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静かなオイル・ショック(運用市場化した原油市場) ☆☆ [住友ゴールド]
http://www.asyura2.com/0406/hasan36/msg/1088.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 10 月 04 日 17:54:02:Mo7ApAlflbQ6s
 


原油市場に注目が集まっている。

今回は、バレルあたり50ドル台乗せで話題としてホットなので、予定を変
更してこちらを取り上げましょう。中国上海紀行は改めて取り上げましょ
う。

当欄では折に触れ商品市場をターゲットにしたファンドの設定が増えている
ことを指摘してきた。いまでは多くのメディアが指摘しているが、ヘッジ・
ファンドの設定が急増している。日本国内でもついに個人を対象にした小口
化したヘッジ・ファンドの募集も始まるという。これまで「ファンド・オ
ブ・ファンズ」というような、小口化した場合、果たしてそれが運用効率上
いかほどの成果が得られるのか疑問に思われるような、いわば投資家の興味
を引くためにお茶を濁したような商品が多かった。それを思うと一歩前進と
いうところか。

ヘッジ・ファンドは投資環境がどうであろうと「絶対収益追求型」の運用ス
タンスを取るが、それが「絶対に収益が上がる」型を意味するものではない
ので、誤解のないように。

先週末、ヘッジ・ファンドの動向に詳しいその手の専門家の方に直接話を聞
く機会があった。それによると、この上半期(1−6月期)の業界への新規
資金の流入は世界全体で800億ドルを超えるということだった。この金額
は昨年1年間の増加額を半期で超えるものである。しかも03年7−9月期以
降、四半期ごとに増加のペースが増しているらしい。

こうした運用マネーの一部が原油市場に投じられているわけだ。

彼らが買いに入るには、相応の理由があるわけだが、まず需給が締まってい
ること。広く知られているように中国、インド、ブラジル(いわゆるブリッ
クスBrics)など新興国での需要が加速し、それが好調な主要国需要に上乗せ
られ、OPECなど産油国の供給余力に懸念が出てきたというものだ。需給
が締まると生産者(供給)側が強くなるのは世の習いだが、取引参加者は
「買い材料」として供給側の障害になりそうなものを一生懸命探すことにな
る。それがこの局面で価格の刺激材料に最もなり易いからだ。

曰く、ロシア石油大手ユーコスの経営危機と供給ストップ、ベネズエラ、ナ
イジェリア、サウジ、(言うまでもないが)イラクの政情不安、消費国での
商用原油備蓄の低下、OPECの増産限界懸念、(米国の石油精製施設が集
中する)メキシコ湾岸への連続した大型ハリケーンの襲来・・・・・・。

材料の中には一過性のものも含まれ、特にハリケーン襲来などはそれにあた
るが、これらの材料が複合されて50ドル台に乗せてきた。今の原油相場を
表すに相応しい言葉は「モメンタム」だろう。理屈抜きの勢いである。これ
は価格の主導権をファンドが握っていることでさらに強調されている。彼ら
は「トレンド・フォロー」というが、動く方向に付くという修正がある・・
あるいはそういった運用手法を採るものが多い。したがってある局面では一
方通行的な価格展開になりがちだ。先に触れたように、流入資金が増えてい
ることもある。

このことに関しても興味深い話がある。

この燃える原油相場に欧米の投資銀行のなかで新規参入するところが出てき
ているというものだ。ドレスナーやABNアムロなどヨーロッパ系が目立つ
ということだが、もともと米系の独壇場に乗り込んでいるという。それに対
して有力行はトレーダーやアナリストなどの増員を進めているらしい。勢い
有力な人材の引き抜き合戦を展開しているという。

先週、米系証券のゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、モルガ
ン・スタンレーの6−8月期の決算を目にしたが、前2社が前年同期比増益
で、モルガン・スタンレーが減益という結果になっていた。そして増益2社
は不振をかこつM&Aや引き受け部門などをコモディティのトレード益でカ
バーしたということだった。その間の値動きを考えると、それはそのまま原
油トレードの差ということになる。

これを読まれた多くの方が感じると思われるが、過熱していることは否めな
い。株も債券も為替市場も狭い範囲のレンジ相場で極端な運用難となってお
り、稼げる分野へ集中という事情もあろう。90年代の株式市場全盛の時期
に、多くの金融機関が金を中心にコモディティ部門を縮小するということが
あった。したがって、その反動が来ているともいえるが、この分野が投資対
象として一定のシェアを固めつつあるのは事実である。それでもこの先、乱
高下を続けながらも価格の強調展開が続くのならば、バブルの臭いが漂うこ
とになる。

考えてみればWTI原油のWTIとは、ウエスト・テキサス・インターミデ
ィエートの略である。もともとはヒューストン地区の価格指標にすぎないも
のが国際指標として持てはやされている。実需にして1日あたり70万バレ
ルに過ぎない原油の市場取引(ペーパー取引)の量が、足元のNY市場で1
日23億バレルにも膨れ上がっている。

原油という商品を借りた運用市場が出現しているわけだ。そしてその結果が
我々の生活にも影響を与える。

新しい形のオイル・ショックと言えないか。(9月30日記)


金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資にあたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。


http://www.sumitomo-gold.com/market/index.html

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