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「努力」や「根性」、「忍耐」や「恐怖」は捨てて、肩の力抜いてゆっくりいこう(AKIRA氏の日記)
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/634.html
投稿者 尾張マン 日時 2004 年 9 月 05 日 02:36:28:YdVVrdzAJeHXM
 

http://www.akiramania.com/diary/0409.html

3 september (fri)
12 lunar moon

 昨日の夜中、半蔵(このHPの管理人)がケイ&サヤというカップルを連れてきた。
 彼らは日光で宿を探しているとき、「カッファ」(タケちゃんの奥さんヤスコちゃんの店)にはいり、偶然いた半蔵と話してたらオレの話になり、「アキラさんならすぐそこに住んでるよ」とうちへきた。

 ケイ(29歳男)は6年前に「COTTON100%」に衝撃を受け、300回も読みかえしたという。だからたまたま日光にきて、たまたまはいった飲み屋で、たまたま出会った半蔵に連れられ、たまたま「COTTON100%」の作者に会えるとは予想しなかったので、かなり舞いあがっていた。

 来月下旬に復刊される「COTTON100%」の表紙を描いてくれるイラストレーター小田島等さん
http://www.alterope.co.jp/shop/odajima.html
もakiramania4年分の日記をぜんぶ読破したという。超売れっ子で寝る間もないような人なのに。

 とか書いていたら編集者のマコから電話があった。
「ついに表紙が完成しました!早くメール開いてください」
 添付された表紙にぶっ飛んだ。すばらしい!ポップ! 明るい! オシャレ! かつ深い!  「今までの最高傑作にします」と書いてくれただけあって、一枚のイラストにすべてがつめこまれている傑作だ。さすが時代のつぼを心得ている天才だなあ。

 ケイの300回も読んだというのも記録だが、ついに最年少記録のメールもとどいた。なんと小学生のとき読んだ「COTTON 100%」で人生が変わってしまった人がいる! Nさんのメールを紹介しよう。

 初めてアキラさんの存在を知ったのは確か6年ほど前です。
 図書館で偶然「COTTON 100% 」を見つけ、まず表紙に惹かれ数ページめくったところで「ああこれは手放しちゃいけないものだな」と直感しそのまま持って帰りました(泥棒です)。
 いけないことなんですけどね。道徳的な理由以外にも、他の人がアキラさんを知る機会を奪ってしまったということにもなるんですけど、でも、手放してはいけないと思ったんです。

 いいよ、いいよ、オレが許す。
 お金を出して安全に買うより、危険を冒して盗むほうが勇気いるだろ?
 略奪婚までして「COTTON 100% 」を愛してくれてありがとう。

 何度も何度も読み返して、最後に紹介されている「ヒロシマ ナイト フィーヴァー」を買おうと決心して、それでも12歳には1500円は高すぎたし中野は遠すぎました。
 買おうと決心したまま6年が過ぎて、今こういう形で長年の夢が成就すると思うと不思議な気持ちです。
 「歌声喫茶」で6曲を視聴してからは、一日に一回は必ずどれかを聞いています(今までパソコンで音楽なんて聴いていなかったのに!)。
 昔からの大好きな「Fufu bird」を初めて聞いたときには涙が出そうになりました。ベストランキングではかなり低い評価ですが(少し悲しいなあー)。「Hiroshima night fever」の中でもとりわけ好きな曲だったので視聴できて嬉しかったです。曲といっても6年間も歌詞だけしか知らなかったわけですが。歌詞だけを口ずさんでどんな曲だろうと想像にふけっていました。

 がはは、いったいあの歌詞からNさんの頭のなかでは6年間もどんなメロディーが流れていたんだろ?
 はじめてメロディーを知ったときは、6年間文通した相手と会ったような感じなのかな。気に入ってもらえてよかったよ。「想像とぜんぜんちがう」とかフラれたらつらいもん。

 もし僕が鳥だったら、本当に君のところへ飛んでいけるのに。

 ナイトフィーヴァーはもう全てが好きです。
 人に薦めるときに「特にどれがいい?」と聞かれて(聞いてもいないCDを薦めるのもどうかと)、「Hiroshima night feverはいいね、私が好きなのはFufu birdで、でもHarakiri lovesongもいいし、Take me to the warとCaca bluesもすごいよ、Needle nightも」と延々語りかけ、「ハイハイ全部ね」と打ち切られます。薄情な友人を持ちました(笑)
 それと、以前の日記に「生写真は三枚買ってくれたら〜」と書いてあるのを読み、ええい便乗と思ったのですが、できたら、小さな紙きれでもいいので、サインと「頑張れ」という一言をつけていただきたいのです。(もちろんご迷惑でしたらかまいません!)

  「頑張れ」と書くのはおやすいご用だが、がんばっちゃいけないぞ。「頑張れ」がうれしいのは、その人がうまくいってるとき。落ちこんでるときに「頑張れ」サイン見ると破られる可能性があるので、なんかちがう言葉を贈るよ。

 私事になるのですが、専門的な高校に入り、卒業からつつがなく就職しました。18で会社員になり、機械を一台まかされるようになって数ヶ月経ちます。
 自分がどんどん会社の一員となり必要な人材、というとこそばゆいのですが「いなくなると支障をきたす存在」となっているのが肌で感じられます、朝は機械の整備のため事務の人より30分早い出社、新人ゆえの玄関・水周り・更衣室の掃除、10時間の立ち仕事、一日も欠かさない残業、食欲は慢性で出ず遅く帰ってパソコンをつけても明日のことを考えて早めに就寝、という生活の全てが、苦痛でしかなく(といっては言い過ぎな面もありますが。)
 私は昔から、本当に10年以上前から小説家になりたかった、というか、小説を書いて暮らしたかった、のです。初めてのメールでここまで打ち明けられてもアレだとは思いますが・・・。
 子供のころから青い空と草花と夏なら夏の、冬なら冬の、空や雲や木や風や水や虫や食べ物、が大好きで、そういったものを見て愛して愛されて生きたくてたまりません、もう「大人」と扱われる年になってもそれはちっとも変わらないのです。(偶然かもしれないのですが、私が「暑いようー、ちょっとでいいから涼しくして」
と頼むと風が吹くし「家につくまで降らないで」とお願いするとたいがい空は待っていてくれます)
 こんな生活は嫌だなあ、会社なんてやめていろいろなものを見て触れて何もかも知ってみたいという気持ちと「世間の目」「親の苦労」「社会的な立場」「普通の生活」という、きちんと保たなければいけないものの間でとても苦しいです。
 自分とかそんなものを捨ててしまえば楽になれるのにという誘惑と自分を捨てて何が自分だというプライドのようなものが心の内でせめぎあっていて、でもやはり自分は自分でいたいので、けれど自分で自分を信じるということはとても難しくて、アキラさんから一言をもらいたくなりました。

 小説家のためと割り切って、金貯めて、スパッと放浪の旅に出るのをすすめるね。文章なんて誰でも練習すればうまくなるけど、小説家にいちばん大切なのは「経験値」なんだ。今回与えられた肉体をボロボロになるまでつかい、世界を愛してやるんだ。

 小説を書いていて思うのは、(小説というか表現なら何でもそうなのでしょうが)、とてつもない恐怖です。
 自分の足で立つことも、自分の口でしゃべることも、自分の思っていることを紙に吐き出すのも、とても怖いです。
 諦めろよ才能なんてないんだから、と言われてしまいたいと思うときもあります、その言葉を理由に逃げてしまいたくもなります。本当は、人に伝わりたいと願うことはとても恐ろしいことではないかと思います。

 「言葉は暴力だ」
 その覚悟がないかぎり、ひと言も書いちゃいけない。
 というのはウソ。
 誰もが生きているかぎり、他者を傷つけまくっている。同時に君も傷つけまくられる。
 その「痛み」を言葉にするんだ。
 退屈な「真実」を書きたいなら、哲学者にでもなればいい。
 小説は君が「神」になれる唯一の楽園だから。
 犯罪だろうが、殺人だろうが、近親相姦だろうが、なにをやっても自由だ。

 この前母が「30年間写真を撮り続けて最近認められた人」をテレビで見て「すごいわねえ、夢を追いかけるって」と言っていたのですが、父も姉も「夢を諦めないって素晴らしい」というようなことを言っていたのですが、私は恐怖しました。
 夢を諦める、ということはその場で辛くはあるけれど、誰にも認められずに理解されずに自分の全てをなげうって報われるかわからないものに尽くし続けることに比べれば何ほどでもないと思いました。
 諦められない、ということは、とても怖いです。

 「夢を諦めないって素晴らしい」って言われても、
 恐怖、恐怖、恐怖!

 辛くても、一人でも、誰もいなくても、諦められない夢を持ってしまうなんて不幸ではないかとさえ思います。
 けれど自分もきっとそうなのです、諦めたいと言ってもいるくせに、たとえこのまま会社で働き続けたとしても文章を書くことがやめられるはずはないのです(実際忙しさに負けて一度は閉じたサイトを一月と経たないうちに復活させてしまいました)
(お客さんには本当に申し訳ない)
 どうせ諦められないのだから、諦めたくはないのです。
 けれど一気に会社を辞めて飛び出すほどの勇気は持てずにいます。
 だから、せめてこの場に立ち続ける力を持ちたいのです。
 諦めるにも諦めないにも理由が欲しい、なんて、自分は弱いなあと思うのですが、いつか何かをつかむまで、自分を失わないだけの一言がほしいです。(それが自分で自分に与えられるようになれればいいのですが。)

 「自分を失わないだけの一言」なんて、ねえよ。
 知っていたら をオレに与えてくれ。
 必殺逆励まし。
 「失え」

 こういうことは友人に話しても家族に話しても、
「会社をやめて小説を書いていきたい」
「それは逃げでしょう?」
「一人暮らしをして、それで小説を書いて暮らしたい」
「収入はどうするの?」
「バイトする、昼のでも夜のでも」
「そんなの将来の保険とか保証とかはないのよ?」
「わかってる」
「あんたの書きたい小説って売れるの?才能なんてあるの?芽は出るの?誰か編集者とかに認められたの?」
「・・・・ううん」
「じゃあやめなさい」
とあっさり片付けられ、私もまた失敗が怖いものでそれ以上強くは言えないのですが(苦笑) それでもねえ、やっぱり、青空はいいじゃないですか。
 怖がりながらでも飛んでみたいんです。落ちても、地面はあるんですよね。
書きたい書きたいと思いながら時間のなさにずるずると全てを許したくはないと思いました。

 保険とか保証なんてねえよ。
 オレの人生なんて、ずるずるしかないし。
 いいね、いいね、「夢をあきらめない」っていうのはあらゆる分野のアーティストにとって必須条件だからね。でも将来設計や目的はやめたほうがいいかも。
 極論すると、オレは今まで一回も「努力」したことはない。(カッコいい?)
 今の自分にとっていちばん楽しいことだから、小説を書いている。オレにとって創作は空気みたいなもので、人がショッピングやパチンコで遊ぶのと同じだ。ほかに能がないし、創作以外に人生を使いたくない。
 「努力」や「根性」、「忍耐」や「恐怖」は捨てて、肩の力抜いてゆっくりいこう。自分がいちばん楽しいことだけやってれば、「あれ、いつのまにか小説家になっちゃったよ」ってことになるからさ。
 大切なのは「なにになるか」じゃなくて、「なにを書くか」だよ。
 小学生で「COTTON100%」を理解した感覚の持ち主なら絶対とんでもない作品が書けるはず。
 デビュー作は「ナイロン100%」(大人のパンティーの物語)とか、「古問屋クッパ銭湯」(雑炊風呂ができるまでの苦難)とか、「子豚飛躍8セント」(薬屋のまえにあったマスコット豚が飛ぶファンタジー)とかね。(苦しい漢字ギャグでしたー)

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