braingate.htm)のジョン・ダナヒュー博士はすでに、
研究対象を人間にまで広げている(日本語版記事http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040116301.html)。ダナヒュー博士は、
四肢麻痺患者の運動皮質に電極を埋め込むことで、患者がコンピューターのカーソルを動かして、電子メールにアクセスしたり、他のアプリケーションを
動かしたりできるようにした。「この研究の人間への適用は、非常に大きな進歩をみせている」とダナヒュー博士は語った。サイバーキネティックス社では、
臨床試験をさらに4人の患者に実施し、予備的研究を続けていく予定だ。
[日本語版:天野美保/湯田賢司]
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WIRED NEWS 原文 (English:http://www.wired.com/news/technology/0,1282,65468,00.html)
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