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「それでもグラスは4分の3まで満ちている」:ゲイツ、Longhornを語る(CNETJapan)
http://www.asyura2.com/0406/it06/msg/216.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 9 月 04 日 21:48:42:eWn45SEFYZ1R.
 

http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000050154,20071606,00.htm

Michael Kanellos and Ina Fried(CNET News.com)
2004/09/02 10:00 Trackback (1)


 Microsoftは米国時間8月27日、Windowsの次の大型アップデートとなる「Longhorn」を2006年後半に出荷すると発表した。

 2006年末までにLonghornを出荷するために、WinFSの完全実装は見送られることになった。WinFSはファイルの形式を問わずに、必要な情報を迅速に検索することのできる野心的なファイルシステムだ。

 今後2年間は、この新たな期日が守られるかどうかが、IT業界の大きな話題となるだろう。Longhornはそもそも、2004年にお目見えすると期待されていたもので、出荷時期がさらにずれ込めば、PC全体の売上に悪影響を及ぼす可能性があると危惧されていた。

 MicrosoftがLonghornの出荷に手間取っている間に、デスクトップ市場ではLinuxの人気が高まり、Microsoftの独占を脅かしはじめている。インターネットではGoogleが強力なライバルとして浮上してきた。果たして、Longhornにはこうした動きを封じ込めるだけの魅力があるのか。IT業界の今後は、こうした争いの行方にかかっている。

 8月27日、Microsoft会長のBill GatesはCNET News.comの独占インタビューに応じ、Longhornの計画変更と新たな機会について語った。

--Longhornの計画を変更したいきさつを教えてください。

 Windowsは世界でもっとも広く利用されているソフトウェアです。これほど用途が広く、また改訂によってもたらされる利益の大きいソフトウェアはありません。だからこそ、われわれはWindowsの研究開発に莫大な投資を行っているのです。

 われわれがLonghornのビジョンやその他の事柄について初めて具体的な話をしたのは、昨年の開発者向けカンファレンス(PDC:Professional Developers Conference)でした。ただし、その後われわれはSP2の開発に最優先で取り組みました。SP2はセキュリティに重点を置いたものだったからです。また、長年暖めてきた製品--Media(Windows XP Media Centerの新バージョン)とTabletのリリースもありました。

 そして一段落ついたとき、Jim(Allchin)と部下のBrian Valentineは社内を見渡し、こういいました。「会社は今、どんな状況にあるのだろう。ISV(独立系ソフトウェアベンダ)や顧客からのフィードバックを教えてほしい」。そして、われわれはその内容をもとに、Longhornに関する計画を練り直しました。その結果が、今日発表した新しい計画です。

 われわれがLonghornの発売時期を明言したのは今回がはじめてです。ソフトウェアプロジェクトの場合--特に、きわめて広範な互換性と機能が求められるWindowsの場合、出荷時期を特定するのは非常に難しい。しかし、今回は開発がかなり進んでいたので、発表に踏み切ることができました。過去の経験に照らして、そうするべきだと判断したのです。

--具体的には、何が変わったのですか。

 本日お話しした通り、Longhornの3つの柱の1つを、当初の計画とは違う形で提供することにしました。実際にはすべての柱について、変更が加えられるわけですが、IndigoとAvalonに関しては、対応機種の裾野を広げることがメインになります。これにより、Longhornだけでなく、Windows XPのユーザーもこれらのソフトウェアをダウンロードして、利用できるようになりました。これは小さなファイルではありませんが、現時点では十分にダウンロードする価値のあるものです。

 もっとも大きな変更が加えられたのはWinFSです。本格的なデータベースがなくても、既存のテキスト技術を利用すれば、Windowsの検索機能を大幅に強化できることが分かりました。この技術はすでにOfficeで使われているもので、MSNでもこの技術を利用したローカル検索サービスがはじまろうとしています。

 ともかく、この技術を使えば、検索機能の操作性を大幅に改善することができます。ただし、検索性能を飛躍的に向上させるためには、データベース型のシステム統合--つまり、SQL言語やXMLアクセス技術を統合することが不可欠です。しかし、Longhornに搭載される予定だったWinFSは、そのごく一部しか実現できていませんでした。

 また、Longhornの計画では、当初からWinFSのサーバ対応は予定されていませんでした。これはPDCの時点ですでに決まっていたことです。

 そういうわけで、2006年に出荷するLonghornでは検索機能を強化し、WinFSはLonghornとは別に開発プラットフォームとして、また、データベースサーバを出荷する際に、一種の情報管理シェルとしてリリースすることにしました。

--PCメーカーの反応はいかがですか。

 もちろん、主要なパートナーとは協議を重ねてきました。ISV各社ともそうですし、IntelやHewlett-Packardといった企業ともそうです。

 パートナー企業各社はそれぞれの利害関係に基づいて、異なる視点からWindowsのリリースを見ています。たとえば、Intelが求めているのは最新チップへの対応、ウルトラワイドバンドへの対応、WiMaxへの対応、さまざまな省電力機能やマルチコア(への対応)などです。いずれにしても、われわれはIntelと協議しながら計画を進めてきました。今回発表された新しい計画は、Longhornの全貌と発売時期が明らかになり、ほぼ希望通りのハードウェア対応が行われることになったという点で、Intelにとっては非常に好ましいものとなっています。

--Longhornを書き直すことになった最大の原因は何ですか。パートナーからの要望ですか、技術的な課題ですか、それとも社内の開発体制や経営上の問題ですか。

 書き直しをしているわけではありません。確かに、WinFSは非常に野心的な試みです。いまだかつて、文書とメディア、そして構造化データを区別なく扱い、それをシンプルなコマンドで検索/移動/複製することのできる技術は存在しません。

 15ヶ月ほど前に、データベース部門のPeter SpiroをWinFSチームの責任者に据えてから、このチームは大きな成果をあげてきました。しかし、WinFSに新機能を追加するためには、Longhornのリリースを2007年まで延期しなければならないことが分かったのです--具体的には、テーブル関連の追加やサーバ対応といったことです。

 この2週間、Jim、Peter、Steve(Ballmer)、そして私はある問いに対する答えを模索してきました。Longhornの出荷を2007年に延期してでも、WinFSに革新的な新機能を追加するべきか、それとも、もう少し賢明で、最小限の犠牲で済む計画に変更すべきか、という問題についてです。

 そして結局、われわれはWinFSの搭載を見送ることにしました。しかし、私は今回の決定をプラス思考で捉えています--「グラスは4分の3まで満ちている」とね。

 WinFSチームは進捗の面でも、パフォーマンスの面でも、すばらしい仕事をしてくれています。それでも、新機能の搭載を2006年の出荷に間に合わせることはできませんでした。「新機能を搭載するためには、リリースを2007年に延期する必要がある」--はっきりとそういうことも、プロの技術者の仕事だと思います。

--最近、ソフトウェアの開発が長期化する傾向にあるようです。SP2は仕様が拡大した感がありますし、YukonやWhidbeyのリリースは延期されました。ソフトウェアのプログラミングはこれまでよりも複雑になっているのでしょうか。会社として、何か対策を講じる予定はありますか。

 OS360(IBMのかつてのメインフレームOS)に比べれば、Longhornのスケジューリングと予測可能性が劣っているとは思いません。ソフトウェアが昔よりも複雑になったわけではありません。高度な機能と互換性が求められるソフトウェアであれば、複雑なのは当たり前です。それがITの世界なのです。

 われわれが顧客、ISV、OEM(Original Equipment Manufacturers)ベンダーと交わしている会話は、2つに種類に分けることができます。1つは、期日主導のリリースに関するもの。この場合は期日が重要で、その期日に間に合う機能を提供することになります。MSNの場合は、ほとんどが期日主導のリリースです。市場の特性上、リリースはきわめて頻繁に行われており、互換性の問題もありません。

 一方、OSの場合、顧客はだいたい2、3年の間隔でリリースが行われることを望んでいます。新しいハードウェアの利用を促し、メディア、セキュリティ、ワイヤレスへの期待に応えるためには、このくらいのペースで新しいOSを提供していかなければなりません。実装や試験の手間を考えると、このペースでも厳しいくらいです。2年もたたないうちに大規模なOSのアップデートを行うのは現実的とはいえません。

--あなたがLonghornを発表したときは、誰もが大きな賭けだといいました。計画が一部変更された今でも、Longhornは大きな賭けですか。また、この賭けに挑戦する気持ちに変わりはありませんか。

 Longhornは巨大な賭けです。Longhornを機に、.Netマネージドコードの利用はさらに進むでしょう。このプロセスは一朝一夕で完成するものではありません。われわれはLonghornの前からこれに取り組んでいますし、Longhornの後も取り組みは続くでしょう。しかし、主流化という意味では、Longhornは一つの大きな節目になる--Longhornはマネージドコードが多数のクライアントに組み込まれる、大きなきっかけとなるはずです。

 われわれは現在、きわめて先端的な研究に取り組んでいます。一般に期待されているような高度な検索機能は、2006年に出荷されるLonghornで実現されるはずです。しかし、そのすべてを統合する画期的な新技術は、まずはLonghornとは別にリリースされ、Longhornの次のWindowsに組み込まれることになるでしょう。

--社内の士気はどうですか。今回の変更はMicrosoftの社員にどんな影響を与えるのでしょうか。喝を入れ、動機付けをする必要性を感じていますか。

 そんなことはありません。社員は新しい計画を歓迎しています。WinFSチームは新機能を別の形で提供することになりましたが、計画を変更した理由については十分に説明をしました。現在、WinFSチームは熱意を持って、新たな計画に取り組んでいます。

 当社には、明確なライバルを持つチームがあります。たとえば、Googleと競合しているチームは自分たちが何と比べられているのか、Googleの奇跡を人々がどう感じているのかをはっきりと理解しています。彼らは世界をあっといわせなければなりません。

 一方、WinFSチームのように、あまりにも先に進みすぎていて、比較対象がいないチームもあります。このような場合は、会社がいかにそのビジョンを重視し、支援したいと思っているか、そのビジョンが他の製品とどう関わっていくのかを、チームに理解してもらうことが重要です。この点は、かなりうまくいっていると思います。来週、WinFSチームと会うことになっていますが、メンバーの質問に答えると共に、この技術に対する会社の期待と献身は少しも変わっていないことを、はっきりと伝えるつもりです。

--オフショア化はOSソフトウェアの開発にも有効ですか。試験や補助的な活動はすでに海外にアウトソースされていますが、ほかにもオフショア化が可能な分野はありますか。

 当社の場合、状況は少し違うかもしれません。われわれは開発の大部分を米国本社で行っています。われわれにとっては、これがもっとも効率のよいやり方なのです。この点は、今後も変わらないでしょう。

 一方、われわれはグローバル企業としても長い歴史を持っています、北京には研究所がありますし、インドには開発センターがあります。規模は劣るものの、イスラエルにも同様の施設があります。ビジネスソリューション部門はデンマークのコペンハーゲンに大規模な拠点を設けていますし、英国にはXboxゲーム部門の大きな研究所があります。このように、当社の拠点は世界中に広がっています。しかし、すべての中心--革新を総括し、必要に応じて境界線を引き直す存在は、レドモンド(本社)以外にありません。

 今年の春、私は複数の大学を訪問し、コンピュータ科学の仕事がいかに重要で、刺激に満ちているか、優秀な人物が目指すべきキャリアであるか、そして実際いかに多くの優秀な人々がこの仕事に就いているか、を学生たちに説明しました。わくわくするようなソフトウェア開発の大半は、今後も米国で行われることになるでしょう。刺激的なソフトウェアプロジェクトは、巷で思われているよりもずっとたくさんあるのです。

 コールセンターなどについては、私は専門家ではないので具体的な話はできません。私が話せるのは会社としての方向性のみです。

 いずれにしても、これはLonghornとは関係のない話です。その他のソフトウェアと同様に、Longhornも基本的にはレッドモンド本社で開発されています。他の研究開発部門が担当している部分もありますが、大部分の開発は本社で行われています。

--最後の質問です。あなたは以前、今後取り組む可能性の高い分野として音楽を挙げました。音楽市場に商機はあると思いますか(Microsoftは来週、音楽ダウンロードサービスを発表する予定)。

 音楽に関しては、いくつかの進捗がありますので、いずれお話する機会があるでしょう。1ついえるのは、広告とEコマースはどちらも重要な収益源になるということです。重要なのは、音楽であれ、アバターであれ、友人にSMS(Short Message System)メッセージを送る権利であれ、人々がインターネット上で安心して買い物ができる仕組みを作ることです--顧客関係やEコマースの分野では、いずれ一握りの会社がクリティカルマスを握ることになるでしょう。

 オンラインデジタル購入を限られた分野で提供するつもりはありません。世界中で通用する、汎用的なデジタル支払いシステムを構築することが重要だと考えているからです。われわれはそのためのプラットフォームに投資をしていますし、いずれはその成果を音楽市場で披露する日も来るでしょう。しかし、それは大きな戦略の一部にすぎません。

 同じ質問をYahooにしても、広告収入、決済収入、サブスクリプション収入の3つを重要な柱に挙げるはずです。


原文へhttp://news.com.com/2008-1016-5327377.html

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