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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu77.htm
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ユーロの成立と勢力圏の拡大は、米国に衝撃だった
「通貨帝国主義」が米国 のイデオロギーになった
2004年8月26日 木曜日
◆ビジネス知識源 <Vol.195:単純になった世界(2)>吉田繁治
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000048497
■7.ユーロの成立と勢力圏の拡大は、米国に衝撃だった
大陸西欧は、戦後は米ドルの勢力圏として、通貨面では分割統治され ていた。軍事でのNATOは、米ドルが欧州の通貨基準であることを裏付けするものだった。
▼一貫した米ドルの価値下落
米国のみが、貿易通貨の制限から逃れていた。他国は、米ドルを貯め なければ輸入ができない。ひとり米国のみが、貿易黒字でなくても、紙幣の発行だけで輸入ができた。 1971年以降の米ドルは、変動相場制に変わった。
長期で見れば、 赤字国が発行する米ドルは、「W$」としての価値を一貫して下落させてきた。これが自然な経済原理だった。 戦後世界では、米ドルに対抗できる国際通貨はなかった。世界は米ドル以外に選択肢をもたなかった・
▼米国にとっての衝撃
国際地域通貨ユーロの誕生は、ドル一極の世界に、楔(くさび)を打 ちこむことになった。米国を超える経済規模をもつ大陸欧州の域内貿 易では、米ドルが使われなくなった。 ユーロ成立(00年)以降、とりわけ統一通貨ユーロの発行以降(0 2年1月)は、大陸西欧は、米ドルを必要としなくなった。
西欧にと って、米国から買わなければならないものはあまりない。英国とスイスを除く西欧は、通貨面でのブロック経済体制を作った。 2000年春からの、米国を恐怖させたITバブルの崩壊は、西欧諸国がドル債とドルの株を売って、ユーローに戻ったことから起こった。 米国に集まっていた西欧の余剰マネーは、大陸に戻った。
2000年は、世界の資金循環が、変わった瞬間だった。 ドイツ、フランス、イタリア、北欧、東欧を含むユーローの経済規模は、米国に匹敵し、凌駕する。ユーロ諸国がドル基軸体制から離脱し たことは、国際通貨としてのドルが弱体化したことを意味します。東欧はこれからの成長地域にもなった。
米ドルを例えれば、3分の1の預金が抜かれた銀行です。 米国経済の構造的な貿易赤字によって価値を下落させ続ける米ドルに代わり、今後の世界がユーロをワールド・ドル(W$)とみなせばど うなるか?
米ドルは、通貨価値を更に下げます。米国金利は高騰し、ドル債とド ルは下落する。輸入に依存する米国物価は高騰し、負債国家である米 国の経済は、30%は縮小しなければならない。この縮小は1929 年の大恐慌に匹敵する。
【イラク侵略の真の理由】
事実、2000年12月には、イラクのフセインは、イラクの原油輸 出代金としてユーロを選択した。ドルの堤防の一部決壊だった。小さ な穴が拡大しそうだった。米国はドル基軸を守るためには、早期に修 復を図る必要があった。 これが、米国がイラクを侵略した真の理由だった。 この本当の理由を、米国が言うことは絶対にない。
【フセイン以外のアラブでも】
2000年以降、アラブの王族がもつ$1兆(110兆円)相当の海 外金融資産も、過去のように米ドル一辺倒ではなくなっていた。 ドルを売りユーロの比重を高めている。 これが、ドルに較べユーロが価値を上げた原因となった。 西欧への原油の輸出代金として、アラブ諸国の多くは、米ドルに代わ りに、ユーロを受け取るようになった。ユーロの選択は、大陸西欧の 経済が強いからではない。米ドルが赤字を出しすぎることを理由にし た、消去法での選択です。
▼マネーセンター・システム:重要
ユーロ以前は、アラブが輸出代金として集めた米ドル(総額110兆 円相当)は、英米の金融機関に預けられ、運用されていた。第一次オイル高騰(1973年)以降、毎年増加するオイルダラーは 、英米の金融機関に預けられた。ドルの下落はこれによってとどめられた。
ウォールストリート(NY)とシティ(ロンドン)をマネーセンター として、貿易のチャンネルでアラブに散布されたドルは、金融のチャンネルで回収されていた。英米の金融機関は、一旦はアラブにドルを 出ても、還流してきた米ドルを運用する権利をもっていた。
マネーの所有権は、アラブの王族がもつ。運用権は、英米の金融機関 がもっていた。中東内では運用する金融機関がなかった。 こうした仕組みを「マネーセンター・システム」と言います。
米ドル にはマネーセンター・システムが組み込まれ、アラブ、日本、中国は 輸出でもらった米ドルを、英米に還流させてきた。貿易赤字でドル紙幣は世界にばらまかれる。財政赤字で米国債が発行 される。しかしマネーセンターの仕組みで、再吸収されていた。これが、赤字国の通貨を基軸にする戦後体制が続いた理由だった
▼2000年の事件
ところが、ドルの米国還流を促していたマネーセンターシステムから、 突如ユーロが脱退した。21世紀の最初の事件は金融だった。最初、米国を含む世界は、この意味を理解しなかった。
90年代末の 米国は、日本、中国、アラブ、そして西欧の余剰資金が溢れていた。米国企業と国民は、史上空前のITバブル景気を謳歌していた。 ユーロはドルに比べれば国際性のない地域通貨にしか見えなかった。しかし、米国株の根拠のない熱狂からくる高さは、世界の投資家に恐 怖を与えるレベルに達していた。しかし、米ドル基軸通貨に対する変異は静かに起こっていた。
200 0年まで、米国をめざしていた世界の余剰資金は、まずユーロー諸国 のものから本国回帰をした。日本にはポートフォリオの戦略がなかった。米ドルのカゴにすべての 卵を入れていた。下落するであろう通貨を守っていた。ポートフォリオとは、世界経済の中のそれぞれの国の比重に応じて、通貨を分散さ せもつことです。
■8.国際地域通貨:ユーロ以降
まずアラブ地域に、ドル基軸の風穴があく。 自然な流れは、国家の財政規律を失った米ドルではなく、国家の赤字を各国GDPの3%以内に押さえる協約をむすんだユーロに向かって いた。通貨信用の根底は、国家の財政への規律だからです。
▼議論は避ける
【米国の通貨当局の危機意識】
こうした流れに、危機意識を抱いたのが米国政府とFRBです。しか し米国は、基軸通貨がどうあるべきかの論議を、意識して避けた。
【論理はない】
「財政と貿易の赤字国の通貨が、なぜ基軸通貨でありえるか?」との 疑問に、まともには答えることができないからです。議論の代わりに、米国経済は強い、ドルは強い、その証拠に世界のマ ネーが米国に還流すると周期的に繰り返す。
米国の貿易赤字こそが、米国を輸出マーケットとした世界経済の成長 をひっぱるという説明だった。そして流出したドルは、また米国に戻 る。このシステムをもっているのは米国だけだということだった。
(注)日本政府の財政赤字による国債の発行が、日本経済の下落をと どめたという政府の理屈づけに似ています。
【中東の地政】
中東は、経済の関係では西欧の裏庭です。ソ連崩壊以後の東欧は、西 欧企業の工場地帯になった。つぎは地政的に見て中東諸国がユーロ圏になる。自然な流れではそうなる。自然とは経済原理でしょう。
【ユーロで十分】
米国から、ドルによってアラブが買わなければならない必然をもつ商 品は少ない。 先進国商品は西欧から買える。使うのはユーロです。低価格商品は中 国、高度商品は日本から買えばいい。中国も、ドルだけでは価値下落 の危険を感じ、ポートフォリオ(分散投資)でユーロを持ち始めてい ます。
【日本】
世界の中で日本のみが、ドルを信じ疑っていない。ドルの価値の背景 は米国という国家です。ちょうど日本国債の価値を、金利を低く誘導し、財務省が保証すると金融機関が信じているように。 しかし国家は国債価値を保証はしない。国債も通貨も、金融マーケットがその価値を決める。財務省も1プレーヤーにすぎない。
世界の2000本のヘッジファンドの元本は、80兆円相当と言われ る。その元本でデリバティブを組めば、最大なら1000兆円の運用規模になる。国家の介入資金は、小さくなっている。 円に対し米ドルが下落しても、米国は痛みを感じない。
むしろ、日本 に対する過去の負債の実質価値が減って、楽になる。50%ドル安に なれば、負債の実質価値も50%減る。 ドルの価値が減っても、最大の黒字国である日本はドルを持ち続け、 受け取り続け、使い続ける。日本政府と財務省は、米ドル以外に目を 向けない。
日本は、ドル基軸体制を、たった一国で30%くらい支えている。( ドル基軸支援の投票で、30%の票数は、日本がもっていると言っても同じです。米国債の買いへの入札で約3割) しかし日本以外の世界では、対ユーロでドルが下落すれば、ドルは、支払い準備通貨の割合から減らされる。
そして米国が保持してきた貿 易マネーの発行・管理権から生じる「基軸通貨の特権」を失うかも知れない。 米国の通貨当局の危機意識はここにあった。日本に対しては、外圧が効く。しかし、他国に対しては外圧は効かない。
【(注:別の話題)スイスでのオイルマネー運用】
スイスに行けば、預かったオイルマネーの運用を、(今はまだ主とし て米ドルやドルベースの債券や株で)スイスの金融機関が行っていることが分かります。 スイスのプライベートバンクは、秘密をまもるためアラブの王族と近い。プライベートバンクの運用は、預金者の意思で決めます。
他の金 融機関のように、預金者の意思を聞かない運用を行って、元本を保証 することはない。マネーの執事、コンシエルジュの役割がプライベートバンクです。収 入は手数料であって運用の利ざやではない。運用益(または損失)は預金者のものです。
■9.3者で約300兆円分の米ドル
重要な事実は、
(1)アラブの王族、
(2)中華圏(中国、香港、台湾)、
(3)そして日本政府が、
それぞれ90兆円から110兆円のドルをもっていることです。
(注)政府の外貨準備だけの統計。これに民間の持ち分が加わって、 国際的なドル債の元本総額は、およそ600兆円でしょう。
この3者がドルを信用していることによって、ドル基軸体制が維持さ れてきた。米国が正面切っては認めたくない事実です。米国の通貨当局は、ドル基軸を支える実体を、経済論から隠す方法を とる。米国民のほとんどは知らない。マスコミも、ドル危機を言わない。 理由は、「危機が恒常的」になっているからです。
当たり前になった 危機は、危機とみなされない。逆に、なぜ米ドルが強いかという論になって展開される。 そのため、経済の自然に、人は目を向けない。ドルが支持されない「わけがない」という非論理が横行する。日本国債が売れないわけがな いという非論理と同じように・・・
「世界でもっとも強い経済とは、民間企業が貿易で負け、政府では財 政赤字がもっとも大きな経済を言うのか?」と山下清のような疑問を 口にすれば、だれもその根拠を答えることはできない。 しかし「兵隊の位で言えば」、米軍が最上位(supremacy)です。
20 00年以降の米国は、ドル基軸を支えるのに、経済以外の軍事による 覇権を意識するようになった。経済の上に「政治+軍事パワー」が来た言っても同義です。パワーとは、他への強制力です。
米国は無謀なことをやる。その無謀さも、軍事力が裏付けになってい るために、世界は否応なく認める。 2000年に古ぼけていた帝国イデオロギーは形を変えた。後に歴史 を振り返れば、2000年以降の10年は、「通貨帝国主義」が米国 のイデオロギーになったと整理されることになる。
(私のコメント)
ギリシャのアテネオリンピックはEUとなってユーロが正式通貨となって始めて開催されたオリンピックですが、地元のギリシャ人のみならず、EU各国からオリンピックの観戦客が大勢来るはずだった。ギリシャもEUの一カ国だからパスポートも両替の必要もなく来られるはずなのに競技場のスタンドはガラガラだ。どうしてなんだろう。
EU諸国にとっても地元開催みたいなものだから、もっと派手になるかと思っていたのですが、EU諸国以外のアメリカ、カナダ、オーストラリア、日本などといった応援団が目立つぐらいだ。その原因は観戦入場料の高さに原因があるようだ。開会式の入場料はギリシャ人一か月分の給料ぐらいあるそうで、これではギリシャ人の観客が少ないのもよくわかる。
おそらく有料入場者でスタンドがいっぱいになる国は日本とアメリカぐらいしかないだろう。シドニーオリンピックも学校を休みにして学生が動員された。韓国のソウル五輪もガラガラだった。日本は名古屋も大阪も立候補はしたのだが敗れてしまった。四年後の北京オリンピックはどうなるのか、私は少し早すぎたように思う。2002年の韓国のワールドカップも早すぎた。スタンドはガラガラだった。
ドルとユーロの対立からオリンピックを眺めると、EUとユーロの威信を高めるためにはドイツのベルリンかフランスのパリでオリンピックを開催すべきだっただろう。そうすればかなり宣伝効果があったと思う。それでも今回のオリンピックはアメリカ選手はいまいち元気がない。ギリシャは反米感情が強くアメリカ選手へのブーイングもあるようだ。イラク戦争やテロも関係があるだろう。
ドルと言う基軸通貨については何度も書いてきましたが、ユーロの登場はアメリカにとっては一大ピンチであり、国家的な危機でもあります。ユーロが登場する前だったらドルの独壇場であり、95年に日本を円高攻勢で締め上げる事が出来たのもドルしか基軸通貨がなかったからだ。もし今アメリカがドル安円高攻勢を仕掛ければ日本は手持ち外貨資産をユーロに切り替えてしまうだろう。
90年代当時もドイツマルクにヘッジすればよかったのでしょうが、ドイツマルクだけでは市場規模が小さく無理だった。中国にしても外貨を少しづつユーロに切り替えている。アラブの王族のみならず中国人の華僑もドルを見限ったら、ドルを買ってくれるところは日本しかない。その日本もアメリカが95年の79円までドルが暴落するような事があればドルを見捨てるだろう。
吉田繁治氏が指摘しているようにヨーロッパに対してはNATOが軍事的な睨みを利かせてドルの威信を保つ事が出来ましたが、ソ連崩壊でNATOでアメリカに頼る意味がなくなりEUはドルの支配体制から脱する事が出来た。その意味からすると日本の円がドルの支配体制から脱する事が出来るのは、安保条約でアメリカを頼らなくてもよくなった時だろう。
アジアにおいてはソ連の崩壊よりも中国の崩壊を待つしか日米安保解消の目処は立たない。アメリカにとっても中国が核とミサイルで周囲を脅してくれないと、日本ならびにアジア諸国はアメリカから離れてEUのようになってしまうから、中国をソ連のように崩壊はさせたくはないだろう。しかし中国が軍事的にも経済的にも強くなりすぎれば、アジア諸国は中国の支配下に入ってしまう。そのためには日本を中国の対抗馬にする必要がある。
ドル相場のポイントとしては石油相場とイラク情勢が大きな意味を持つ。アラブの王様を懐柔するためにも石油相場を高くしてドル離れを防ぎ、イラクの混乱は石油高を演出する。サウジアラビアもその他の産油国もこれで一息ついている。しかし石油を持たない貧しいアラブ人はイラクに結集して反米闘争は激しくなる。もしイラクでアメリカが負ければアラブの王様もアメリカを見限ってドルは暴落するだろう。
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