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2004-10-26 05:19:00
テーマ:Anybody But Don-Ichiro
『海舌』http://kaisetsu.ameblo.jp/entry-edd491846491e6a9dcf88231ce7d6bf0.html
http://kaisetsu.ameblo.jp/
私は、郷土の大先輩の田中角栄元首相に会うことを試みました。それには二つの理由がありました。一つは、十日町の親しい友人たちが、田中氏かもしくは他の領袖と会い、そのお墨付きをもらうことを強く望んだからです。いま一つは、私も新潟県の保守政界で行動を起こす以上、この人だけには仁義を切っておきたいと思ったからです。
●「理屈ではない、足で勉強しろ」
私は、田中氏一本に絞って会見することを試みました。かなり長い面談要望書をしたため、目白の田中事務所に届けました。10日ほどたって、田中事務所から明日午前8時半に来いという電話がきました。翌日、私は目白の事務所を訪問し、かれこれ1時間ほど待ったころ、奥の応接室からおよびがかかったのです。
「いやいや待たせてすまん。君とはゆっくり話したかったんで、いちばん最後にしたんだ。かんべんしてくれ」
これが田中氏の最初の言葉でした。こういったところが、この人の人心を惹きつけて離さない点なのでしょう。
第一回目の面談は、田中氏の一方的な言いっ放しでした。
「新潟四区から衆議院に打って出るところに目をつけたのは、なかなかいい着眼だ。新潟四区には保守の派閥は確かに三つあるが、いずれもそんなに強い派閥ではない。はっきり言って弱い派閥だ。君の努力しだいでは、当選することも可能である。
君のことは、十日町市長にも問い合わせてみたが、君の家も昔はなかなかの家であったそうだし、君自身もちゃんとした人間のようだ。
選挙で大切なものは、要するにタマなんだ。タマが悪ければ、いくら金をつぎこんだところでどうにもならない。このことがわからないバカがいっぱい私のところに来るが、要するにタマなんだ。
一生懸命勉強しろよ。理屈だけでなく、足でも勉強しろよ。みんなワシのことを天才などとぬかすが、そんなことじゃないんだ。俺は昔、選挙区を足で歩いたんだ。1時間も2時間も歩いていってやっと一つの集落にたどり着くんだ。その集落の入り口に一つの橋があった。この橋の名前なんて一生たったって忘れるものじゃないんだ。足で勉強するとはこういうことだ。
選挙なんか、1回や2回落っこちたってかまいはしない。それよりも政治にかける信念が大切なんだ。岩をも貫く信念がだ。そのことをよく考えて、もう一度来い。どうしてもやるというなら、俺は邪魔をしないし、誰にも邪魔はさせない」
私は、1時間も時間を割いてくれたことを感謝して退席しました。
●「君の顔はなかなか政治家に向いている」
それから10日間ほど、田中氏の言われたことを反芻(はんすう)し、最後の決断をしました。そして、再度、田中氏にお会しその決意を伝えました。
「そうか、しっかりやれよ。俺は最初に会ったときから、君はどうしたって出る決意だと思っていた。君ならいつかきっと当選する。
第一に君のお父さんは、長年十日町の地場産業である織物業を通じて、郷土の発展のために尽くした人だ。君はその息子である。郷土のためになろうとする血筋が君には流れているのだ。
第二に、若いときから苦労している。苦労を知らない人間には政治はできない。
第三に、君は田舎の学校から東大に進み、それでありながら民間人として生きてきたところがよい。
第四に、君の顔はなかなか政治家に向いている。あまり東大出のようにも見えないし、さりとてそれほど崩れてもいない。やると決めた以上、最後までやれよ」
そして、わざわざ玄関口まで送ってくださり、別れ際に、
「いいか、白川君、きっと当選して帰ってこいよ」
と固く手を握り、激励してくださったのです。
その後、田中氏の身の上には、ロッキード事件などさまざまなことが起こり、自民党代議士となった私は、田中的政治と戦い続けてきました。しかし、私は、政界出馬にあたり、心から激励してくれたただ一人の政治家、田中氏の厚情を忘れたことがありません。