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産総研が埋め込み型人工心臓 血流で「羽根車」浮かす 来年にも動物実験
課題の血栓防止を実現
経済産業省の所管する独立行政法人・産業技術総合研究所(東京)は二十六日までに、新しい駆動方式の体内埋め込み型人工心臓の開発に成功し、来年にも動物実験に入る方針を明らかにした。ポンプの役割を果たす羽根車を、血流の圧力によって浮かせた状態で回転させる方法。羽根車方式の課題だった血液凝固を防げるという。同方式の人工心臓は小型・軽量化が可能なため、子供にも装着できる。産総研は動物実験でデータを収集したあと臨床試験に入り、実用化をめざす。
産総研が開発を進めている人工心臓は、四枚羽根の羽根車をモーターの電磁誘導作用を使って一秒間に三十回転させて、血液を全身に送り出す仕組み。動力は、体外のバッテリーから八−十ワットの電力を供給する。
羽根車とケースの間に、深さ三十五マイクロメートル(一マイクロメートルは千分の一ミリメートル)の放射状の溝を刻み、溝に流れ込んだ血液が再び上昇する際に局所的に生じる圧力が羽根車を押し上げるように設計。羽根車を約三十マイクロメートル浮かせることに成功した。この結果、軸受けと非接触で回転することができた。
産総研は来年初めにも羊を使った動物実験に入り、今後五年間に臨床試験を経て医療機器メーカーなどと組んで実用化をめざす。重量は、回転部分が約七十グラムと軽いため、ほかに体内に埋め込む装置などを含めても約四百グラム。これによって体の小さな子供でも装着できるという。構造も簡素化できるため、価格も従来の半分の五百万円以下を目標としている。
産総研では「人工心臓は拡張型心筋症や虚血性心疾患など日本で年間二万人とされる心臓病患者に有効。心臓移植が必要でドナーの見つからない重症患者を多く救うことになる」(山根隆志・人間福祉医工学研究副部門長)と話している。
産総研と同様の方式では、医療機器大手のテルモがリニアモーターカーと同じ原理で磁気を利用して羽根車を浮かせる人工心臓を開発。一月からドイツで臨床試験を開始し、これまでに九人の患者に適用された。
◇
≪軽量、子供も装着可能≫
体内埋め込み型人工心臓の開発は国内外の研究機関で進んでいるが、その潮流はサック(袋)を伸縮させて血液を押し出す拍動方式と、羽根車を回転させて血液を送り出す方式に大別される。今年四月から日本で健康保険が適用されるようになったエドワーズライフサイエンス社の製品(ノバコア)は拍動型だ。
拍動型は通常八十ccの血液サック二個分を要し、バルブやモーターなどの部品点数も羽根車方式の四、五倍が必要になるという。ノバコアも一キロ程度の重さがあり、適用できる患者が大柄であるなど体形が限られる。また血液を押し出すために抑揚がつき、血栓ができやすい欠点もある。これに対して、産業技術総合研究所やテルモが開発を進めているのが、羽根車方式。「理論上はいくらでも小型化できる」(産総研)メリットがあり、子供の患者にも適用が可能だという。
ただ羽根車は回転を支える軸があると、流れ込んだ血液が固まりやすく血栓ができる恐れがある。このため回転軸をなくし、羽根車を浮かせた状態で回転させる技術の開発が待たれていた。
一方、拍動型でも小型化の研究は進んでいる。国立循環器病センター(大阪府吹田市)は、無線で体内バッテリーに電力を供給し、駆動部分や制御回路など全部品を体内に埋め込む完全埋め込み型の人工心臓を開発した。同センターの人工心臓は体重六〇キロ程度の大人の体内に収まる程度まで小型化されている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/27kei001.htm