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日曜日からイタリアでタバコに関する新しい法律が発効しました。イタリアでここまでやるとは正直言って意外な感があります。これについて、それぞれ違ったエピソードを取り上げているフィガロとリベラシオンの記事を2本ご紹介します。交通事故の原因がタバコだとか、水鉄砲装備の喫煙者狩りとか、びっくりするような話ばかりです。
La cigarette hors-la-loi dans les locaux publics
公共の場所でタバコが違法に
1月11日付け ル・フィガロ Richard Heuze(ローマ特派員)
元記事はこちら http://www.lefigaro.fr/international/20050111.FIG0218.html
(翻訳はじめ)
日曜の夜、0時少し過ぎ、ナポリの高級地区ヴォメロのとあるバーで紙巻たばこを口にくわえた最初の違反者が急襲された。この22歳の若い男性は、即座に27ユーロの罰金支払いを命じられた。いっぽうこのバーの経営者は、建物内禁煙の掲示を行わなかったとして50ユーロの罰金を命じられた。
保健大臣のジロラモ・シルキアは、新法が「禁酒法的なもの」ではないと断言する。ただしそれは法律を厳密に実施しないということではない。今夜から法律違反を監視するために数百名の警官が公共の場所を巡回する。「喫煙用」空間を備えない公共の場所、喫煙場所との分離扉と適切な換気設備を備えない場所での喫煙を禁止する新法は2002年に可決された。24万軒に及ぶバーやレストラン、ディスコ、あるいはその他の閉鎖された公共施設の所有者は、新法に適応するために18ヶ月の猶予期間を与えられた。しかし適切な対策を採ったのはそのうちのわずか4.5%に過ぎなかった。法律に違反したお客の罰金は最高275ユーロに達するが、経営者の方は営業ライセンス剥奪と2200ユーロの罰金を課される可能性もある。さらに妊婦や12歳以下の子どものいる場所で喫煙した場合の罰金額は2倍になる。電車内、飛行機内、駅と空港での喫煙はすでに禁止されている。
最後の瞬間まで、喫煙常習者は国民レベルの不服従キャンペーン開始を叫びつつ、わざと法律違反をするつもりでいた。しかし彼らは自明の事実を認めないわけにはいかなかった。イタリア人の73%と全消費者団体が保健大臣の側についたためだ。自身ガン研究者である元保健大臣のウンベルト・ヴェロネージは「法律に反対することは他者の尊重を意味しません。わざと違反するなど、歴史の流れに逆行するような態度です」と語る。
保険会社各社は、交通事故の原因の15%をタバコによるものだとしている。運転中タバコに火をつけるための2秒間が致命的な不注意の瞬間を招くというのだ。保健省では、新法によってヘビースモーカーの一日の喫煙量が12%減少すると計算している。英国も2006年から同様の法律を実施する。欧州連合のその他の加盟国は、人々の意志の力でタバコ中毒を抑えようとしている。しかしフランスで1992年から施行されているエヴァン法はほとんど尊守されていない。パリ市はタバコが歓迎されざるものであることを示す「100%禁煙」のシールを貼るよう奨励している。
イタリアの喫煙者は浮かない顔だ。ストラスブールの欧州議会場で「トスカーニ」というシガーを吸おうとしたロッコ・ブッティリオーネなどがその代表だ。防衛大臣のアントニオ・マルティーノは、閣僚会議を含む公共の場所で喫煙する権利を要求していた。それでもイタリア国会は禁煙ゾーンになってしまった。下院議長のピエルフェルディナンド・カジーニは、会議の合間に議員達が歩き回る大廊下、「トランスアトランティコ」でも喫煙が違法であると宣言したのだった。
(翻訳おわり)
Blondes et brunes n'ont plus la cote en Italie
ブロンド(紙巻タバコ)もブルネット(シガー)も、もはやイタリアでは人気無し
1月11日付け リベラシオン Eric JOZSEF(ローマ)
元記事はこちら http://www.liberation.fr/page.php?Article=267226
(翻訳はじめ)
腕時計を手に、ナポリのヴァンヴィテッリ広場にあるとあるバーの経営者は午前0時を待ち受けている。昨日0時1分、イタリアのタバコ中毒防止新法はその最初の犠牲者をだした。タバコから離れられない22歳の若い男性だった。「喫煙者専用のホールに行こうとしなかったのです。警察を呼ばざるをえませんでした」
有罪者は現行犯で27ユーロの罰金支払いを命じられた。
イタリアの1400万人のタバコ愛好家とタバコに対する締め付けはもともと1月1日に施行される予定だったが、とうとう昨日、異例の厳しさをもって発効した。新年と公現祭のお祭騒ぎも終わったため、保健大臣のジロラモ・シルキアはもはやこれ以上の施行延期は認めなかった。今後、イタリア全土の公共交通機関、バー、レストラン、ディスコのみならず、民間・公共機関を問わず職場でも、極度に厳格な換気・遮断設備を備えた専用喫煙空間以外では喫煙は禁止される。ところがカフェ・レストラン業協会Fipeによると、イタリアのカフェ・レストランのうち、喫煙者のための特別室を設けている施設はわずか5〜6%に過ぎない(パレルモでは1800軒のカフェ・レストランのうちわずか1軒のみ)。
動揺がひろがっている。日曜の夜からローマのトラステヴェーレ地区では、シルキア保健大臣のシンパであるいくつかの小さな集団が、水鉄砲を手に喫煙者狩りを行った。しかし喫煙常習者は水鉄砲よりもはるかに痛い目にあう危険性がある。罰金の基本料金は27ユーロだが、エスプレッソを啜るひとときにバーのカウンターでタバコ一本に火をつけた場合の罰金は275ユーロに達する場合もあり、さらに子どもや妊婦がそばにいた場合にはその額は2倍に跳ね上がる。脅かされているのは経営者の側も同じだ。禁煙空間でタバコに火をつけたお客に対し、火を消すように懇請せざるをえない経営者は、協力を拒んだお客を警察に差し出さねば自分の方が最高2200ユーロの罰金を支払わされることになる。とくに、タバコに対するアレルギー反応が激烈な知事の管轄にある場所の場合、法律に違反したバー、パブ、ディスコなどは3カ月間の閉鎖を命じられる可能性もある。この処置はすでに、彼らの自身のお客を売り渡すことを拒否している一部経営者の憤激を買っている。
総体として、昨日新法はなかなか良く守られたようだった。ローマ株式市場のあるハドリアヌス寺院の前で、エレガントな老紳士マルチェロはタバコを口にくわえたが、結局あきらめた。冬の陽だまりの中、馴染みのバーの前でマルチェロさんは長いため息をついた。「中でタバコを吸ってみたんですよ。運試しにね。そうしたら、外に出るように丁寧に言われましたよ…辛抱しなきゃね」。
実のところ喫煙者の多くは、ひとたび新法の波風が収まったら、伝統的なイタリア風プラグマティズムが復権し、徹底的な禁止がほんのちょっぴり緩和されるのではないかと希っている。
お情けの猶予
商業経営者協会は、数々の訴訟を予告している。タバコ問題で妥協はできない経営者側は、施設が喫煙室を設置するまでのお情けの執行猶予期間を求めており、政治家の一部を当てにしている。その筆頭は次のように公然と発言した防衛大臣のアントニオ・マルティーノだ。「私自身テーブルに着いたら、タバコが吸えるといいなと思いますよ。(…)タバコに火をつけるかつけないかは自由の問題です」。
いっぽうジロラモ・シルキアはこう警戒する。「反抗的な喫煙者を教育するために2〜3カ月は罰金を抑えますが、そのあとは厳格に法律を適用するつもりです」
(翻訳おわり)
http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/archives/12180519.html
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