現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産36 > 961.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
日本のゆくえアジアのゆくえ 広瀬 隆 (著)
http://www.asyura2.com/0406/bd36/msg/1035.html
第2章 郵政民営化と日本の金融システム
社会保険庁――薬害エイズ――年金に潜む人脈
年金を担当して批判を浴びているのは、厚生労働省の社会保険庁である。84年8月から85年8月まで年金を支配する社会保険庁長官をつとめた持永和見は、その前に81年8月から83年8月まで、つまりエイズ研究班発足時の薬務局長として薬害エイズの重大な責任を問われた人物である。のち薬害エイズの犯罪を問われて有罪となったミドリ十字の松下廉蔵社長から献金を受けて自民党の衆議院議員となり、堂々と大蔵政務次官として年金財政まで動かしてきた。持永の後を継いで85年8月から86年6月まで社会保険庁長官をつとめた正木馨もまた、83年8月から84年8月まで厚生省薬務局長として薬害エイズで問題になった男である。薬害エイズを生み出した業界団体として大きな批判を浴びた日本血液製剤協会の理事長・加藤信太郎は、厚生省社会保険審査会委員長・社会保険大学校長の履歴を持つ。まだまだ山のようにある。ここに大手血液製剤メーカーと社会保険庁の関係を加えると、大量の人脈が年金と薬害エイズに二股をかけているのだ。
日本のメディアはまったくこうした事実にふれない。度重なる薬害を生み出した厚生労働省の体質が、国民の年金の切り捨てを平然と進めてきた政策の土台に潜んでいるという重大な事実を忘れてはなるまい。この集団がこれから大幅増税によって不公平な年金支払いをなんとか取り繕おうとしている。
だが待て。増税のトリックとは何か。現在の政治家が仕組む手法の落とし穴は、国民に嘘をついて別の名目で税収を創作し、納税者と受益者が無関係な予算を組むところにある。問題は、日本の国家予算の赤字にあるのだ。その赤字を埋めるのに、福祉など聞こえのいい言葉を使うとメディアと国民が簡単にだまされるからである。代表的なのがたばこの増税である。旧国鉄債務を返済できなくなってたばこの大幅増税を進めてきたが、JRの駅はどこも禁煙だらけにしている。禁煙地帯を広げながら、喫煙を奨励してたくさんの税金を取らなければ借金を返済できないというのでは、禁煙と喫煙の一体どちらを望んでいるのかと、たばこ嫌いの人まで説明に苦しんでいる。赤字を取り繕っては偽の目的税を生み出してきた政治の嘘の成れの果てである。とりわけ年金では、すでに容れ物が破綻して、国民が身構えているのだから嘘は通らない。
日本では、国民がこのまま手をこまねいて見ていれば、借金の穴埋めに政府が次々と国民から金をしぼりとる「隠れ増税」政策が打ち出されることは百パーセント分かっているのである。黙っている日本の国民は、お人好しを通り越して、ただの間抜け集団になったとでも言うのか。これほどの政府を批判しないエコノミストたちに、市場原理などという言葉を口にする資格はない。国民の無駄な負担は、これから一銭でも食い止めなければならない。一体、日本政府はどれほどの借金をかかえているのか。またその借金を返済する当てがどこにあるのか、それを国民は知っておく必要がある。