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http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20041030i514.htm
インドネシアのスラウェシ島北部に位置するブイヤット湾の漁村「ブイヤット・パンテ」で、住民らが腫瘤(しゅりゅう)や発疹(はっしん)、手足のしびれなどの「謎の疾病」に悩まされている。村の近くでは、米国系鉱山会社「ニューモント・ミナハサ・ラヤ」が1996年から金の採鉱・精錬を行っており、地元メディアや民間活動団体は、「湾内に投棄された鉱滓(こうさい)に含まれる有機水銀などを原因とする、インドネシア版『水俣病』だ」と主張。警察が環境保護法違反の容疑で米国人を含む同社幹部5人を逮捕する事態に発展した。(インドネシア・スラウェシ島で 田中秀敏、ジャカルタ 黒瀬悦成)
長さ約5キロの海岸線が半円形に延びるブイヤット湾。小型の漁船が並ぶ砂浜には、漁村に特有の「魚のにおい」がない。目の前の湾が“死の海”と化しつつあるためだ。
漁師の1人と小舟に乗り込み、湾の入り口近くで釣り糸をたらした。数分後、漁師が釣り上げた長さ約15センチの魚の両腹には、大きなこぶがあった。こぶを切開すると、中からヘドロのようなどす黒い液体が流れ出した。「食べられるのか」と聞くと、「とんでもない」と首を振った。
ブイヤット湾はかつて、手づかみで魚が取れる豊かな漁場だった。しかし住民は、「ニューモント社が来てから魚の姿が消えた」と言う。同社は、金の採鉱・精錬で生じた土砂や鉱滓(1日あたり2000トン余)を、湾内の海岸から1キロ、深さ80メートルの海底までパイプで運び、捨てていた。
「死の影」は、住民にも忍び寄った。村では約3年前から大人4人が一様に「胸が熱い」と訴え、相次ぎ死亡した。全村民約300人のうち7割が腫瘤や頭痛など何らかの身体の異常を訴えている。
13歳から漁師をしているバスリー氏(32)も、妻とともに2年前から慢性頭痛に見舞われ続けている。2人の子供にもこぶと発疹が出た。漁に出ても、以前は1日に10万ルピア(1200円)は稼げたのが、今や湾外まで出て何とか魚を取っても、市場では「ブイヤット産だろ」と言われて買いたたかれ、1日2000ルピア(24円)にもならないという。
問題は、病気の原因を特定するため、複数の専門家が湾内の汚染状況や住民の健康状態を調べても見解が全く一致せず、住民救済に向けた方策が打ち出せないでいることだ。
警察が今年9月に入り、ニューモント社幹部の逮捕に踏み切ったのは、独自の環境検査の結果に基づいた措置だった。インドネシア大の環境安全・リスク分析センターが今年7月に発表した住民の血液検査でも、通常値を超える水銀が検出された。
しかし、世界保健機関(WHO)の委託を受けた国立水俣病総合研究センターの坂本峰至室長は住民の毛髪を調べ、「同湾で水銀汚染はない。住民は水俣病ではない」と断定した。
ニューモント社は「採鉱は2001年に終了済み。今月には精錬など全操業を停止した。環境対策にも配慮してきた。村民の病気は、栄養不良や不衛生が原因だろう」と主張。テレビで「ブイヤット湾は安全」とする意見広告を大量に流し始めている。
(2004/10/31/00:35 読売新聞 無断転載禁止)