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■急増移民、五輪にも貢献 多民族化進むギリシャ
ボランティアや施設建設
【アテネ=沢村亙】民族国家から、様々な移民が暮らす多民族社会へと、ギリシャが大きく変貌(へんぼう)している。アジアや中東からの玄関口で、東欧にも近いだけに変化のスピードも速い。経済成長やアテネ五輪も移民たちが支える。だが五輪が過ぎれば、反移民感情の広がりなど、他の西欧諸国が頭を悩ませる問題に直面する可能性は高い。
照りつける日差しと浜辺から押し寄せる湿気の中で、アシフ・マフムードさん(36)は充実した毎日を送る。五輪ボランティアとして好きなホッケーを毎日観戦できるからだ。審判の判定をスコア係に伝える責任の重い仕事。加えて、ギリシャのホッケーを自分たちが育ててきたという自負を感じる。
96年にパキスタンから移住。靴工場を経て、今は化粧品会社で働く。ホッケーはパキスタンの人気スポーツ。同郷者でつくったチームは、ギリシャのチームの練習相手にもなってきた。そしてパキスタン出身者12人が五輪のボランティアとして選ばれた。「五輪に貢献できることを誇りに思う」とマフムードさん。
一方、薬品倉庫で働くアルバニア出身のディミトリ・ディモシさん(22)は、五輪を楽しむ気にはなれない。
12歳の時、両親とギリシャに移住。生活が苦しく、夜間学校しか通えなかった。五輪が近づくにつれて移民への警察の対応が厳しくなり、2度、連行されそうになった。突貫工事だった五輪施設の建設で作業員13人が事故死。うち7人がアルバニア人だった。「ギリシャ人がやりたくない仕事を僕たちが引き受けている。五輪に費やす大金の少しでも、移民の待遇改善に使うべきだ」とディミトリさんは憤る。
●合法100万人以上、摩擦も
かつて北米や豪州、西欧諸国に移民を送り出してきたギリシャにいま、大勢の移民が押し寄せる。合法移民だけで100万人以上。さらに同数の不法移民が暮らしているといわれる。
共産主義政党の独裁が崩壊し経済混乱に陥った隣国アルバニアから90年代以降、大勢の移民が流入。ブルガリアやルーマニアなど東欧諸国、パキスタンやインドからの経済移民が続いた。中東からの移民も増え、英仏などと同様、人種・民族の多様化が急速に進む。
建設労働者や果樹園の季節労働などに従事する人が多く、移民はギリシャ経済の成長を支えてきた。だが移民排斥を訴える極右勢力による暴力事件が散発、イスラム社会が求めるモスク建設にギリシャ正教会が待ったをかけるなど、摩擦も生まれている。
五輪開会前には不法移民の取り締まりが強化され、地元紙は「1万4千人が逮捕され、6600人が追放された」と報じた。国境の監視強化で季節労働者の流入もストップした。
問題はむしろ「五輪後」だ。人権活動家クリストス・ペトラコスさん(30)は「五輪に伴う公共事業が終われば大量に失業者が出る。移民は真っ先にその犠牲になる。困窮や差別が原因で犯罪が増えれば、国民の移民へのまなざしは一層厳しくなる」と話す。
http://www.asahi.com/paper/international.html