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シティバンク在日支店、成長戦略を練り直し ＰＢ部門業務停止…有力収益源断たれ
大手行、流出顧客狙う／外資系、ヘッドハントも
プライベートバンク（ＰＢ）部門の業務停止命令を受けたシティバンク在日支店の行く末が金融業界の注目を集めている。シティにとって日本のＰＢ部門はアジアでの収益拡大を目指すモデルケースだったが、命令により、来年九月末で営業終了となる。日本市場での成長戦略を描けなくなったシティは新たな対応を模索することになりそうだ。（小雲規生）
≪違法すれすれ≫
シティバンクが日本でＰＢ事業を始めたのは昭和六十一年から。取引できるのは、純資産三億円以上のごく限られた富裕層のみだ。
ＰＢ専門支店である丸の内支店は、皇居に面した千代田区内のビルに入居。ビルの外部に支店の存在を示す看板などは見当たらないが、十階すべてが丸の内支店として使われ、じゅうたん張りのフロアは品の良いホテルのような落ち着いた趣だ。グループのシティコープ証券東京支店やシティトラスト信託銀行などと連携して、総合的な資産運用コンサルティングを行ってきた。が、こうしたサービスは金融の兼業規制が厳しい日本では、違法すれすれ。ある大手行幹部は「シティは銀行、証券、信託の入り口は別々でも中に入れば同じ。内部管理が十分でないという印象があった」と指摘する。
その実態を、金融庁は「顧客や取引内容の事前調査を行わず、マネーロンダリングと疑われる取引を許していた」と告発。海外不動産や海外生命保険、美術品の売買仲介など、銀行法で認められていない取引などの違法行為を繰り返していたとし、平成十七年九月三十日付でＰＢ部門全業務の停止を命じた。
≪アジア試金石≫
シティについて、ある金融関係者は「日本では外資系金融機関は富裕層向けサービスが充実しているという錯覚があるが、シティはＰＢのノウハウが豊富なわけではない」と指摘する。
にもかかわらずシティ上層部には、日本でのＰＢ部門に対する期待が高かったようだ。
金融関係者は「シティはアジア市場で、個人部門を伸ばすことができず、代わりにＰＢ事業を拡大させるつもりだった。日本はその試金石として、成功が期待されていたようだ」という。それを裏付けるように、ＰＢ部門の管理職には厳しいノルマが課され、部下への締め付けも厳しく、こうした背景が顧客への違法サービスにつながったとみられている。
≪ライバル思惑≫
シティは今後一年かけて既存のＰＢ顧客の定期預金や外貨預金などを解約。「預かっていた資産の新しい運用先は、個別の顧客と相談しながら決める」（広報担当者）ことになる。このため、金融業界は「シティから流出する顧客の受け皿になるチャンス」（信託銀行幹部）。ある大手行幹部は「シティに口座を持つ顧客からかなり問い合わせがきている」と明かす。また、外資系金融機関の間では、シティのプライベートバンカーにヘッドハンティングをかける動きもある。
シティの〇三年度決算は、消費者金融事業の貸し倒れ損失の計上などで、最終利益は前年度比３２・６％減の七億四千二百万ドル。シティ全体の最終利益に占める日本市場の割合は〇一年度の７・７％から〇三年度は４・１％まで縮小している。
今回の日本のＰＢ部門の業務停止で、シティは有力な収益源を断たれたうえ、個人部門でも新規顧客からの外貨預金受け入れの一カ月停止を命じられており、「営業的にはこちらの処分の方が痛い」（金融関係者）とも。シティは今後、日本市場での成長戦略を練り直す必要がありそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/05kei002.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。