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あまりにも唖然とさせられたので、まともに取り上げるのではなく雑談板のほうにアップします。
増税、とりわけ消費税増税に反対したい一心での説明だとは思うが...
「第1に、分母の国民所得には間接税(消費課税)が含まれていません。分子の租税負担には間接税が含まれているにもかかわらず、分母に加味されていないのは、間接税比率が高くなっている現在不適切と言わざるを得ません。分母に間接税を含めると、日本の租税負担率もさらに低くなりますが、アメリカ以外の各国の租税負担率は、間接税比率が高いだけにいっそう低くなり、日本との格差は縮小すると考えられます。」
という説明にはびっくりした。
佐々木代議士は、租税負担率を、「租税負担額/国民所得」ではなく、「租税負担額/(国民所得+間接税)」で算定すべきだと主張している。
しかし、それは、国民所得に間接税を加算して国民所得を水増し、租税負担率を意図的に低下させてしまう誤った操作である。
(1000円の所得から100円の税金を負担しているときに(負担率10.0%)、30円は徴税方法が違うからと、100/(1000+30)=9.7%にするようなもの)
誰に配分されているかは別として、国民所得(GDP−資本減耗−間接税+国際移転収支+補助金)が国民経済全体のフロー所得であり、税金の種別は問わず、そこからどれだけ税金を負担しているのかという問題が「租税負担率」なのだから財務省の算定方法はなんら問題ない。
(政府部門の消費税負担に代表されるように、関税税から間接税を支払うということはあるが、ここでは触れない)
欧州諸国はとにかく租税負担率が高く、日本はそれほど高くないことを認めつつ議論を進めたほうがいい。
同じレベルの公共サービスを享受しているのなら、低い租税負担率で済んでいるということは国民経済力が高いということだからけっこうなことである。
租税負担率が低いことで公共サービスに不満があるのなら、具体的にどのようなことが不足しているのかを詰めて、どのような方法で企業や国民が負担するのか決めなければならない。
佐々木代議士がやるべき操作は国民所得の水増しや租税負担率の意図的低下ではなく、国民所得は家計も企業も含むものだからその分別を行っての租税負担状況の比較や問題点の指摘であろう。
「租税負担率」の高さはグロスの話だから、誰が(どのような層が)実際に税をどれほど負担しているかとはまったく別である。
仮に消費税が10%でも、低所得者にはマイナス所得税(所得補助)があったり、給与所得税の課税最低限が引き上げられるなら、低中所得者への課税強化ではなくなる。
何より重要な指摘は、欧州諸国が、租税負担率を上げること、とりわけ低中所得者の負担が増加するVAT(付加価値税)で上げてきたきたが故に、高失業率と経済不振を続けているということである。
経済状況を悪くする税制を導入し、そのために社会保障関係に費用が増大したからVATの税率をさらに上げるという笑い話のような推移を見せてきたのが70年代中期以降の西欧諸国である。
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2002年3月8日(金)
「税の空洞化」(その2)
政府税調も「中期答申」で「税収の国民所得に対する割合(租税負担率)は22.5%(見込み)で、わが国の租税負担率は主要先進国の中で最も低くなっています。」(平成12年7月)と述べています。
主要先進国の租税負担率について、財務省は次のような国際比較を示しています。
租税負担率の国際比較 | ||||||
(単位:%) | ||||||
日本 | アメリカ | イギリス | ドイツ | フランス | イタリア | |
租税負担率 | 22.9 | 26.1 | 40.0 | 31.0 | 40.6 | 42.8 |
うち消費課税 | 7.1 | 5.7 | 15.8 | 14.5 | 17.2 | 16.6 |
(注)
1、財務省が政府税調に提出した資料から作成。
2、租税負担率は、国税及び地方税合計の数値である。また、所得課税には資産性所得を含む。
3、日本は平成14年度当初予算案ベース。日本以外は、アメリカが1997年度、他国は1999年度の各国資料から作成されている。
租税負担率とは、租税負担/国民所得の数値ですが、この国際比較の数値にはいろいろ問題があります。
第1に、分母の国民所得には間接税(消費課税)が含まれていません。分子の租税負担には間接税が含まれているにもかかわらず、分母に加味されていないのは、間接税比率が高くなっている現在不適切と言わざるを得ません。分母に間接税を含めると、日本の租税負担率もさらに低くなりますが、アメリカ以外の各国の租税負担率は、間接税比率が高いだけにいっそう低くなり、日本との格差は縮小すると考えられます。
第2に、日本の租税負担率は90年代以降下がってきていますが、一方で財政赤字が増大していることを見逃してはなりません。特に問題なのは、国民負担率にも含まれていないストックの数値です。
国及び地方の長期債務残高は、2002年度末には693兆円にも達しようとしていますが、これは国民1人当たり約545万円にもなるものです。この処理は先送りされていますが、将来世代に重くのしかかっているものです。
国及び地方の長期債務残高については、主要先進国が下降もしくは横ばい状態の中で、日本だけが突出して右肩高く上がり続けているのです。これは、経済対策の名で国債を増発、浪費的な公共事業を拡大してきた歴代自民党を中心とする政府の責任です。
「税の空洞化」で租税負担率を持ち出すなら、このような点を無視してはなりません。
http://www.sasaki-kensho.jp/keyword/article/2002_back/20020308.html