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Q君。郵政問題に関する報道はどう見ても公平ではありません。[民営化推進論者=善、民営化反対論者=悪]を前提にした報道になっています。日本のマスコミはどう見てもおかしくなっています。政府の広報機関化してしまっています。政治権力の手先ではなく、国民のための報道機関になってほしいと思います。
郵政民営化問題に関して、マスコミは民営化があたかも決まっているかのように報道しています。大新聞だけを見ていると、国民の中に郵政民営化反対論はないかのようです。「初めに民営化ありき」です。これでは小泉首相のやり方と同じです。
自民党の幹部は「小泉首相からなぜ郵政を民営化しなければならないのか聞いたことはない。民営化の具体案も聞いたことがない」と言っています。小泉首相は自民党だけでなく、国民に向かってなぜ郵政を民営化しなければならないのか説明していません。
不思議なのはマスコミです。マスコミも小泉首相から「なぜ民営化が必要か」の話は聞いていないはずです。オフレコで聞いたという話も耳にしたことはありません。
大新聞の新聞記者や大テレビ局の報道記者は「オフレコ懇談」が好きです。大マスコミ内の友人(国際部記者)は「政治部記者はオフレコ懇談が好きだ。彼らはそれを国民には知らせない。国民が知らない情報を自分たちだけが知っていることを秘かに誇りにしているようなところがある」と語っています。
Q君。郵政民営化問題に話を戻します。繰り返しますが、小泉首相は「どうしていま、郵政の民営化をしなければならないのか」について何も語っていません。マスコミも詳しい話は聞いていないはずです。ところがマスコミは、小泉首相の民営化論を当然のことのように扱い、報道しているのです。極論すれば、マスコミは郵政問題をほとんど研究もせずに、小泉首相の「初めに民営化ありき」路線の尻馬に乗ってしまっているのです。
Q君。小泉構造改革の推進者たちは、ほとんどが「民営化」教の信者のごとし、です。それもかなり狂信的な信者です。郵政事業の民営化がほとんどナンセンスと言ってもいいほど愚かなことであることは、世界の常識です。民営化教の総本山のような米国ですら郵政事業は民営化していないのです。
Q君。郵政三事業民営化の最大の狙いが、郵便貯金と簡易保険の合計350兆円もの金を国の管理から外すことにあることは明白です。この大金が株式会社の管理下に入れば、その先どうなるかは明らかです。金融庁の管理下に置かれます。金融庁は日本の金融を国際化しようとしています。国際化とは、現実には、米国の巨大ファンドの支配下に置かれることを意味します。巨大な資金が米国に向かって流出するようになるでしょう。ここに民営化の本当の狙いがあるのではないかと私は思います。
郵政民営化反対の論客・荒井広幸参議院議員が『郵便局をアメリカに売り渡すな――郵政民営化を狙うグローバリズムの罠』(飛鳥新社、2003年1月刊)という著書を出しています。正論です。荒井さんが小泉首相と小泉首相の手先化したマスコミからいわれのない「ウソツキ」攻撃を受けたのは、荒井さんのこの主張が小泉首相にとってこれ以上放置できなくなったことが原因でした。 荒井さんを政界から追い出せば郵政民営化がやりやすくなるという思惑で、小泉首相がマスコミを使ったと私は思っています。
Q君。もう一つ狙いがあるようです。小泉構造改革論者から聞いたことですが、「郵政民営化の狙いは日本国民を貯蓄国民から投資国民に変えることにある」というのです。言い方を換えれば、小泉構造改革の狙いは、政府による強引な行政指導によって日本国民の貯蓄を投資市場に引き出すことにあるというのです。これでは米国の巨大なファンドに巻き上げられてしまうことになりかねません。郵政民営化は日本国内から国民の金を預ける機関をなくしてしまうことにあるのです。
Q君。こんなことがうまくいくでしょうか。いまさら、日本国民が米国のハゲタカファンドやその手先の証券会社や銀行を信用するでしょうか。バブルの時に政府の要求を受けて大金の貸し出しに乗り出し、国民に借金を勧めながら、次の段階では手のひらを返すように強引な借金取立てを行い、どんなに困っていても貸し渋り・貸し剥がしをつづけてきた金色夜叉のような金融機関を信用するでしょうか。
日本国民が貯蓄国民から投資国民に国民性を変えることはあり得ないことです。少なくとも短期間で変わることはないでしょう。民営化論者はとんでもないことを考えているのです。
Q君。日本国民は、そんな情け容赦もない冷酷な民間金融機関よりも、郵便局の方を信用しているのです。欲の塊のような民間企業の経営者よりも、まだ官僚の方がマシだと考えているのです。「自分さえよければいい」エゴイスチックな民間資本家よりも、頭が固く融通がきかなくても人を騙さない国の機関の方を信用しているのです。とくに郵便局員は信用が高い。民営化論者はこのことがわかっていないのです。
資本家は自ら儲けるためには人を騙すこともします。それだけではありません。弱肉強食です。大多数の国民は、すでに小泉内閣と竹中金融庁と経済財政諮問会議の後ろ盾は米ブッシュ政権であることに気づいているのです。小泉構造改革が米国資本の利益をはかるものであることを知ってしまったのです。
Q君。不思議なのは自民党国会議員です。本心では郵政民営化に反対なのに、小泉首相を批判しません。もっと不思議なのは公明党です。かつては今の小泉政権の主張とは異なる立場をとっていた公明党が、「いつまでもついて行きます下駄の雪」と言われるようになってしまったことです。
一番不思議なのはマスコミです。中身の検討もなしに小泉首相の郵政民営化論を支持しています。それだけではありません。荒井広幸氏(現参議院議員)のような真面目な批判者を政治的に葬ることに協力してきたのです。もっとも、荒井さんは不死身の政治家です。この夏の参院選で国政に戻ってきました。荒井さんは自らの力で自分が「ウソツキ」でないことを証明したのです。
困ったのは民主党です。曖昧な態度を取りつづけています。日本国民の大多数が反対する郵政民営化に反対するのは、野党第一党として当然の責務です。明確な反対姿勢を示し、民営化阻止のための全国運動を起こすべきです。
Q君。今日はこれくらいにしておきます。国民の貴重な財産を、米国ハゲタカファンドに食べられてしまわれないように、守らなければなりません。これが最も大切なことです。この問題はまた書きます。