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(回答先: 郵政民営化、経営自由度拡大も基本=ヤマト運輸提訴で官房長官 [ロイター] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 9 月 29 日 17:57:43)
ヤマト運輸が、郵政公社の「ゆうパック」の大手コンビニエンスストア・ローソンでの取り扱いや不当廉売の停止を求めて、東京地裁に提訴した。
根拠は独占禁止法19条の不公正取引で、郵政公社は法人税免除や信書業務の独占など、国の関与による有利な立場を利用してローソンに不当な利益を示し、不公正な競争を図っていると主張する。
独禁法24条の差し止め請求の権利を活用して、公正取引委員会に審判を求めるのではなく、直接、裁判所に差し止めを請求した。
07年4月の民営化を目指す郵政公社は矛盾に満ちている。民営化されるまでは、国の関与による有利な立場が維持される。他方、期限を切られた民営化に向けて、事業を黒字化しなければならない。特に郵便事業は、民営化時点で5000億円の累積債務を抱える最大の経営課題だ。
この事態を打開するため、郵政公社は国の関与による有利な立場を維持したまま民間市場に進出することになる。民間の宅配便に市場を奪われた郵便小包の復活を狙って、ローソンと提携した。
民営化に向けた郵政公社の経営努力という面では正しい。しかし、競争条件の不平等が解消されないまま民間企業との競争分野を拡大することは、公正な競争とはいえない。郵政公社の制度設計の時点で包含されていたこの矛盾が、今回のヤマト運輸の提訴となった。その意味で、ヤマト運輸の提訴は当然といえよう。
同様の矛盾は、郵便貯金や簡易保険と競合する銀行や生命保険業界にも存在する。すでに簡保の新製品「定期付き終身保険」は、生保業界の反対にもかかわらず認可された。今後、ヤマト運輸と同様の訴訟が、郵政公社と競合するこれらの業界から起こされることも十分に考えられる。
郵政民営化を最大の課題とする小泉純一郎首相の第2次改造内閣が発足した。郵政民営化法案をめぐって、現状維持を求める与党議員と民営化を進める内閣との綱引きが予想されている。
しかし、ヤマト運輸が提示した問題は、政界の綱引きとはまったく次元が異なる。公的部門の金融の肥大と非効率という金融構造のゆがみに無関心なまま、既得権益を維持しようとするものではない。そうした発想とは逆に、市場経済における公正な競争のあり方をめぐる争いなのだ。
ヤマト運輸の提訴で、国が関与する郵政公社と民間企業との公正な競争のあり方は、裁判という透明な場で争われることになった。望ましいことだ。裁判を通じて独占禁止法に対する理解が進み、公正な競争に対する関心も高まるだろう。郵政公社という存在の基本的な矛盾も明らかになる。
他方、内閣が進める郵政公社民営化の作業は、もう一つの課題を抱えることになる。単に民営化すればいいのではない。裁判の推移を見ながら、公正な競争を確保しなければならなくなる。日本経済の公正さを高めるためにも、ヤマト運輸の提訴を評価したい。
毎日新聞 2004年9月30日 0時58分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040930k0000m070149000c.html