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ブラウザ戦争が再燃? MozillaやFirefoxの人気が急上昇【IT_Pro】
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/USURA/20040923/150289/
[2004/09/24]
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ここ最近,Webブラウザ関連のニュースが米メディアを賑わしている。「IE(Internet Explorer)ユーザーの減少が止まらない」(米InternetWeek),「ブラウザ戦争が再びやってきた」(米Businessweek)。
この状況をもたらしているのが米Mozilla Foundation。同組織は米国時間9月14日に「Firefox 1.0」のプレビュー版をリリースしたばかりだが(関連記事),そのダウンロード数が今,予想を上回る速度で伸びているという(関連記事)。Mozilla Foundationといえば,その前身は米Netscape Communicationsのオープンソース・プロジェクト。IEからのシェア奪回を図るべく誕生したプロジェクトだったが,その目的は達成できず,数々の不運ともいえる道をたどった。そのMozillaの人気が今,急上昇しているというのだ。いったい何が起こっているのだろうか。欧米メディアの情報を見ながらレポートする。
■IEのシェアが過去7年で初めて減少
米WebSideStoryの調査によると,「Netscape/Mozilla/Firefox」カテゴリのブラウザのシェアは今年6月の初めから1.7ポイント伸び,5.2%まで増大した。もちろん,IEのシェアは93.7%と依然圧倒的なのだが,6月の初めのシェアと比べると,1.8ポイント下がっている。IEの落ち込みは,WebSideStory社の7月のレポートでも報告されていた。このときIEのシェアは過去7年間で初めて減少したという(注1)(米InternetWeek掲載記事)。
注1:ちなみに,ノルウェーOpera Softwareの「Opera」と米Apple Computerの「Safari」は同時期にシェアを0.1%伸ばした。現在のシェアは両ブラウザ合計で1%。
思えばWebブラウザのシェア争いのニュースがよく報じられていたのは今から6〜7年前。Microsoft社がIEをWindows 98に統合して無償提供したころだった。これによりIEはブラウザ戦争でNetscapeを打ち負かし,首位の座を得た。その後Netscape社も対抗し「Communicator」と「Navigator」の無償提供を始めたが,やはりOSへのバンドルには勝ち目がなく,その後じわりじわりとシェアを下げていった。Netscapeのシェアは,Microsoft社がIE 6をリリースする前までは12%程度で維持していたのだが,その後さらに落ち込み,歯止めはかからなかった。
Microsoft社がIE 6をリリースしたのは2001年9月。しかしその後の改良は「Service Pack 1」と,つい先日リリースした「Service Pack 2」のみ。IEはこの3年間大きな変更もなしに,90%以上のシェアを維持していたのだ。そこに登場したのが,MozillaやFirefox。米メディアによると,IEのシェア減少は決して一時的なものでなく,今後も継続していくのだという(米TechNewsWorld掲載記事)。
ではなぜ,Mozilla/Firefoxが人気なのか――。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/USURA/20040923/150289/index2.shtml
■何が人々を魅了しているのか
写真1●Firefoxで,日経BP社のニュース・サイト「nikkeibp.jp」のRSS配信を閲覧しているところ(Firefox 英語/Macintosh版)
写真2●FirefoxでIT Proを閲覧。画面上で検索したところ。複数の該当文字列を一度にハイライトできる(Firefox 英語/Macintosh版)
Mozilla/Firefoxが人気を集めている理由は何か。「IEのぜい弱性に人々が懸念を抱いているから」という意見も多いのだが,ZDNet UKの記事は少し違う視点で次のように説明している。
「そもそもIEはベストなブラウザではなかった。Windowsに標準搭載されたから普及しただけ。その昔,ソフトウエア配布の手段はCD-ROMが主流だったが今は違う。ブロードバンド時代に突入した今,ブラウザ戦争が再び始まる」(英ZDNet UK掲載記事)
なるほど,これは一理あるかもしれない。これを裏付けるのが,Mozilla/FirefoxやOperaに備わる各種の機能かもしれない。ユーザーが積極的にダウンロードして使いたくなるような最新技術が搭載されているのだ。例えば,IEのService Pack 2でようやく加わったポップアップ・ウインドウ防止機能は,これらのブラウザではすでに当たり前。また,FirefoxやOperaは,RSSリーダー(技術解説記事)を搭載している。Firefoxの場合は,これが「Live Bookmarks」と呼ぶ機能で提供されており,「Bookmarks」メニュー内でニュースなどのヘッドラインを閲覧できるのが特徴だ(写真1[拡大表示])(写真1)。またFirefoxは検索の該当文字列を一度にハイライトできるといった便利な機能も備えている(写真2[拡大表示])
■Mozillaは原点に返った
「便利な機能を持つFirefoxは重要。しかしそれはIEより優れているからという理由だけではない」,とするのは前述のZDNet UKの記事。記事では,「オープンソースの組織が,Microsoft社を相手に十分戦える能力があることが明確になった。むしろこのことが重要」と言っている(英ZDnet UK掲載記事)。
Netscape社のオープンソース・プロジェクトとして始まったMozillaプロジェクトは,その後,米AOL(America Online)によるNetscape社の買収や,AOL社と米Microsoftの和解を経て,最終的に独立組織として切り離された(関連記事)。今は,Firefoxの普及促進を目指した活動「Spreadfirefox.com」,セキュリティ強化のための報奨金プログラム「Mozilla Security Bug Bounty Program」(関連記事)など,草の根的な活動を展開している。AOLによる関与から解き放たれ,Mozillaはようやくオープンソースの原点に返ることができた。その結果,かつてないほどの活気を見せ,IEシェアの減少を導いた。なんとも皮肉な話である。
■「IEはもはやMSの戦略的技術ではない」
こうしたMozillaの活動と見比べると,Microsoft社はここ数年,IEに関して何もしてこなかったように見える。同社は昨年,IEの単体開発を中断すると発表,Webブラウザ機能は「Longhorn」に組み込むとした。その後同社はブラウザ開発に関することで沈黙を保っている。今回のMozillaの動きについても静観している。しかし,Longhornのリリースが2006年にずれ込んでしまった今,安閑としてはいられないのではないだろうか。
米Directions on MicrosoftアナリストのMatt Rosoff氏によると,Microsoft社にとってIEはもはや戦略的技術ではないのだという(米CNET掲載記事)。なるほど,市場を席巻してしまった今となってはあまり重要ではないというわけか。しかし進化が進まないIEに不満を募らせているユーザーは多い。やはり市場に競争が必要であることが再認識させられる。Mozillaの活動がこの状態に一石を投じてくれるのでは,と期待している。
(小久保 重信=ニューズフロント)
■著者紹介:こくぼ しげのぶ
ニューズフロント社長。1961年生まれ。98年よりBizTech,BizIT,IT Proの「USニュースフラッシュ」記事を執筆。2000年,有限会社ビットアークを共同設立し,「日経MAC」などに寄稿。2001年,株式会社ニューズフロントを設立。「ニュースの収集から記事執筆・編集など,IT専門記者・翻訳者の能力を生かした一貫した制作業務」を専門とする。共同著書に「ファイルメーカーPro 職人のTips 100」(日経BP社,2000年)がある。