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日・ASEAN3カ国 FTA交渉 労働市場“開国”が焦点
年末の首脳合意へヤマ場
タイ、フィリピン、マレーシアの東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟三カ国との自由貿易協定(FTA)合意に向けた政府間交渉が、年末の首脳合意に向けヤマ場を迎えている。焦点は、フィリピンやタイが要求している介護士やマッサージ師などの受け入れだ。厚生労働省は条件付きで容認姿勢を打ち出したが、法務省は、対象が他の途上国にも広がれば単純労働者が流入し、治安維持上問題が出ると慎重姿勢を崩さない。日本の労働市場“開国”へつながるかどうか。先行きは不透明だ。(吉村英輝)
看護師や介護福祉士の受け入れについて、厚労省は当初、医療水準の低下につながると難色を示していた。しかし今春、日本の資格取得や語学試験、受け入れ先施設の限定や人数の上限設定などを条件に、受け入れ方針に転じた。三カ国との二国間協定締結を足かがりに、ASEANと包括的な地域貿易協定を結べば、経済的メリットが大きいからだ。
日本の自動車や家電業界は、生産拠点の多くをASEANに配置し、地域全体で分業体制を構築している。これら地域の関税は総じて欧米に比べて高く、事業展開をする際に障害になる。ASEAN全体との関税を撤廃すれば、日本の国内総生産(GDP)は一・一兆円から二兆円増加し、二十万人前後の雇用が創出されるとの試算もある。日本経団連も四月、少子高齢化などを理由に積極的な外国人受け入れを提言している。
しかし、ASEANの加盟国のなかには、賃金が低く、農業を含めた産業が弱く輸出財に乏しい国もある。仮に、外国人労働者を解禁すれば、将来、これらの国々から単純労働者が流入する可能性は高い。
昨年の来日外国人犯罪検挙人員は約二万人で、前年比23%増。国内にはすでに、推定八十万人の外国人就労者がいるが、このうち三十万人が不法滞在者とみられる。法整備などの対応が追いつかないのが現状で、法務省入国管理局は「経済連携円滑化を進めるため、専門分野に限定した秩序ある労働力受け入れの整備をしていく」との立場を崩していない。
今回のASEAN三カ国との交渉は、来年四月から開始される日・ASEANとのFTA交渉の試金石にもなる。だが、現在のところ「人の移動」に関する省庁間の意見を取りまとめる指令塔は不在のまま。十五日開かれた自民党FTA特命委員会(委員長・額賀福志郎政調会長)の議論も、在留期間や職域をめぐり議論が紛糾した。
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■日・タイ 多くの対立点
日本とタイのFTA締結に向けた政府間交渉が十五日、東京での三日間の日程を終えた。タイ側はコメや鶏肉、砂糖、でんぷんの関税撤廃を要求したが、日本側は国内農業への影響が大きいとして撤廃を拒否するなど多くの対立点が残った。タイ側がコメなどの関税撤廃を求めたのは、日本が投資やサービス、知的財産など幅広い分野での要求への対抗措置とみられる。日本はタイが求める調理師、マッサージ師の受け入れにも応じない考えを示しており、交渉の難航も予想される。
次回交渉は十月下旬にタイで行われるが、障害となっている項目については専門家レベルで中間会合を重ね、早期締結を目指すという。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/16kei003.htm