現在地 HOME > 掲示板 > 雑談専用11 > 1294.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20041120i105.htm
【北京=佐伯聡士】作家・村上春樹氏(55)の作品が、中国で爆発的な人気となっている。
代表作の「ノルウェイの森」はこれまでに100万部以上が売れた。こうした「村上春樹(中国語読みでツン シャン チュン シュー)現象」を支えるのは、都市部の若い世代。急速な経済発展に伴って生まれた「小資」(プチブル)や「白領」(ホワイトカラー)にとって、今や村上作品は、必読の書だ。
「村上作品の魅力は、簡潔で美しいユーモアあふれる文体はもちろん、孤独や空虚さ、退屈さを楽しむライフスタイルを読者に提供してくれる点にある」
上海訳文出版社が刊行した「村上春樹全集」の翻訳を担当した林少華・中国海洋大学教授(52)(日本文学)は、「欧米でも翻訳されているが、中国での人気は世界一だ」と断言する。
実際、1989年に林教授が初めて翻訳した「ノルウェイの森」をはじめ、これまでに「海辺のカフカ」(26万部)など、文集を含めて計27作品が出版されている。10万部を売り上げれば「奇跡」といわれる中国の出版界で、村上作品の人気は伝説的だ。作風をまねた若手作家も登場しつつある。今年前半には、女性作家が書いたとされる「ノルウェイに森はない」というパロディー本も出回った。
日本とは政治体制やイデオロギーが異なる中国でこれほど受けるのはなぜか。
林教授によると、読者層は、高校生や大学生の学生層と、30歳前後の“中産階層”。林教授が2002年6月に大学で外国語を専攻する100人余りの学生を対象にアンケート(複数回答)をした結果、「世界や社会生活を認識する視点・方法を提供してくれた」が47・4%、「孤独や寂寥(せきりょう)感への共鳴」が36%と多数を占めた。
上海訳文出版社の編集者、沈維藩氏は「今や村上作品を読んでいなければ『小資』ではないとまでいわれる。大都市の若者の好みに合っている」という。改革・開放政策から25年、都市部の経済発展が一定水準に達し、新たな階層が村上作品を支える市場になり始めたことを示している。
「孤独や寂寥感への共鳴」は、「一人っ子政策」で育った若者に受け入れられる理由の一つだ。林教授は「他の日本文学と異なって、主人公と読み手との距離感のなさが、作品の中に自分の姿を求める孤独な『一人っ子世代』の若者に受けるのだろう」と分析する。
30歳前後の世代は、反日感情が強いとされるインターネット世代でもある。しかし、不思議なことにそれほど抵抗は見られない。
北京市内で出版企画会社に勤める王立さん(30)は「非常村上」(すっごく村上)といわれる自他ともに認める熱烈な「村上ファン」だ。王さんは「あふれるほどの清潔感と透明感が大好き。国際化したところも受け入れやすい」という。伝統的な日本文学に特有の悲壮感や圧迫感がないことから、日本を意識せずに読み進められることが大きな理由だ。村上氏以外では、渡辺淳一氏も同様の理由で人気が高い。
林教授は新作「アフターダーク」の翻訳に取り組んでいる。村上現象の勢いは中国の経済発展とともに簡単には止まりそうにない。
★一時期は春樹&龍と並べられた時期もあったが、春樹の独走。かつて柄谷、浅田、渡辺一派が、同人誌で、二人を比較して龍の方をやたら持ち上げていたことを思い出す。結局、彼らの眼が節穴だったということか。