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(回答先: 【BSE】変異型ヤコブ病、国内で発症・英国への渡航歴 【日経】 投稿者 bunbun 日時 2005 年 2 月 04 日 14:03:55)
英短期滞在で変異型ヤコブ病
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050208/mng_____tokuho__000.shtml
国内で初めて、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)と確認された五十代の男性患者(死亡)は、英国で感染した可能性が指摘されている。だが、男性の英国滞在は一九八九年のわずか「一カ月」。潜伏期間は十年程度とも言われるが、英国短期滞在者にも不安が広がり、厚生労働省の相談窓口には相談が殺到した。しかし、変異型ヤコブ病の発生は世界的に見ればごくわずかだ。「過度な心配」は不要?
「滞在が一、二年なら危ないのかなとは思っていたが、短期滞在だったから心配もしていなかった」。こう話すのは、八九年夏の二カ月間、自転車で英国を旅行した会社員男性(38)だ。
「ユースホステルを利用した貧乏旅行だったから、町の食肉店でつるされた牛肉を買ってはホステルで料理していたし、牛肉は毎日食べていた。後で、ミンチだけでなく、そうした牛肉にも『肉が甘くなる』という理由で脳みそを振りかけていたと聞いたが…。不安にはなりますよ」
一方、八七年から九〇年にかけ、丸三年間、ロンドンに滞在していた駐在員の四十代の男性は「たしかに当時、新聞などでも『マッドカウ・ディジーズ』(狂牛病)の話は載っていた。しかし、爆発的にBSEがはやっていたという印象はない。むしろ、当時、心配されたのは鶏のサルモネラ菌問題。『牛肉はまさか』というのが正直な感想だ」
食には気を付けていたというこの駐在員は「心配してもきりがない。ただ、今後、駐在員で一人でも発症したら、(同じような食生活の)駐在員の間で衝撃が走るのは間違いない」とも付け加えた。
夫婦で九九年から約一年滞在した公務員は「あまり安い肉は危ないといわれていたが、それを除けば気にしなかった。留学生らは価格的にもハンバーガーなど、ミンチ肉系をよく食べていたと思う」と振り返る。
■「大丈夫なのか」電話相談に殺到
今回の事態を受け、厚労省が設置した電話相談窓口には、七日までに五百件近くの相談が寄せられた。
「八九年、九〇年ごろに英国へ行ったが大丈夫か」「英国でハンバーガーを食べたのだが」「発症前に分かる手段はないのか」といった内容が多く、滞在期間も一週間程度の旅行から長期滞在までさまざまだ。しかし、相談窓口といっても、同省が言えることは「発症率は極めて低く、二次感染の危険がないことだけ」(担当者)。発症前の検査方法もないため、「危ないのではないか」と心配する声も聞きおくしかない。
英国でBSE感染牛が初めて確認されたのは八六年だが、脳など特定危険部位の食用が禁止されたのは八九年十一月。この間、同国に滞在した日本人はどれだけいたのか。
外務省領事局政策課によると、八六年の永住者は約千六百人、三カ月以上の長期滞在者は約一万八千人で、その後も年々微増。九〇年には永住者が約二千人、長期滞在者が約三万五千人に達した。ただ、数字は大使館などに自主的に届け出た数で、旅行者などで届け出のない数は不明だ。
「滞在一カ月で変異型になったケースは過去にはない」と、男性患者の発症を発表した厚生科学審議会CJD等委員会の北本哲之委員長は会見で認めている。英国での感染に疑問はないのだろうか。
同委員会の下部組織CJDサーベイランス(調査)委員会の山田正仁委員長は「八九年当時の英国では変異型ヤコブ病に感染するリスクが非常に高かったことなどからすれば、英国で感染したと考えるのが妥当」とした上で、「当時渡航した人でも、完全なベジタリアン(菜食主義者)ならば感染はしていないと言えるとは思う。それ以外でも感染する可能性は非常に低いが、ではどれくらいかとはいいようがない」と話す。
山田氏によれば、どれくらいの量を食べると感染するのかなどの研究は、本場の英国でも進んでいないという。英国で発生した患者百五十三人がどのような食生活を送っていたのかや地域的な広がり具合など、詳細なデータは今後の大きな研究課題だ。
片峰茂長崎大教授(ウイルス学)は、今回の発症確認は「予測された範囲内のことだ」とした上で、「英国がウシの危険部位の除去を決めた八九年十一月以前の危険な時期に、同国に滞在した人に対して定期的にチェックを行うことなど、厚労省が調べていくべきでは」と話す。
とはいえ、発症前に感染を突き止める手法は確立されていない。脳組織の一部を取って行う検査や放射線による脳の画像診断など、研究は進められているが、「どれもまだめどはついていない」(片峰氏)。
片峰氏は治療用新薬を開発しているが研究途上だ。「現状ではヤコブ病だと分かっている患者への治療法研究が多く、患者は死亡寸前の状態だ。分からないことが多すぎる」と話す。
渡航歴のある人にしても、もし感染していたらとの不安は尽きない。
九州大学の立石潤名誉教授(神経病理学)は「発症すれば治療法はなく、必ず死亡する病気。さらに食品がその原因と聞けば、人々が不安を募らせるのは当然だ」と語る。
ただ、日本人が感染しやすい遺伝子を欧州人の約二倍持っているといった指摘に対しては、「発生が多い病気なら重大な情報だが、発生率は極めて低い。それを考えると、過大に神経質になる必要はない。そもそも遺伝子については、日本人の場合、(変異型ヤコブ病の)発症を抑制する働きが強いという予測も成り立つ」と冷静な対応を促す。
■「国内での感染確率1人以下」
国際獣疫事務局(OIE)名誉顧問の小澤義博氏も「国内感染が絶対にないとは言えないが、国内での感染は確率上は一人以下」と指摘。英国での感染でも滞在者数などで計算する限り、「二人目が出るとは考えにくい」とみる。
今回の事態が、米国産牛肉の輸入再開問題にも影響を及ぼすとも見られているが、前出の立石氏は「理想論からいえば、全頭検査が望ましい。だが、どんな食品にせよ、さまざまな病原体が入っている。コスト面と安全性の双方を考えると、生後二十カ月以下の牛は除外するという方向は良識の範囲内だ」と指摘する。
ただ、「それ以前の問題がある。解体作業における危険部位の扱いが問題だ」と話すのは小澤氏だ。
厚労省監視安全課によると、同省は二〇〇一年十月、全国の家畜解体施設に「食肉処理における特定部位管理要領」を通知し、安全対策の徹底を強調した。しかし、小澤氏は「多くの解体施設が地方自治体の管理下で、国による安全対策の検証は十分でない。肝心なのは危険部位を完全に取り除くこと。管理の透明性の徹底が必要だ」と訴える。
今回の死亡例についても、立石氏は情報の透明化が求められているとして、こう話す。「感染経路の徹底した追究は何よりも大切だ。結果の可能な限りのデータ公開も人々の不安を解消させる意味でも不可欠だ」