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資産運用業界に転機 進む脱系列/増える銀行窓口販売(朝日新聞)
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投稿者 愚民党 日時 2004 年 8 月 30 日 10:19:26:ogcGl0q1DMbpk
 

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■資産運用業界に転機 進む脱系列/増える銀行窓口販売


投信残高の推移

 投資信託や年金資金を扱う資産運用業界が転機を迎えている。規制緩和や競争激化で、「系列」頼みといった従来型経営は通用しなくなってきた。本格的な少子高齢化時代を迎えて需要増が期待される分野だが、経営や運用方針の独立性、独自性が問われている。(高橋万見子)

●独自性や運用成績カギ

 今年4月、一つのニュースが業界内に波紋を広げた。外資で独立系大手のフィデリティ投信社長だったビル・ワイルダー氏を、大手証券系の日興アセットマネジメントが社長兼最高投資責任者(CIO)に迎え入れるという発表だ。

 7月上旬に着任したワイルダー氏は「『将来は上場も考えている』と言われ、日興のチャレンジ精神に興味がわいた。自分の経験を生かし、日本の資産運用会社を変えてみたい」と話す。

 同社は3月にも米系証券会社トップなどの経験をもつティモシー・F・マッカーシー氏を経営トップに据えたばかり。ライバル会社からの引き抜き、しかも外国人の経営トップへの相次ぐ登用は、大手証券系の運用会社では初めての試みだ。

 異例の人事をした持ち株会社、日興コーディアルグループの有村純一社長は言う。「上場は未定だが、資産運用会社の世界上位は、ほとんどが独立系。系列に依存した体質では成り立たないことは明らかだ」

 証券業界も、連結経営が定着した。競争激化で、収益確保に対する株主要求は一段と強い。資産運用は一度に巨額の資金を動かす投資銀行業務と違い「地味なビジネス」だ。確定拠出年金制度の開始に合わせ、競って立ち上げた各社の関連事業も赤字が続き、今は「我慢比べ」になっている。

 親会社である証券会社の強力な営業網がシェア獲得のカギを握り、手数料が低くても回転売買で収益を確保する――投資信託では、そんな従来型のビジネスモデルは、姿を消しつつある。

 現在、日本株投資信託の純資産残高でトップを走るのは、フィデリティ投信が運用する「日本成長株・ファンド」だ。6月、圧倒的な強さを誇っていた野村系の日本株投信を抜き、首位に。独立系である同社の投信販売を支えるのが、銀行だ。

 98年の解禁以来、銀行窓口での投信販売は、超低金利やペイオフを控えた資産分散化の動きを追い風に、預金からの資金移動の受け皿になってきた。「日本成長株・ファンド」も、8割以上が銀行窓販だ。7月には、国内の公募型投信全体に占める銀行窓販の割合が初めて3割を突破した。

 値上がりすると利益を確定しようと短期で解約する顧客が多い証券会社の顧客に比べ、銀行窓販の顧客は長期に保有する傾向が強く、資産残高が安定的になる。各社とも銀行窓販の比重を高めることを経営目標に掲げ、「あと2年もすれば、証券会社経由とシェアは逆転する」(大手証券系投信会社役員)との見方も出ている。

 もっとも、業界全体では証券会社との主従関係を重んじる意識からの転換は不十分だ。資産運用会社幹部は証券会社からの「落下傘」が多く、独自の経営姿勢を確立できていないところも目立つ。

 親会社の販売手数料稼ぎのため、言われるままに類似商品を乱発してきた結果、日本の投信は本数が多く、1本当たりの資産規模は米国の10分の1程度と小さい。運用には非効率になりがちだ。商品性も横並びが目立ち、投資行動が似てしまうため、結果的に利益も上げにくい。

 郵便局は来秋にも投信販売を始める見通しで、業界内には販売増の期待が高まる。しかし、運用成績や商品の独自性などで投資家の満足を得られない会社は、撤退や再編も迫られそうだ。

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《キーワード》投資信託

 投資家から資金を集め、専門家が複数の株式や債券などに分散投資して運用利益を投資家に分配する金融商品。購入株式が値下がりしたり、購入債券の発行企業などが債務不履行になったりすれば元本が減るが、うまく運用できれば預金より高い利回りを期待できる。投資対象を専門家の判断に委ね、個人で株式や債券を買うより小さな金額で投資を始められるので、初心者向けのリスク商品と言われる。

◆「親会社に従属の時代終わった」――稲野和利・野村アセットマネジメント社長

 団塊世代がまもなく定年を迎えるが、従来型の年金制度の維持は難しい。自分の人生設計に沿った資産運用の重要性が高まり、専門家のアドバイスを受けながら運用先を選び、分散投資する人が増える。

 資産運用会社が、親会社に従属する時代は終わり、顧客にいかに超過利潤を与えたかで評価される。株主議決権行使や銘柄選択、売買の注文先など、経営の自由度が担保されていることが必要だ。

 販売経路が証券会社以外に広がり、野村証券では接触しきれない顧客に野村アセットの商品を買ってもらえば「野村」グループとして新たな顧客を開拓できる。ただ、収益性が高いビジネスではない。将来は資産運用会社を切り離す金融グループも出てくるかもしれない。


http://www.asahi.com/paper/business.html



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