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2004年 09月 30日 木曜日 21:52 JST
[東京 30日 ロイター] 財務省の牧野治郎理財局長は、国債大量発行下での国債管理政策の展開に関し、10月から導入する国債市場特別参加者(日本版プライマリー・ディーラー)制度を早期に軌道に乗せることが第一だ、と述べた。また、保有者層多様化の観点から、期間10年未満で固定金利の新たな個人向け国債の導入を検討していることを明らかにするとともに、国債発行計画について、20年利付国債など超長期国債に対する下期の増発ニーズは、昨年ほど強くない、との認識を示した。ロイター通信とのインタビューで語った。
インタビューの一問一答は以下の通り。
<小泉総理から、谷垣大臣に対して国債管理政策に取り組むよう指示があったようだが>
谷垣大臣の認識は、昨年に出した「国債管理政策の新たな展開」で方向性を示したと考えており、それを着実に実施していくということ。それに加えて特別な指示があったということはない。
新たな展開の中では、国債市場特別参加者制度が最も重要であり、それを軌道に乗せることが第一。加えて、国債保有者層の多様化、既存の債務管理などを着実に進めていきたい。
<国債管理政策の目玉といえる国債市場特別参加者制度が10月からスタートするが、導入の狙いとメンバーに期待することは>
現在はシ団(国債引受シンジケート団)が組織されているが、シ団制度はほとんどの国で行われていないことに加え、10年利付国債しかカバーしていない。いろんな年限の国債の安定消化、流通の円滑化に役立つ仕組みが必要であり、諸外国の例にもならい、導入することとなった。
特別参加者になるためには、応札・落札責任を果たしていただくことが第一。上半期の状況を見ると、積極的に応札・落札に取り組んでもらっており、特別参加者制度の仕組みはうまく機能していると思う。
<シ団制度の今後は>
シ団は、プライマリー・ディーラー制度が定着し、うまく機能することがわかれば廃止の方向だ。そうした方向に向け、徐々に競争入札の割合を増やしている。引受手数料の圧縮もしていかなればならないと思うが、来年のことは決まっていない。
<特別参加者の資格となる新たな入札制度の導入時期は>
第II非価格競争入札は10月の入札から実施できる。ただ、第I非価格競争入札と流動性供給入札は、日銀のシステムが整い次第、実施していくことになる。
<特別参加者制度に参加するために、入札自体が過熱・割高になりやすい、との指摘もあるが>
今上期はメンバーとなるために応札・落札が必要となる最初の半年であり、そういった面がなかったとは言えないが、弊害があるほどではない。定着してくれば、いずれ落ち着いてくる。
<新たな個人向け国債の具体的な商品性は>
年限や中途換金のあり方など細部については検討中で早く決めたい。来年度中にも発行できればと思うが、日銀のシステム手当ての問題もある。方向としては、現在の個人向け国債は変動金利であり、新たなものは固定金利だろう。年限も現在の10年より長くするのはどうか。
<2004年度下期の15年度変動利付国債と物価連動国債の増発を決定したが、こうしたインフレ対応型債券のシェアを来年度以降も上げる方向か>
今の時点で言えば、下期から増やしたように、15年変動利付債と物価連動債に対するニーズは強い。我々としても国債の多様化が図れ、そういう声には応えていきたい。超長期債については、(下期の増発ニーズは)昨年ほどには強くない。今年度にかなり増やしており、今のところ市場の要望には、今回の15年変動利付債と物価連動債の増発で一応は応えたと思う。いずれにしても、今後どうなるかは、国債発行量が決まり、その時の市場の状況から決定していくことになろう。
<来年度の国債発行計画の基本方針は>
超長期、長期、中期、短期でバランスを取っていく。その際にマーケットの声も良く聞いていく。
<これまでの借換債の前倒し発行の貯金分を05年度から配分すれば、市中消化額が減らせるとの声もあるが>
市中消化はなだらかに増えたほうが良いので、借換債の前倒し発行は、それを調節するための道具ではある。来年度の市中発行額など見渡したうえで結論を得る。
<国債管理政策では、長期金利の上昇を抑制することはどの程度重要か>
人為的に金利水準をどうこうするのではなく、金利はマーケットが決める。谷垣財務相も、急激な金利の変動は好ましくないと言っているが、金利水準についてコメントしたことはないはずだ。保有者層の多様化などオーソドックスな国債管理政策を行い、中長期的に発行コストを抑制することはある。
<郵貯・簡保の財投債引き受けは、2007年度に経過措置が終了する。市場への影響を勘案し、継続や再開を要望するか>
経過措置終了後も財投債を引き受けて欲しい、といったことは全くない。2007年度になれば、郵貯の財政融資資金預託金残高はゼロになり、資金ギャップを埋める必要はなくなるために、財投債の発行額は大きく減る。(財投債引受が終了しても)マーケットには影響ないだろう。
<今後、国債発行額の増加が見込まれる一方で、財投債の引き受けもなくなる。国債の安定消化にどう取り組むか>
個人や海外の国債保有を増やし、長期的には財政の健全化を進めなければならない。
<国債と日銀について>
日銀は国債マーケットに、よく配慮してくれていると思う。昨年に量的緩和政策の出口論で、金利が上昇した際、出口の条件をかなり明確化している。日銀に対して特に要望はない。
(インタビュアー:伊藤 純夫記者、寺脇 麻理記者)
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