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武富士が破産者の住民票取得 “深追い”に不安 宮城
消費者金融最大手「武富士」(東京)が、法的に債務返済の免責を受けた自己破産者の住民票の写しを、自治体から定期的に入手していることが分かった。消費者金融業界では「返済見込みのない契約者の所在を確認しても意味がない」と破産者を“深追い”しないのが一般的とされる。住民票を取得された男性は「どこまでも追われるようで気味が悪い。住民票が悪用されないか心配だ」と不安を募らせている。
宮城県内の男性2人は6月に武富士から住民票の写しを取得された。それぞれ5年前と3年前に自己破産し、武富士を含む数社の債務すべてについて、裁判所で免責が決まり、法的に返済の義務がなくなった。
住民票は住民基本台帳法に基づき第三者でも有料で取得できる。交付申請者は理由を明らかにし、裏付け資料の提出を求められる。
債権者が債務者の住民票を申請する場合、申請書に「債務者の所在確認」などと理由を明記し、借用書など書面を添えれば取得することが可能。武富士は「債権保全」を理由に契約書の写しを添付し、役所から住民票の写しを郵送で取得したという。
これに対し、複数の消費者金融やカード会社関係者は「債務者の免責決定後は債権回収できないので、所在を知っても業務に生かせない。経費をかけてまで住民票を取るメリットがない」と免責決定した契約者の情報収集はしていないという。
個人情報収集の観点からも「意味もなく個人情報を集める行為は社会的に批判を浴びかねない」として禁止している業者も多い。
全国クレジット・サラ金問題対策協議会事務局長の木村達也弁護士(大阪)は「武富士に前近代的な体質が残っていることの表れだ。免責決定後も行方を追われれば、破産者は心理的に追いつめられ、経済的な更生に支障が出る。社会的に批判される行為だ」と指摘する。
武富士は「債権管理の面から契約者の住民票は定期的に取得しているが、破産者には債権を請求していない。住民票は厳格に管理している」と説明。その上で「来年4月に個人情報保護法が施行されることもあり、個人情報の収集に慎重さが求められていることは認識している。社内にも破産者の住民票取得に不要論がある」として、見直す考えを示している。
(河北新報) - 9月6日7時3分更新