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iモード伝言板の成功で、災害時の連絡方法は変わるか (1/2)【IT_Media記事】
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0411/09/news107.html
コラム
2004/11/09 22:33 更新
身近な人が住む地域を災害が襲ったら、どのように連絡を取ったらいいのだろう。新潟県中越地震で注目を集めたのが、NTTドコモの「iモード災害伝言板」だ。
10月23日夕方に発生した新潟県中越地震では、物理的にラインが断たれた上に被害地域への電話が殺到し、電話が不通になる事態が起きた(10月24日の記事参照)。阪神淡路大震災の教訓が生き、比較的短期間で不通状態は解消されたが、物理的な被害が収拾しても、災害からしばらくは電話が通じにくくなる(11月1日記事参照)。
一カ所に電話が集中してトラフィックが増加すると、輻輳(ふくそう)と呼ばれる事態が発生し、警察や消防などの緊急連絡もできなくなる恐れがある。そのため通信キャリアは通話規制を行い、電話がかかりにくくなるのだ。
もしも身近な人が住む地域を災害が襲ったら、どのように連絡を取ったらいいのだろうか?
一番いいのは「かけない」こと
電気通信事業者協会(TCA)では、災害時の電話利用方法と題したページを公開している。TCAに、災害時の電話利用について聞いた。
「被災地には電話が殺到し、かかりにくくなるので、被災地への電話を避けることが大事になる。電話をかけないことが一番」としつつも、どうしても連絡を取りたい場合は「不急な電話やリダイヤルはしない」「個人通話は短めに」が鉄則だとする。
また、通話規制がかかっているときは、被災地への受発信ともにかかりにくくなる。「いざというときのために、連絡手段を普段から決めておいてほしい」という。
具体的には、まず、被災地以外を連絡の拠点として決めておくことだ。例えば東京から新潟へ連絡を取りたい場合、東京・新潟以外にどこかもう1カ所連絡拠点があると、連絡が取りやすくなる。
電話がつながらない場合は、171番にかけると30秒の伝言メッセージを録音・再生できる「災害用伝言ダイヤル171」も有効だ。携帯電話からも利用できる。「この場合もあらかじめ、暗証番号を決めて共有しておくといい」(TCA)。
定着した「iモード災害伝言板」
もう一つ、今回の新潟県中越地震で連絡のため活用されたのが、音声通話以外の手段だ。今年の7月13日に起きた新潟の集中豪雨から提供が開始された、ドコモのiモード災害伝言板である。
ドコモは災害対策のため、音声通話とパケット通信を別々にコントロールしている(4月8日の記事参照)。今回の地震が発生した10月23日夕方、ドコモは、新潟(市外局番025局)へ音声通話の発着信を最大75%規制したが、パケット通信網はいっさい規制をしなかった。電話は通じなくても、メールやiモードは使えたのである。
11月9日現在、iモード災害伝言板の登録者数は7万6736人。8日に起きた余震の際には、登録されたメッセージが9万2583件、メッセージの閲覧はのべ12万5217件あったという。iモード災害伝言板は、緊急時の連絡手段として、かなり定着してきた。
[吉岡綾乃,ITmedia]
iモード伝言板の成功で、災害時の連絡方法は変わるか (2/2)
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0411/09/news107_2.html
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安全性と正確さのためのクローズド掲示板
iモード災害伝言板では、ユーザーの電話番号と位置情報が利用されている。ユーザーがどこにいるかを基地局が確認し、登録可能地域内にいるiモード端末ユーザーであることが分かれば、そのユーザーは安否情報を書き込める。安否情報はPCや携帯電話、PHSからでも閲覧できるが、登録できるのは「被災地等登録可能エリアにいるiモード携帯電話の利用者」に限られる。
このようにクローズドな掲示板システムにした理由を、ドコモは「間違った情報やうそを登録されないため」と説明する。「悪意ある人がわざと間違った情報を書き込んだりすれば、助かるべき人が助からなくなるかもしれない。それでは意味がない。それを防ぐためのクローズドな仕組み」(ドコモ広報部)。
しかし、安否を知りたい相手の携帯がドコモかどうか分からないこともあるだろう。他キャリアの端末に対応するのは難しいのだろうか。
「位置情報+番号で識別するという仕組みなので、自社ユーザーの端末しか把握できない。ほかのキャリアの端末にも対応するとなると、オープンな掲示板にせざるをえないが、それは情報の正確さを保つために避けたい」
auも2005年度中に伝言板サービスを開始予定
現在、このようなサービスを提供しているのは、ドコモのみ。ほかのキャリアでも同様なサービスが始まることはないのだろうか。
auは新潟県中越地震で、最大90%弱の通話規制を行った。「(iモード災害伝言板のような)サービスは必要だと考えている。2005年度中に開始予定」(au広報部)。一方、今回通話規制を行わなかったボーダフォンは、「災害時の伝言板サービスは検討しているが、まだ具体的なスケジュールは未定」としている。
各キャリアが同様のサービスを行うようになれば「災害時の伝言板利用」はさらに浸透するだろう。しかしそれぞれが独自のシステムを使うのでは、便利さも半減してしまう。事業者番号を確認すれば、どこのキャリアの端末かを調べることができるとはいえ、ユーザーがそれを調べてから伝言板サービスを使う仕組みでは不親切だ。また2006年から番号ポータビリティが始まれば、どこのキャリアの端末なのか番号から識別はできなくなる。
もっとも望ましいのは、各キャリアが同様のサービスを立ち上げ、横の連携をしながら共通に使えるような仕組みを作ることだろう。iモード災害伝言板の浸透を受け、TCAなどの業界団体や総務省が、将来の課題として取り組むべきは「キャリアを超えた横の連携作り」ではないだろうか。
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関連リンク
* 災害時の電話利用方法(TCA)
[吉岡綾乃,ITmedia]