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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu76.htm
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「ウィンテル帝国滅亡史」のはじまり
皇帝が鶏に餌をやり始めたら終焉は近い
2004年8月12日 木曜日
◆「ウィンテル帝国滅亡史」のはじまり CNETJapan
http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000050150,20070342,00.htm
業績は順調だが、内部は混乱。
あるアナリストは、Microsoftの度重なる製品開発の遅れをこう説明した。この言葉は、チップメーカー最大手のIntelで起こっている同様の問題にも当てはまる。両社の社員たちに、苦しみ疲れ切っている様子はなく、ただ過去の成功と先行きのはっきりしない状況の中で、だらだらと仕事をこなしているように見える。
次のような情景が目に浮かぶ。あなたはMicrosoftのWindows製品マネージャー。ある日、アナリストや競合他社から、Linuxがデスクトップ市場に徐々に触手を伸ばしつつあるという話を聞かされる。しかし、デスクトップでのLinux普及にはまだ数年はかかりそうだ。自社の業績の見通しは学生時代に想像していたよりも良い。同時に、社内での昇進のチャンスもほとんどなく、魅力的な転職先があるわけでもない。
そんな中で、きついプロジェクトに取り組む気力など起こるだろうか。答えはたぶんノーだろう。私なら、自宅でシリアルでもほおばりながら、「チキチキマシン猛レース」でも見ていたいところだ。
恵まれた環境にいる人間に徐々に忍び込む感覚の麻痺は、Edward Gibbonが巨大組織の腐敗について描いた名著「ローマ帝国衰亡史」の主要テーマの1つである。(Googleで働くTodd Nemetというエンジニアは、あなたがどんな皇帝になるかを自分でテストできるページをつくっている)
Gibbonは、この全6巻の大著で、ローマの政治および軍事のリーダーたちが、統治に全力を注ぐ良き支配者から、個人的享楽にふける悪しき支配者へと堕落する様子を描いている。ローマは、継続的な領土拡大を求めるあまり、対照的な気候とさまざま種族が混在する広大な土地を管理しきれなくなってしまう。初代皇帝Augustusは領土拡大に伴うこうした問題点を明らかに見抜いていたが、そうした彼の優れた洞察力も無視されてしまった。
「ローマは最初の700年に次々と勝利を収めた。だが、Augustusは全世界を制服するという野望を断念し、民会に穏健主義の精神を導入することを運命づけられていた。もともと穏やかな気性の持ち主であったAugustusは、難局を打開するために平和路線に傾いていたため、当時の意気揚々として見えたローマにおいて、実は勢力拡大の希望よりも戦争への恐怖のほうがはるかに大きかったことを容易に見抜いていた。度重なる遠征で戦争の遂行が日増しに難しくなり、何のための戦いなのかも疑わしくなり、占領地は混乱し、そこから得るものも少なくなっていた」(Gibbon)
古代ローマと同様、MicrosoftとIntelの両社は厄介な問題で身動きがとれなくなりつつある。Microsoftはすばらしい検索エンジンとダイナミックなインターフェースをLonghornに組み込もうとしている。Windowsの64ビット・ソフトウェア対応も進めている。また、数多くのエンジニアのチームが、ゲームコンソール、携帯電話用ソフトウェア、テレビ向けソフトウェアの改良に取り組んでいる。
一方、技術の世界でのLinuxとGoogleの存在感はますます大きくなっている。しかし、力で直接ねじ伏せるような無節操なやり方では非難されるので、こうした勢力に対抗する新しい方法を考えなければならない。
Intelでも、サーバ、デスクトップ、ノートPC関連の各プロジェクトで軒並み遅れが生じている。一方、通信関連事業部は赤字続きで、携帯電話分野でTexas Instrumentsに対抗すべく立ち上げた事業も遅々として進んでいない。昨年は、フラッシュメモリ部門から利益をしぼり出そうとしたが、かえって顧客を失う羽目に陥った。
しかし、開発の最前線は、本社に比べてよくやっているようだ。Pentium 4の基本アーキテクチャは米国内で設計されたが、発熱量が多すぎることが分かった。このため、来年の出荷予定は延期されてしまった。しかし一方では、イスラエルの設計グループがノートPC向けチップ「Pentium M」の開発に成功している。2006〜2007年頃には、このラボから生まれたコンセプトが同社のデスクトップ向けチップの基礎になるだろう。
もちろん、IntelとMicrosoftのこうした現状については別の見方もできる。Longhornは、Windowsの過去3バージョンの中で、最も大きなアップデートである。これは、ある意味で、Windows 95の時と似ている。Windows 95も繰り返し出荷が延期されたが、結局はデスクトップを大きく様変わりさせることになった。
それに、Microsoftは、ここ1年半ほど、IT化が遅れている諸外国との関係構築に力を入れている。これは、将来IT化が予想される有望な市場でLinuxの導入を阻止するための防波堤となるだろう。Microsoftは600人近くの社員に「国家技術担当」とか「公共部門担当ディレクター」とかいう肩書きを与え、ブラジルなどの政府の役人たちに、ソフトウェア教育の問題、貿易や知的財産の法的規制に関する情報を提供している。
このようにMicrosoftが海外へ触手を伸ばすと米国内やヨーロッパ諸国から非難されることが多い。しかし、グローバリズムの波に乗り遅れまいとするヨルダンやポーランドなどでは、同社の援助を歓迎している。
「われわれはこうした国々に自力でソフトウェア産業を立ち上げる方法を教えている」とMicrosoft公共部門担当シニア・バイスプレジデントのMaggie Wilderotterは語った。
一方、Intelのほうも出荷の遅れが続いてはいるが、2000年に起こったチップのリコール騒ぎやRambus関連の問題に比べればたいした問題ではないとも言える。両社の社員の知的レベルと全体的な競争力をあなどることはもちろんできない。
しかし、大企業病は依然としてそのままだ。確かに、MicrosoftとIntelは、勤勉な社員を抱え、よく組織化されてはいるが、常に三方あるいは四方の敵に対処しなければならない。
「Intelが新しいプロジェクトにより多くの人員を割り当てて開発期間を短縮しようとしていることが、あらゆる面から見てとれる」とRaymond JamesのアナリストAshok Kumarは書いている。「この戦略は、生産性向上の度合いが低減するレベルにまで達してしまっているようだ」(Kumar)
ローマでは、勢力範囲をあまりに拡大しすぎたため、優秀な兵力をもってしても対応できなくなった。紀元後395年、最後の偉大な皇帝Theodosiusが亡くなると、帝国は2人の息子ArcadiusとHonoriusによって分割統治されることになる。
「Honoriusは情熱もなく、才能もなかった。彼はすぐに(正式な)支配を断念した。そして、家禽(かきん)にえさをやることが唯一の日課になってしまう。彼はほどなく皇帝の座を辞し、堅実で巧みな後見人Stilichoにすべてを委ねてしまう」とGibbonは記している。
MicrosoftとIntelは確かに強大である。しかし、Steve Ballmerが鶏にえさをやり始めたら、その終焉も近いかもしれない。
筆者略歴
Michael Kanellos
CNET News.comのエディター。担当分野はハードウェア、科学・調査関連、およびスタートアップ企業など。コーネル大学とカリフォルニア大学ヘイスティング校法律学部を卒業、過去には弁護士や旅行関係のフリーライターとしての経歴も持つ。
(私のコメント)
最近はIT関係のことを日記に書くことはなくなりましたが、2000年頃の「IT革命」の呼び声が高かったのに、最近ではITバブルの終焉と共にパソコンに対する技術的興味は薄くなってしまった。最近ではリナックスがどの程度改良されたか雑誌などの試用版を試している程度なのですが、あと数年したら使い勝手もウィンドウズに追いつくだろう。
しかし最近では特に目新しい技術的進歩も、画期的なソフトの登場もなく、HDDなどのメディアの大容量化とCPUの高速化が進んでいるだけで、パソコンとしては成熟化が進んでしまったのだろう。新型のパソコンを見てもどれも違いはなく、価格競争の泥沼に陥っている。
その中でマイクロソフトとインテルだけは一人ぼろ儲けをして、IT分野で世界を征服した。日本の家電メーカーもパソコンをゲームマシンと位置づけた戦略が仇となり、ウィンテルにTI市場を独占されてしまった。日本メーカーはハードもソフトも手も足も出せなくなり組み立て屋になってしまった。得意分野のゲームマシンも停滞してしまった。
マイクロソフトもインテルも袋小路に入ってしまって次の戦略が見えてこない。世界市場を制圧して強力な支配力はあるが、もはやこれ以上領土を広げる世界もなく、ゲームや家電分野に触手を伸ばしてみるものの文化が違いすぎる。しかも領土内でも少し油断をしていればリナックスやグーグルが暴れ始めた。
現代のウィンテル帝国もアメリカ帝国も状況はよく似ている。昔のように力でねじ伏せることは世界から非難され現代では出来なくなっている。アメリカがウィンドウズならヨーロッパはリナックスでありアメリカの基軸通貨のドルをEUのユーロが脅かし始めた関係にそっくりだ。古代ローマ帝国がカルタゴをやっつけるようなまねは出来ないだろう。むしろゲルマンの蛮族がローマ帝国領内を犯し始めた頃とよく似ている。
ウィンドウズとリナックスの戦いもローマの正規軍とゲルマンの蛮族の戦いによく似ている。リナックスの会社を叩きのめそうにも会社が存在しないのだからゲリラによく似ている。オープンソースだから版権も買い取れない。今はとるに足らなくとも将来はローマ帝国を滅ぼすことは間違いないのだ。
アメリカ帝国もローマ帝国も皇帝が世襲化されるようになってから衰退が始まった。ブッシュ大統領も二代目であり現代のコモンドゥス帝にあたるだろう。それまでの皇帝は優れた人物を養子を迎えて後を継がせたが、血のつながったバカ息子が継ぐようになってからおかしくなった。現在の馬鹿ブッシュもアラブのゲリラに苦しみ始めている。
マイクロソフトもリナックスというゲリラを退治する手段を持たない。圧倒的な技術力の差をつけるしかないがパソコンはすでに成熟産業だ。老いたる大帝国は辺境の蛮族との戦いにも敗れるようになり内部崩壊して滅び去るのは歴史が証明している。やがてはスティーブ・バルマーもブッシュも鶏に餌をやるようになるのだろう。