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2ちゃんの「良スレ」が電子書籍化されヒットするまで (1/3)【IT_Media記事】
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0408/30/news002.html
ニュース
2004/08/30 00:20 更新
ネット発、2ちゃんねる発の書籍が、電子書籍としてダウンロード販売されている。これがどうやら、携帯向けにウケているのだという。仕掛け人たちに、ことのてん末を聞いた。
ネット発、2ちゃんねる発の書籍が電子化され、ダウンロード販売されている。これが携帯向けコンテンツとして、なかなか好評なのだという。
ミュージック・シーオー・ジェーピーは8月5日から、バジリコが提供する電子書籍シリーズを、iモードおよびEZwebの公式サイト「どこでも読書」などで順次開始した(8月6日の記事参照)。その狙いと、ユーザーの反応などを、ミュージック・シーオー・ジェーピーのデジタル出版事業部、野辺名豊氏と、バジリコの取締役マーケティング担当、中川浩氏に聞いた。
左から、ミュージック・シーオー・ジェーピーの野辺名氏と、バジリコの中川氏
「セカチュー」など3強を抑えた「2ちゃんねる」
まずは、下の表を見てもらいたい。「どこでも読書」の8月12日から19日までのダウンロード数ランキングだが、パッと見て目に付くことがある。
順位 書籍名 作者
1 忘れられないラブ〜女たちの体験1 2ちゃんねる
2 PLATONIC SEX 飯島愛
3 忘れられないラブ〜男たちの体験1 2ちゃんねる
4 指先の花〜映画「世界の中心で、愛をさけぶ」律子の物語 益子昌一
5 天国の本屋 恋火 松久淳/田中渉
6 寿司とマヨネーズ-ある愛の記録-[1] 水月マヨ
7 追憶の楽園 切ない花/追憶…年上のひと 郷田深司
8 きみはかわいい僕の奴隷 南原兼
9 「裏」恋愛論 風俗王に学ぶ153の成功法[1] 中谷彰宏
10 神様、もう少しだけ〜TVstationドラマ名画座 ダイヤモンド社
注目すべきは、やはり1位と3位の作者が「2ちゃんねる」となっていることだろう。6位の「寿司とマヨネーズ」も実は、ネット発の書籍。これらはいずれも、バジリコの提供する「ネット発!MEETS & LOVE - 文庫」の作品だ。
ミュージック・シーオー・ジェーピーの野辺名氏は、こうした作品がランキング上位に入ったことを「予想以上の反響。驚いている」と話す。
「セカチュー、PLATONIC SEX、天国の本屋という“3強”を抑えて、トップに立った。早急に結論付けるわけにはいかないが、『携帯でネット発のコンテンツを配信するなんて……』という否定的な見方が、必ずしも正しくないことを示した」
ホームページから誕生する書籍
下地になるような現象は、あった。Web上の文章をもとにした紙の書籍が、出版界で市民権を獲得しつつあるのだという。自社のホームページで「ネット本」というジャンルを用意しているバジリコの中川氏は、「出版社には、有名作家をつかまえてくるとか、翻訳本を出すなどの選択肢があるが、その1つとして“ネット本”がある」と話す。
「1990年代後半に、社長が『ネットには面白いものが転がっているぞ』と言って、編集者に本になりそうなものを探させた。そして、見つけてきたものを編集会議にかけ、面白いとか面白くないとかいって選別していった」
こうして世に出た作品の1つが、「寿司とマヨネーズ」だ。同書は同名のインターネットサイト「寿司とマヨネーズ」上で、水月マヨ氏が掲載していた日記を元にしたもの。SM(サド&マゾ)の関係にある男女が織り成す恋愛ドキュメントで、タイトルの寿司は「S」を、マヨネーズは「M」を意味している。
「これが切ない話で、文体も情緒があって良かった」(前出の野辺名氏)。
メインテーマがSMだけに、大胆な性描写も含む。ある意味ネットらしいコンテンツだったといえるかもしれない。出版に値すると判断され、水月マヨ氏との交渉を経て製本されている。
ほかに「死にたい」という、やや刺激的なタイトルのネット本もある。これは、同名の掲示板サイトに多くのユーザーが書き込んだ、「死にたいと思った」体験をベースにしたもの。
「第1作目は3刷りまでいった」(中川氏)など、一定の成功を収めたため、8月下旬には続編となる「死にたい Vol.2 ラストワルツ」が出版されるという。
時には、2ちゃんねるの書き込みに目をつけることもあった。そんな時は、2ちゃんねるの管理人である西村ひろゆき氏と連絡をとったと中川氏は話す。
次ページ:どうやって2ちゃんの「カキコ」を書籍にしたか?
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[杉浦正武,ITmedia]
2ちゃんの「良スレ」が電子書籍化されヒットするまで (2/3)
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2ちゃんのスレッドが書籍になるまで
バジリコが本にしたいと考えたのは、2ちゃんねるの掲示板の中でも「過激な恋愛板」にあった某スレッド。板の住人が、次々と過激な性体験を書き込む……という主旨のスレッドだった。
「実際に読んでみると、どれもこれもいい話。本として成立している」(野辺名氏)。そこで、ひろゆき氏に出版の話をもちかけることになる。
気になるのは、著作権の問題だ。先の「死にたい」でもそうだが、掲示板の書き込みには無数の「書き込んだユーザー」がいる。作品自体は編集側に著作権が発生するとしても(=編集著作物)、書き込んだ各ユーザーに「著作隣接権」が発生するようなら、収益の配分は非常に困難になる。
だが、幸いにしてこの点は容易に解決できた。2ちゃんねるは「書き込んだ瞬間、その内容は2ちゃんねるに帰属する」というサイトポリシーを持っていたのだ。
「権利や責任などは、2ちゃんねる側がホールドしている。おかげで、交渉先はひろゆき氏の1カ所で済んだ」
出来上がった書籍「忘れられないラブ」の奥付を見ると、「選者:2ちゃんねる、発行所:バジリコ」という記述になっている。
「忘れられないラブ」の構成。2ちゃんねる同様、1つの書き込みで1話が完結するスタイルだ。編集にあたっては、本になった内容の数十倍の分量に目を通し、面白いところだけ抽出したという
ネット本を、電子化すべきでない?
ここで、1つの疑問が生じる。ネット上のコンテンツを本にするのはいいとしても、それを「携帯でダウンロード販売する」ことが有効なのかどうか。
実際のところ、ネットのものを紙に落とし込むならともかく、一度紙になったものをまたネット(携帯コンテンツ)に戻す作業に、抵抗を感じる人間もいたと野辺名氏は話す。
だが、「携帯とネットは、また違うのでは」という考えがあった。そして、実際に試みた結果が冒頭の成果につながったわけだ。
電子書籍版「忘れられないラブ」。書籍の内容を7つに分割して、バラ売りしている。一話一話は短いので、収録ストーリー数が少なくなるかたちだ
理由はどこにあったのか。実は、ミュージック・シーオー・ジェーピーが運営する「どこでも読書」のユーザー層を見ると、入会者の男女比は「1:3」で女性が多い。
さらに、女性ユーザーの27%は「20代未満」、54%が「20代」となっている。「(どこでも読書の会員は)PCでネットを楽しむユーザーとは、層が違うのかもしれない。これがPCのパワーユーザーなら、自分で掲示板にアクセスして読むところだ」。
もちろん、携帯向けに分量を少なくして100円で売るなどの工夫も影響しているだろう。加えて、「ネットの文章は短くて読みやすい。携帯に向いている」(野辺名氏)という点も見逃せない。
バジリコの中川氏はまた、ネット上ではコンテンツが“玉石混交”だが、編集者の手をとおして書籍化されたものは信頼されるという違いがあるのでは、とも付け加えた。
「電車男」が電子書籍化される可能性は?
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[杉浦正武,ITmedia]
2ちゃんの「良スレ」が電子書籍化されヒットするまで (3/3)
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どこからでも書籍は生まれ得る
野辺名氏は、本の売れる売れないは“どこで、どう売るか”にもよるのだと強調する。「文庫で売れなかったものが、コンビニに置いておくと売れたりする。ざら紙のマンガを、価格を落としてコンビニに置いたら成功した。あれなどいい例だ」。
野辺名氏は、携帯でのダウンロード販売でも似た発想が求められると考えているようだ。ネット発のものが好評を博すなど、携帯のダウンロードでは携帯なりのラインアップがあるとの見方を示す。
それでは、今後も多くの「ネット発コンテンツ」が電子書籍化されてヒットするのか。たとえば、今から数カ月ほど前にWeb上で大いに話題を集めた「電車男の物語」がある。電車内で女性と出会った男性が、2ちゃんねるで進捗状況を報告しながらついに恋愛を成就させるというストーリーだ。
だが、この質問に中川氏は「そうそう、すべてのコンテンツが上手くいくものではない」とクギを刺す。
「本当に面白いのか、一過性のものでなく、時間が経っても読まれ続けるのか。市場もまだまだ小さい」。バジリコとしても、ネット本にばかり注力するのでなく、“作家本”や“翻訳本”も含めトータルで作品を揃えていきたいと話す。
とはいえ、電子書籍の市場が大きくなることは各方面で予想されていること。出版業界でも、「Deep Love『アユの物語』」という携帯発のダウンロードコンテンツが大ヒットして以来、この分野がビジネスになるとの意識が浸透しつつあるという。
野辺名氏は、「関心は高まっている。これからも(ネットから)拾い上げていく動きはあるだろう」と話す。その上で野辺名氏は、ホームページを制作している人間は、著作権の処理についても関心をはらってほしいと要望する。
あなたのホームページも、電子書籍になるかもしれないのだから――。
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