現在地 HOME > 掲示板 > 雑談専用11 > 202.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
「SINRA」1997年4月号に掲載された『絶滅危機からの脱出』という特集のなかから、絶滅の危機にある動物のいくつかの記事を紹介したい。
或科学者によれば、人類は500年のうちに他の惑星に移り住むことを可能にしなければ、地球の環境破壊によって絶滅することになるということである。昨年ホーキング博士は「100年」と言ったようだ。
それらが事実であるとすれば、ここに紹介する記事の絶滅に瀕している動物たちは、地球の未来の先取りということもできる。
ちなみに、地球上の森林は木が成長するスピードの数倍の速さで消滅していて、これは少なく見積もっても、100年以内に地球上の森林がすべて消滅することになるものだということだ。
取材・文 SINRA編集部
食べ物や住まいに対する趣味が偏ると、世の中、とても生きにくい。クロアシイタチなんかはその典型だ。クロアシイタチは、プレーリードッグという齧歯類が分布する米国西部の大草原だけに住み、プレーリードッグだけを喰い、ついでにプレーリードッグが苦労して地面を掘って作った巣穴を乗っ取って、そこをマイホームにして生きる動物だ。なんて図々しい、なんて利己的な、と思われるかもしれないけれど、でもそれが彼らの生きる道。自然界の法則でいえば、”弱肉強食”当たり前、ということになる。
そのクロアシイタチが、'50〜'60年代に大幅に減少。1970年6月、彼らの残された生息地となったワイオミング州の狩猟生物管理局が急遽保護管理に乗り出した。
それでも個体数は減り続ける一方。1986年、人工飼育作戦に乗り出すべく、大がかりな捕獲プロジェクトが行なわれたが、捕まったのはわずか18頭に過ぎなかった。減少の原因は、彼らの唯一の食糧であるプレーリードッグが急激に姿を消し始めたことによる。プレーリードッグは地面を掘り返して巣穴を作るため、農家によって害獣とされ、繰り返し駆除の対象とされてきた。その結果、プレーリードッグは以前の5%以下に激減した。クロアシイタチはこれによって大打撃を受け、彼らもまた絶減の一歩手前まで追い込まれることになったのだ。
だが、1986年に捕獲された18頭のクロアシイタチは、ワイオミング州ホイートランドに設立された人工飼育センターに集められ、1991年までに200頭近くに増えた。そのための努力は相当なものである。クロアシイタチは獰猛な小型肉食動物で攻撃力も強いのだが、病原菌に弱く、研究者たちは彼らの健康管理に神経を使わなければならない。飼育室を常に塵ひとつなく清潔にしておくための掃除を欠かさず、飼育室内に入る前に、シャワーを浴び、消毒された制服、履物に者替え、マスクをする。クロアシイタチはジステンパーにかかりやすく、また人間の風邪やインフルエンザもうつってしまうのだそうだ。繁殖期には彼らの邪魔にならないよう、モニターを通しての観察である。
その成果が実り、1991年、飼育されたものを野に放つ初めての試みがセンターに隣接する保護区で行なわれた。その後、米国内の数カ所とカナダにもセンターが作られ、人工飼育自体は順調な成果をあげている。
しかし、野生に戻されたクロアシイタチが生きのびる確率はあまり高くない。たとえば、1994年秋に発信器をつけてモンタナ州の保護区に放たれた40頭のうち、翌年3月の調査で生き残っていることが確認できたのはメス6頭、オス2頭の計8頭だけだった。20頭は天敵のコヨーテにやられたものとみられているが、残りについてはよくわからない。ワイオミング州でも、昨年の調査では、わずか8頭しか確認できなかった。原因は同州を襲った荒天で、雨や雹がクロアシイタチの巣穴を崩したのではないかとみられている。野生に戻す試みはサウスダコタ州やアリゾナ州などでも行なわれ、そこでは自然繁殖が成功しているようだが、彼らが今後も無事生きのびることができるかどうかはわからない。
関係者にとって、クロアシイタチの保護区用の土地の確保も悩みの種だ。農場が隣接している所であれば、クロアシイタチの食べる分が残る程度にプレーリードッグを駆除するよう、農家の人々の理解を求めなければならない。どうせ飼育するのなら、いっそのことクロアシイタチがこの可愛らしい齧歯類以外のものを食べるように訓練すればとも思うけど、それは門外漢の発想というもの。ワイオミング州の飼育センターの係官いわく、「フーム、そんなこと考えたことないな。ペット用の他のイタチは缶詰のペットフードも食べるようになるから、やってやれないことはないのかもしれないけれど、それじゃあ、自然ではなくなってしまう。センターでの彼らの餌?もちろん、生きたプレーリードッグ・オンリーだよ。捕獲の練習もさせてるんだ」とのご託宣。
米国には、大草原で捕獲されたプレーリードッグを飼育センターに卸している業者もいるという。プレーリードッグはクロアシイタチほどの壊滅状態ではないからいいのかもしれないが、人間の保護の手にかかると、動物界では”多肉弱食”も可能になるというわけだ。ちなみに、ワイオミング州の飼育センターは昨年から、連邦政府の野生生物局の管轄に変わった。これは、米国がクロアシイタチの保護に、国のプロジェクトとして取り組み始めたことを意味する。
最も奇妙な霊長類、アイアイは夜行性で未知の部分が多く、注意深く観察・飼育が行われている。このコはまだ幼くて、巨大な耳のついた頭が大きすぎて、首がすわらない。