http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20050108ddm041040092000c.html
特養ホーム：年末以降に６人死亡　食中毒か感染症、４２人が症状−−広島・福山

　広島県福山市保健所は７日、同市赤坂町早戸、特別養護老人ホーム「福山福寿園」（岡田剛理事長）の入所者４２人が、昨年１２月３０日から１月６日にかけておう吐や下痢などの症状を訴え、うち男性１人と女性５人の計６人（８１〜９１歳）が死亡したと発表した。同保健所は、食中毒と感染症の両面で調査をしているが、同園からの連絡はなかったという。岡田理事長が同園の主治医で死亡診断書も書いており、県警福山西署は業務上過失致死の疑いもあるとみて事情聴取を始めた。

　同保健所の立ち入り調査の結果、入所者６３人のうち、１２月３０日１人▽３１日８人▽１月１日２人▽２日１５人▽３日７人▽４日５人▽５日１人▽６日３人の計４２人が、おう吐や下痢、発熱の症状を訴え、このうち３１日から１月５日の間に６人が死亡。残りの３６人は回復傾向にあるが、４人に症状が残っている。

　７日午後１時４０分ごろ、匿名の男性から電話で、「市内の老人ホームで集団食中毒らしきものが発生している情報が入っているか」と問い合わせが、同保健所にあり発覚した。厚生労働省によると、食品衛生法や感染症法では、食中毒の疑いのある患者を診断したり、感染症と診断した医師は、直ちに最寄りの保健所に届けることが義務づけられている。

　同保健所によると、６人の死亡診断書は、５人が「脳こうそく後遺症」、１人が「小脳出血後遺症」だった。しかし、遺体は既に火葬されており、診断書が正しいかどうかの確認は難しいという。一方、同園の主任相談員の説明によると、死者が相次いだため４日に入所者全員の検便を実施。７日午後、市の医師会を通じて「食中毒ではない」との連絡があったという。

　死亡した６人は寝たきりで重度の要介護者。食事は、園内で調理したものの他、市販の流動食や普通食。同保健所は、症状から、食中毒かインフルエンザなどの感染症の疑いで調べている。これを受け、給食施設の使用自粛などを要請した。

　広島県や同園のホームページによると、施設は社会福祉法人「豊美会」が８０年に開設し運営。建物は３階建てで定員６６人。職員数は６８人。【茶谷亮、傳田賢史】
毎日新聞　2005年1月8日　東京朝刊

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050108i404.htm
「異常事態と思わず」…６人死亡「福山福寿園」理事長

　広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で入所者６人が死亡した問題で、同園を運営する社会福祉法人「豊美会」の岡田剛理事長（医師）が、計４人が亡くなった３日の段階で事実関係を把握していながら、通報していなかったことが８日、わかった。

　同理事長は「感染症か食中毒か、判断を迷った」としているが、市保健所は、この段階で保健所などに届け出なかったのは感染症予防法（届け出義務）や食品衛生法（同）違反の疑いが強いと判断、同日午前も施設を立ち入り調査した。

　市保健所などの調べでは、発症者が急激に増えたのは昨年１２月３１日で８人が発症。さらに１月２日には１５人、同３日には７人が発症した。

　これについて、岡田理事長は８日未明に会見し、「３日夜の段階で、十数人が発症を訴えていたので、下痢やおう吐の症状から、食中毒かもしれないと考えた。しかし年末年始は面会者が多く、感染症かもしれないとも思った」と説明。その一方で、「年間約３０人の入所者が死亡しており、（６人が亡くなっても）異常事態とまでは思わなかった」と述べた。

　市保健所はすでに、岡田理事長ら同園職員から事情を聞いており、園側が集団感染などを疑いながら通報しなかったことで、発症者が増えた恐れもあるとみて、検体の検査結果が出るのを待って、園側の管理体制などを指導する。

　原因については調査中だが、ロタウイルスやノロウイルスなどの病原体が引き起こした可能性も指摘されている。

　ロタウイルスは、幼児に多く、唾液（だえき）や便を介して感染。同ウイルスによる胃腸炎は「おう吐下痢症」とも呼ばれ、冬場に集団発生することがある。福山市内では昨年１２月ごろから、ロタウイルスによるとみられるおう吐や下痢を訴える患者が１日数十人から１００人程度出ており、市医師会が注意を呼びかけていた。

　一方、ノロウイルスは、秋から冬にかけて食中毒や集団感染を起こす代表的な病原体で、おう吐、下痢、発熱などを起こし、老人や乳児では死亡することもある。
(2005/1/8/13:00　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20050109ddm041040073000c.html
広島・福山の特養死亡：さらに１人死亡　感染症の可能性高まる

　広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」（岡田剛理事長）の入所者６人が嘔吐（おうと）や下痢などの症状で相次ぎ死亡した問題で、同市保健所は８日、同日午後に新たに男性入所者（８３）１人が死亡したと発表した。市の調査で、死亡者のうち４人は、食中毒が発生する可能性が極めて低い流動食のみを取るなどしており、感染症が原因の可能性がさらに高まった。
毎日新聞　2005年1月9日　東京朝刊

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050109ic26.htm
福山福寿園７人死亡、発症者検体から「ノロウイルス」

　広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で入所者７人が死亡、計３５人におう吐などの症状が出た問題で、市保健所は９日、発症者の検体からノロウイルスが検出されたと発表した。

　ノロウイルスは、秋から冬にかけて、食中毒や集団感染を起こす代表的な病原体で、おう吐、下痢、発熱などを起こし、老人や乳児では死亡することもある。
(2005/1/9/21:22　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050109i214.htm
老人施設での感染症、５００人超…福山はノロウイルス

　広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で入所者７人が死亡した問題で、市保健所は９日、発症者の検体からノロウイルスが検出されたと発表、昨年末から続いた同園での集団発症は、ウイルス感染が原因と断定された。

　専門家によると、ノロウイルスによる集団感染で多数の死者が一度に出たのが確認されたのは国内では初めてといい、福山西署は、患者の１人を司法解剖し感染拡大の経緯について捜査を始めた。また、９日に明らかになった分だけでも、全国９道府県の老人施設で、同様の感染症とみられる患者５７６人が確認され、各施設では対応に追われている。

　福山市保健所によると、福山福寿園で発症した入所者１１人と職員１人を対象に今月８日に行ったウイルス検査で、入所者の９検体からノロウイルスが検出された。

　福山西署は９日、死者が多いことや届け出の経緯に不明な点があるため、７人目の死亡者となった男性入所者（８３）について司法解剖を行った。その結果、男性の死因は「吐しゃ物を気道に詰まらせた窒息死」と確認された。流動食を摂取中、おう吐したといい、感染によるおう吐とみられる。

　一方、同園では９日、新たに入所者１人が下痢などを発症していたことがわかり、死者を含む発症者は総計４３人になった。
(2005/1/10/01:51　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20050110ddm041040094000c.html
広島・福山の特養死亡：入所者からノロウイルス検出　感染症の疑い、強まる

　◇７人死亡の特養ホーム

　広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」（岡田剛理事長）の入所者７人が昨年末から今年初めにかけて下痢やおう吐などの症状で相次ぎ死亡した問題で、同市保健所は９日、入所者や職員の検便１２検体のうち、いずれも症状が出ていた入所者の９検体からノロウイルスが検出されたと発表した。一連の発症はノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎である疑いが強まった。

　市保健所はこの日までに、園側からこれら１２検体を含む４７検体の提出を受けており、１０日、同市対策会議の調査委員会で専門家の助言を受け、今後の対応を検討する。

　一方、園は入所者の家族らを集めた説明会を開き、岡田理事長と弟の宏園長が謝罪、経緯や現状を報告した。約６０人が出席し、家族らから「異常が起きたら早く家族へ知らせてほしい」などの指摘が相次いだという。

　園によると現在、入所者のうち８１〜９８歳の男女５人に症状がある。いずれも小康状態だが、症状によっては病院への受け入れを要請する。

　県警福山西署は８日午後に死亡した男性入所者（８３）の死因は、司法解剖の結果、胃の内容物が逆流し、のどに詰まったことによる窒息死と明らかにした。【竹内良和、堀江拓哉、茶谷亮】

………………………………………………………………………………………………………

　■ことば

　◇ノロウイルス

　食中毒を起こす代表的な病原体の一つ。感染から２４〜４８時間でおう吐や下痢などの急性胃腸炎症状を発症する。ウイルスの付着した生がきなどの二枚貝を食べたり、患者の便や吐しゃ物を処理した人を介して感染する場合が多い。患者の発生は冬場がピーク。厚生労働省によると、ノロウイルスが原因となった０３年の患者は１万６０３人だが、死者はいなかった。
毎日新聞　2005年1月10日　東京朝刊

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050110i313.htm
福山福寿園の集団感染、職員２０人も下痢など発症

　入所者７人が死亡した広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」のノロウイルス集団感染で、市保健所は１０日、同園の職員２０人も昨年１２月３０日から今月９日にかけて下痢などを発症していたと発表した。

　これで死者を含む発症者は計６２人となった。

　ウイルスは、園で調理した昨年１２月２４―今月３日の食材４６点からは見つからなかったことも判明した。市保健所は、外部から人を介してウイルスが侵入したと断定し、感染源や経路の特定を急いでいる。

　　　　　　　　　　◇

　昨年末に下痢を起こし、１月８日に死亡した８３歳の男性について、市保健所は、検便からノロウイルスが検出されなかったとし、今後、ウイルスによる発症者や死亡者から除く可能性もあるとしている。
(2005/1/10/22:44　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050111i108.htm
「通報遅れ」７人死亡の福山福寿園を行政処分へ

　入所者７人が死亡した広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」のノロウイルス集団感染で、園を監督する福山市は１１日、当初の初期通報の遅れは、市町村への速やかな通報を定めた、老人福祉法に基づく厚生労働省令の「事故発生時の対応」を逸脱していたと判断、近く、園の運営法人「豊美会」に対し、業務改善命令などの行政処分をすることを決めた。

　また、集団発症問題発覚後も、入所者介護の際の衛生管理などに不備があったとして、併せて改善を求める。

　市は今回の発症について、園側が、今月２日だけでも１５人が下痢などの症状を訴え、２人が亡くなったとしている点を重視した。

　同省令では、園内の事故発生の際は速やかな市町村への連絡を求めており、市は、今回のケースでは原因の病原体が特定できていなくとも、感染者が相次いだ時点で「事故」と判断し、今月３日には同市に通報すべきだった、としている。

　さらに、集団発症の発覚直後の７日から市保健所が行っている立ち入り調査では、園の職員が手を消毒せずに入所者のおむつの交換をするなど、感染症の拡大につながりかねない処置をしていたり、当初は「職員は発症していない」としていたのに、実際は２０人に症状が出ていたりと、園内の衛生、健康管理面での問題も明らかになった。
(2005/1/11/14:50　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050111ic23.htm
新たに１人がノロウイルス発症、福寿園で計６４人に

　入所者７人が死亡した広島県福山市、特別養護老人ホーム「福山福寿園」のノロウイルス集団感染で、福山市保健所は１１日、新たに入所者１人が発症した、と発表した。

　さらに、健康調査などから８日に発症者１人がいたことも判明、これで死者を含む同園の発症者は計６４人となった。

　また、職員が手を消毒せずに入所者のおむつの交換をするなど、感染症の拡大につながりかねない処置をしていたことも、市保健所が行っている立ち入り調査で明らかになった。

　この点について、同園の岡田剛理事長は１１日夕、記者の質問に対し、「おむつ交換の際の消毒など、今朝の朝礼で職員に衛生管理の徹底を伝えた」と答えた。
(2005/1/11/22:36　読売新聞　無断転載禁止)

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