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(2004年9月28日 日本経済新聞(夕刊)「十字路」掲載)
投資比率が国内総生産(GDP)の40%を超える経済の高成長率に持続性はない。1990年代後半、金融危機に見舞われたタイの投資率も40%を超えていた。投資が異常に大きいことで、経済が過熱し、投資インフレや資源制約といった不均衡を招くのである。
60年代の日本経済もそうであったが、発展途上の経済は、投資主導型の成長の行き過ぎから反動的な大不況を繰り返すことが多い。今回の中国経済の場合も、固定資本投資の伸び(名目)が99年の7%から今年の上半期には29%と急増している。投資率もこの間36%から45%に上昇した。ここ3年間の40%台という高い投資率は、ケ小平の改革開放路線に刺激されて経済が過熱した93年以来のものである。
中国経済の過熱と崩壊の可能性を最も端的に示しているのが鉄鋼輸入量の動きだ。輸入と輸出の差である純輸入量は、2002年位までは月間100万トン程度であった。これが今年の2月には300万トンにまで急増した後、7月には90万トンと、わずか5ヶ月で70%も急減している。
中国の貿易相手にとってさらに深刻なのは、今回の場合、単に輸入が急減しただけでなく、輸出が急増していることだ。中国の鉄鋼生産能力は日米の合計よりも大きくなっており、投資バブルが崩壊すると、過剰能力が輸出圧力となり、中国発のインフレが一気にデフレへと転化してくる。
日本経済の成長過程と違うのは、中国の投資主導型の高成長には資源制約という天井があることだ。昨年のような成長は、国際商品やエネルギーを世界的にひっ迫させ、中国の貿易赤字とインフレを生み出す。中国経済はもっとバランスのとれた低成長に移行すべきなのである。
http://www.nier.co.jp/kijikanri/news/news-00529.shtml