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[焦点]政府内にブッシュ再選期待、ケリー政権でも強いドル政策不変か [ロイター]【日本政府の対米観】
http://www.asyura2.com/0406/hasan36/msg/1130.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 10 月 06 日 19:31:52:Mo7ApAlflbQ6s
 


2004年 10月 6日 水曜日 17:26 JST


 吉川 裕子編集委員


 [東京 6日 ロイター] 小泉首相に投票権があれば、盟友・ブッシュに間違いなく一票を投じるだろう──。政府部内には、ブッシュ米大統領再選期待が潜む。ブッシュ大統領再選が阻まれた場合、野党民主党からは、米国追随の安全保障政策に批判が高まるのは必至だ。

 しかし、民主党ケリー候補が勝利した場合でも、政界や外務省OBなど専門家は、(1)安全保障政策は、手法の違いはあっても、民主党と共和党で基本的に大きな違いがない、(2)保護主義的な傾向をもつ民主党の通商政策においても、貿易・投資構造の変化から、クリントン政権第1期のような貿易摩擦は想定しにくい、(3)強いドル政策は不変──などから、小泉政権、日米関係に大きな打撃は与えないとの見方が優勢だ。


 <懸念は対北朝鮮政策>


 「首相周辺は、どちらかというと、ブッシュ再選を期待している。小泉首相はイラク問題でブッシュ大統領を支持したことで、大統領に貸しを作ったと確信している」──。前在日米国商工会議所会頭のグレン・フクシマ氏は、政府部内の空気をこう語る。

 政治家、財界人、アナリスト、多くの専門家は、両首脳の極めて良好な信頼関係やブッシュ政権の日米同盟重視のスタンスが、過去、通商摩擦によって暗礁に乗り上げた2国間関係を円滑にしていると認める。

 さらに、「ブッシュの外交チームは、日本の安全保障の強みと弱み、できることとできないことが良くわかっている」(添谷芳秀慶応大教授)ことも、小泉外交にとって居心地が良い背景だ。逆に、添谷教授は、ケリー政権になった場合、多国間主義的枠組みで、横並び的に、日本にも他の国と同じことを期待するという前提で取り組まれると、ブッシュ政権より難しくなるかもしれない、という。

 首脳同士の深い信頼関係が、「次の大統領とも作れるかどうかの保障はない」(林芳正自民党参議院議員)。しかし、「ケリー氏は、日米関係の重要性を理解している。しかも、安全保障について、共和党も民主党も基本的に差はない」(柳井前駐米大使)との見方は専門家の間で一致しており、ケリー民主党政権誕生がただちに、貿易摩擦と同盟関係で揺らいだクリントン政権第1期のような困難な時代に逆戻りするとは考えにくいとされる。


 そのなかで関係者が神経質になっているのは、ケリー氏の北朝鮮政策。9月30日の第1回テレビ討論では、北朝鮮の核問題で両候補の対立が鮮明になった。ケリー氏が米朝交渉の必要性を主張したのに対し、ブッシュ大統領は、現在の6者協議の枠組みで十分との姿勢を示した。北朝鮮に影響力を持つ中国を交えてこそ効果的だとも説明した。「この新たな手法が良いのか悪いのは、まだよくわからない」(添谷教授)ものの、北朝鮮問題でブッシュ政権とスクラムを組んできた日本にも影響を及ぼしそうだ。


 <強いドル政策は変わらず、人民元問題も段階踏まえた現実的な対応か>


 市場関係者が最も注目するのは、ケリー氏の保護主義的な色彩が強い経済政策。労働組合を支持基盤とする民主党の政策綱領では、日本の自動車市場や中国のハイテク市場などの貿易障壁撤廃が名指しされた。スーパー301条発動もちらつかせ、中国や日本への強硬姿勢が際立った。自国に不利になる人為的な為替操作にも批判的で、外為市場では、ケリー民主党政権下では、円高圧力が強まるとの思惑が強い。

 経験則的にも、日本総研によると、過去の米大統領選とドル円相場の推移をみると、カーター政権、クリントン政権・第1期には、就任後2年近く、円高ドル安が進行している、という。


 しかし、日米通商問題は、貿易・投資構造が変化し、米国の最大の貿易赤字国が日本から中国に転じるなど、経済実態が変わったことが、90年代のような摩擦につながらない構図を作っており、柳井前駐米大使は、「クリントン政権時代には摩擦がたくさんあった。しかし、今度また民主党政権になったら、同じことが起きると考えるのは間違いだ。事態が変わった」と述べている。

 また、自民党から派遣されて7月の民主党大会を視察した林芳正参議院議員も、「通商政策や経済政策は、民主党政権のほうが共和党政権より、多少厳しくなる可能性はある。しかし、若干で、その程度のことだ」という。


 為替政策については、「政権交代しても、(強いドルを志向する)通貨政策は変わらないだろう」(林議員)。民主党政権でも円高ドル安が加速しないとみるのは、ケリー氏の経済政策が、ルービン元財務長官を中心とするルービン・チームで検討されているためで、なかでも、財務長官候補で名前が挙がっているロジャー・アルトマン氏(クリントン政権での財務副長官)は、「ストロング・ドル(強いドル)の権化のような人だ」(林議員)という。


 どちらの政権になっても、米通商問題の火種となりかねない中国との関係では、「米国が通商交渉として狙う国が日本ではなく中国に向かうとして楽観視する声もあるが、中国に進出している企業への影響は注意しなければならない」(みずほ総研主任研究員、安井明彦氏)。

 事実上固定相場となっている中国人民元問題についても、安井氏は「ケリー政権になれば、選挙戦の名残でより厳しいことが言われる。ただ、実際の落としどころやタイムスケジュールは、その時の経済情勢による。結果として、ケリー政権も現実的な修正が迫られる」と指摘。

 金融機関の不良債権問題、その裏にある国有企業改革、失業問題などと複雑に絡むため、「共和党政権でも、民主党政権でも、基本的に、順番を踏んで徐々に解決していくという考え方に変わりはない」(林議員)とみられている。


 <9月雇用統計、8日・13日の討論会の材料に>


 米大統領選で外交や安全保障問題が主要な争点になるのは、ベトナム戦争以来、初めてのこと。9月30日の第1回テレビ討論会直後の世論調査では、民主党ケリー候補が追い上げ、現職ブッシュ大統領と接線を演じている。

 選挙戦終盤の注目材料のひとつは8日に発表される9月雇用統計。前月比10万人を超える雇用者数の増加が達成されるかどうかは、両陣営にとって、同日のテレビ討論会、経済・内政全般をテーマとする最終13日の討論会での格好の材料とみられている。


 ※(ロイター通信日本語サービス編集部 吉川裕子編集委員 ロイターメッセージング: yuko.yoshikawa.reuters.com@reuters.net、Eメール:yuko.yoshikawa@reuters.com)


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