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http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp05030507.html
【ワシントン4日共同=吉本明美】鳥から蚊、人間へと感染する西ナイル熱の患者が昨年、シベリア西部のノボシビルスクや周辺で初めて三人確認されたことが三日分かった。西ナイル熱は日本にはまだ侵入していないとみられるが、シベリアからは長距離の感染拡大に重要な役割を果たすとされる渡り鳥が、日本全国に多数飛来している。
このため国立感染症研究所(東京)は事態を重視。国内の大規模な飛来地を中心に、渡り鳥の感染状況の調査に乗り出すことを決めた。
患者の検査結果をまとめたロシア・ウイルス生物工学研究所のワレリー・ロクチェフ博士によると、三人は昨年五〜八月にかけ高熱や脳炎を発症。血液などから、原因となる西ナイルウイルスや抗体が確認された。
シベリア西部は冬季は氷点下約五○度にまで冷え込むが、夏季は気温が約四○度に上がり、ウイルスを媒介する蚊の活動も活発。ノボシビルスクでは二○○二年夏に、カラスやマガモからウイルスが検出されていた。シベリアには渡り鳥がウイルスを持ち込んだとみられるという。
専門家の話では、人口密度が低いシベリアでの患者発生は、ウイルスが既にかなり拡大している可能性を示しており、早急な監視強化が必要。感染研は渡り鳥の採血調査や、鳥に寄生していたダニ、周辺の蚊などの調査を検討している。
日本にはシベリアで営巣するツルやカモ、シギ・チドリ類など多くの種類の渡り鳥が飛来。シベリア東部からの鳥が多いが、一部のカモなどは西部からも飛来している。