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8月17日(ブルームバーグ):6月に過去最高の558億ドル(約6兆2000 億円)に膨れ上がり、各種市場にショックを与えた米国の財政赤字は、モノ・サービス、資本の面で米国の対外依存度が高まっていることをあらためて示した。
完全雇用に程遠い現状のなかで輸入が輸出を大きく上回る状況は、雇用と所得の機会喪失を意味する。クリアビュー・エコノミクスのケン・メーランド氏の言う通り、「膨大な貿易赤字は米国の消費(高水準)と生産(低水準)の大幅なギャップ」を示すものであり、米国の製造業者のビジネスチャンスが海外に消えていくことを意味する。失業率が4%だった1990年代と現在では、貿易赤字の意味するところは異なる。
貿易収支に所得収支などを合わせれば、2004年の経常赤字が5000億ドルを超えることはほぼ確実だ。経常赤字は海外からの資金によって埋められなければならない。米国の対外純債務残高は2003年末時点で2兆4300億ドルに達した。
グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長を含め当局者は、この状況を憂慮している。そこで、FRBのエコノミストらは同問題について研究論文をまとめた。論文は2日がかりの6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で発表され、問題が協議された。
12日に公表された6月のFOMC議事録では、「5000億ドルを超える貿易・経常赤字は総所得に対する比率としては非常に大きい」とした上で、「赤字はこのところ、海外の民間資金および公的資金の流入によって穴埋めされている」との認識を示し、「膨大な赤字を永久に維持することは不可能との結論に達した」と続く。いつ、どのようにして赤字が縮小し始め、どのような結果を伴うのかは分からない。資産バブルと同様、金融当局があらかじめ打てる手はない。
調整
議事録は不均衡の調整が緩やかに起こる公算と大きな変動を伴う可能性に触れた上で、「いずれの場合にも、財政・経常収支均衡への過程では米経済の各分野に異なる影響が見られると思われる」としている。どの分野にどのような影響が見られるのかが書かれていないのは残念なことだ。最終的に調整が起これば、長期にわたる消費の横ばいまたは減退は避けられず、相対的に高金利の時期が続き投資抑制につながる公算が大きい。
金融当局の役割については、「対外収支不均衡の是正に向けて金融政策でできることはあまりない。物価安定により持続可能な最大限の成長を促すことが最大の貢献だ」との考えを示している。つまり、金融当局が現在行っていることを続け、対外不均衡の是正が最終的に米経済を混乱に陥れた際にはそれに対応するということを言外に示唆している。
議事録では最後に「財政政策が対外収支不均衡是正に役割を果たすことは可能だが、調整は国内外の両方における需要と生産の変動を伴うものであり、米国のみの財政政策によって調整を推し進めることはできないだろう」と締めくくっている。つまり、財政赤字が減れば米国の貯蓄が増え、投資資金を海外に依存する度合いは低下する。
海外
しかし、財政赤字の削減だけでは経常収支の問題は解決しない。「国内外の両方における需要と生産の変化」という一節は、米国の消費が大幅に減少すると同時に、一部の国の経常黒字が大幅に縮小する必要性を示唆している。このところ輸出主導で成長してきた日本と中国、欧州諸国にとっては大きな景気抑制要因となる。
そしてもちろん、これらの調整のためには円やユーロに対してドル相場が大きく変動する必要がある。これには各国政府がこぞって抵抗するだろう。調整はだれにとっても快適なものではない。しかし、米国は永久に分不相応な暮らしを続けることはできない。
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:U.S. Trade Gap Represents a Lost Opportunity: John M. Berry(抜粋) {NXTW NSN I2KOML0UQVIA 更新日時 : 2004/08/17 14:44 JST http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aYcLZjppzszk&refer=jp_home