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(回答先: 児童ら95人が嘔吐・下痢=旭川の施設、ノロウイルス検出−北海道(時事通信) 投稿者 シジミ 日時 2004 年 9 月 21 日 19:25:13)
http://www.botanical.jp/library/news/087/
(前略)
牡蠣の中毒ウィルス
牡蠣にあたる、という表現で多発していた中毒症状の大部分が、ウィルスに起因すると解明されたのは比較的最近のことです。このウィルスはヒトカリシウイルス科Caliciviridaeに属する、カリシウィルスcaliciviruses で、日本では小型球状ウイルス群SRSV(Small Round Structured Virus)とも呼ばれています。SRSV類は冬期(11月―3月)に多く発生し、ウィルスが牡蠣などの二枚貝(あさり、ほたて、はまぐり)の中腸腺に蓄積されています。牡蠣は海中においてエラで呼吸する時に、プランクトンと一緒にSRSVを吸い込み、中腸腺に運び込んでSRSVを濃縮蓄積すると考えられています。
SRSVとノーウォーク様ウイルス、ノロウイルスは同じウィルスの異名称です
1968年にアメリカ、オハイオ州のノーオークNorwalkで児童に集団中毒が発生し、1972年になって病原ウィルスの検出に成功したため、2002年の学会ではSRSVをノーウォーク様ウイルスNorwalk‐like viruses NLVと名付けました。米国でのノーウォーク様ウイルスによる胃腸炎は,これまでに患者数で2300万人、入院者は5万人、死亡者が310人と記録されています。(CDC米国疾病管理センター)
新種のノーウォーク様ウイルス
最近の日本ではSRSV類を総称してNLVと呼ぶようにしていますが、欧米ではノーウォーク様ウイルスをノロウイルス( Norovirus )とも総称するようになりました。
近年になり、ヒトカリシウイルス科には遺伝子の異なるウィルスが次々に発見され、発見地の名前が漸次つけられています(注1)
SRSV類の症状と対策
SRSV類は食中毒の65%を占める原因ウィルスといわれますが、小腸でウィルスが増殖する感染性胃腸炎で、潜伏期間は1-2日、腹痛、吐き気、おう吐、下痢、発熱があります。日本では1997年に食中毒原因物質として指定され、第4類感染症に分類されました。このウイルスは酸、アルコール、塩素に、抵抗性があり、培養ができないことと、動物感染実験ができないことで多くのことが、いまだに解明されていないといわれています。免疫は数ヶ月で失われる上に、株の異なるウィルスには通用しません。加熱による殺菌は、60度では30分以上でも不十分ですから、100度は必要です。
現在、生牡蠣は食品衛生法によって海水中の細菌数が基準を満たしている海域で養殖されたもののみとされていますが、体調が悪いとき、過労時は生牡蠣の摂食、または過食は避けるべきです。(CDC、国立感染症センター、国立衛生研究所など)。
注1)サッポロウイルス(Sapporo-like viruses SLV)、Snow Mountain virus、Montgomery County virus、Hawaii virus、Taunton virus、Moorcroft virus、 Barnett virus、 Amulree virusなど。
胃腸炎を起こすアストロウィルス(Astroviridae)も過去にはカリシウィルス科に分類されていましたが、現在は別科目です。
注2)生牡蠣の滅菌法
1925年に志摩半島の的矢湾に設立された佐藤養殖場(佐藤忠勇氏、1887年―1984年)が開発した、「オゾン・紫外線併用殺菌海水装置」は生牡蠣を出荷するのには必須の設備となっています。
この装置は、紫外線による殺菌灯を海水に1分間照らして無菌状態にしてから、その海水をパイプで送り込み、シャワー状に牡蠣に降り注ぐシステムです。
汚水は水槽の底から流れ出るようにして、再び牡蠣が汚水を取り込まないように工夫してあります。この中で牡蠣を数日間飼育すると、体内にあったものが全て排出され、20時間で細菌や内臓の汚れをすべて吐き出します。
1953年にこの浄化装置は特許が申請され、1955年に承認されました。特許の申請者は佐藤氏が1930年に設立した的矢湾養蛎研究所です。(佐藤養殖場)。殺菌された牡蠣は旨み成分のグリコーゲンなどが減少するといわれ、加熱する牡蠣は殺菌しないほうが美味しいと言われています。