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郵政民営化基本方針最終案 不透明な「移行期間」 半官半民、肥大化の懸念
郵政民営化は民業圧迫の懸念がつきまとっている。特に、基本方針案で示した民営化する平成十九年四月から完全民営化を目指す二十九年三月末までの「移行期間」の民営化会社のあり方は見えず、郵便貯金・簡易保険を巨大金融機関として登場させるのか、規模を縮小させるのか、政府の意図は不透明だ。
郵貯残高は現在、約二百二十七兆円(十五年度末)。また、郵貯残高と簡保の資金量をあわせた資産は約三百五十兆円。日本郵政公社の生田正治総裁は、二十五年の段階で、計二百四十兆円程度に減ると予想するが、それでも巨大金融機関であることには変わりない。
民営化すれば、政府保証が外れるので、信用力が落ちて郵貯、保険の利用者が減ることも予想される。だが、実際には政府が出資する「半官半民会社」なので、利用者の人気が急落するとは考えにくく、肥大化懸念が指摘されるわけだ。
基本方針案では、「移行期間」を経て、完全に独立することが求められており、新経営陣が収益重視に走るのは必至。これをおぜん立てするように、移行期間中には「貸し付けなども段階的に拡大できる」と明記し、業容拡大への道を開いた。郵貯と簡保の原則、一千万までの利用限度額は「当面」は維持することとし、枠を拡大する余地も残した。
しかし、その一方で移行期間中は「民間金融機関への影響」も考慮して経営させることとした。規模縮小につながる郵便貯金会社と郵便保険会社の地域分割も「経営陣の判断」に委ねることとし、結論を先送りしている。基本方針案は「アクセル」と「ブレーキ」の機能の両方を盛り込んだ格好だが、逆にそれが民営化会社の実像を見えにくくしているともいえそうだ。
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≪金融界警戒 郵貯マネー行方見えず≫
「これでは民業圧迫を避けられない」−。郵政民営化の基本方針案に対して、銀行など金融界からは疑問や警戒の声が上がっている。
焦点だった競争条件の同一化について、大手銀行関係者は「分社化はある程度評価できるが、官の肥大化の不安が払拭(ふっしょく)できていない」と指摘。基本方針では業界に配慮し、郵貯銀行と郵便保険会社について限度額を維持するとしたが、「期間は『当面の間』とあいまい。かえって混乱を招く」と疑問を投げかける。
巨大な「郵貯マネー」の行方についても、「融資や投信販売に乗り出すとも聞くが、どんな運用をするのか新銀行の絵が一向に見えてこない」(別の大手銀関係者)と警戒感は依然根強い。
簡易保険についても、生保業界では「銀行以上に官民の間で体力差がある。民間への配慮が乏しい」と手厳しい見方が多い。「政府出資は暗黙の政府保証と同じ」(大手生保関係者)として、政府出資など国の関与がなくなるまでは限度額の引き下げを求める声が強い。
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≪経済団体評価 経営の透明性を求める≫
郵政民営化の基本方針案について、財界は「おおむね評価できる」(北城恪太郎経済同友会代表幹事)など、民営化形態の最低条件はクリアした、との見方をしている。しかし、民間企業との公平な競争条件をめぐっては、「民営新会社の経営の自由度拡大が、不当な民業圧迫につながってはならない」(渡辺正太郎同副代表幹事)など警戒する声が強い。
北城代表幹事は日本郵政公社の規模を民間企業との比較で「東京三菱銀行とUFJ銀行を合わせた規模の銀行と、日本生命の二倍の生命保険、ヤマト運輸を一つにした組織」と説明。安易な形態での民営化では「とても民間企業が公平な競争はできないし、リスク管理もできない」と強調する。
一方、公平な競争環境をつくる条件として経営の透明性の確保にも関心が高まっている。経済同友会では、経営の透明性や効率性をチェックし、十分なリスク管理が可能となるコーポレートガバナンス(企業統治)を確保するため、社外取締役が経営に関与する委員会等設置会社の採用も求めている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/09kei001.htm