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『冗談ではなく、消費税の税率が上がると“自動”的にGDPが増大する!!:なんとも奇妙奇天烈なGDP統計手法(SNA)』( http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/377.html )の続きです。
いい加減なGDP統計を基礎に経済政策を考えていたり、いい加減なGDP統計手法に異議を唱えない経済・財政学者が跋扈している現実の恐ろしさを考えていただきたい。
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冗談ではなく、消費税アップだけではなく、公務員の給与(俸給)を増やしてもGDPが増加する。
だから、GDP成長を実現するいちばん簡単な方法は、消費税をアップし公務員の給与を増やすことというトンデモない話になる。
末尾に平成14(2002)年度のGDP(国内総生産と国内総支出)を記載しているので、それに基づいて説明する。(「項目の説明」をまずお読みいただきたい)
(国内総生産)の「雇用者報酬」(264兆円)には、民間企業雇用者の給与・賞与などの人件費が税込み社会保険料込みで計上されているだけではなく、中央と地方の公務員(国会議員などの特別公務員を含む)の俸給(総額)も含まれている。
(国内総支出)の「政府消費」(39兆円)は、公務員の俸給(総額)37兆円がほとんどを占めている。残りの2兆円が物品の購入などで使われたと推定できる。(社会保障関連の支出(移転支払い)は控除された実現最終消費の値で、移転支払いは「民間消費」に加算的に反映されている)
さらに、(国内総支出)の「民間消費」(333兆円)には、公務員の家計が消費支出した金額も含まれている。
GDP統計のなかには、ほぼ35兆円である公務員の人件費に絡む金額がなんと3回も使われているのである。
このような処理の背景には、政府部門を「公共サービス」を供給する主体として考え、それを国民全体が消費するという“考え方”がある。
しかし、公務員の家計も所得税や消費税などの税金を納めているのは事実だが、その税負担を含む所得の原資は民間から徴収した税金である。
(公務員家計が納める税金は、民間が納めた税金の一部が税金として政府部門に還流するもので、税金など公的負担を控除した金額を俸給総額としても、中央と地方の取り分問題は残るが論理的には同じことである)
政府部門を「公共サービス」を供給する主体として考えることに異存はないが、それならば、(国内総生産)の「雇用者報酬」と「営業余剰」から公務員の人件費に相当する金額を控除しなければつじつまがあわない。控除した上で、公務員人件費を「雇用者報酬」に加算するのなら理屈に合う。
「営業余剰」とともに公務員人件費の原資である税金を含んでいる「雇用者報酬」に、公務員の人件費を加算する非合理はご理解いただけると思う。
(公務員の人件費が、1円たりとも所得税や法人諸税で賄われず、すべてが赤字財政支出で賄われているときには「雇用者報酬」に加算しても問題ない)
しかし、それでも、(国内総支出)の「政府消費」と「民間消費」の二つに公務員人件費絡みの金額が2度使われているという不合理が残る。
「公共サービス」は税金を負担した時点で購入されたのであり、その対価(報酬)として公務員所得があり、そのなかから公務員家計は消費を行っていると処理するほうが合理的である。
(「民間消費」から公務員家計を削除し「政府消費」で残すという方法は、そのすべてが消費に使われるとは限らず、経済活動の実態から遠ざかる統計になるので避けたほうがいい)
現行のGDP計算方法であれば、極端なことを言うと、所得税と法人税を70%にし、そのお金で公務員の数を増やすとGDPが“自動的”に増大することになる。
(「雇用者報酬」や「営業余剰」は税込みだからそのままで、増えた公務員所得が加算されるからである)
※ 日本は“役人天国”のように思われているが、人口比でみた数はそれほど多いわけではない。
[人口千人当たりの公務員数比較]
1998年データ(人/千人):政府企業の従業員は除き、国防関係者を含む。但し公社職員は枠外。
日:34.5
米:74.6
仏:75.0
英:55.6
独:56.9
公務員の数が多い(=公務員人件費が多いと考えていいだろう)国のGDPは、その分“嵩上げ”されているのだから、米国やフランスのGDPは、“実数”が知っているものよりずっと小さいことになる。
平成14年度GDPベースで言えば、前回の間接税&補助金を含めて調整すると、GDPは現在のところ次のようになる。
(国内総生産)
雇用者報酬:227
営業余剰: 90
資本減耗: 97
不突合: 7
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GDP 421
(国内総支出)
民間消費: 333
政府消費: 5
固定資本: 119
在庫投資: 0
純輸出: 6
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GDP 463
※ 国内総生産と国内総支出の金額が合わないのは、途中経過であることから起きている不整合である。
これまでの説明経緯から、国内総支出の「固定資本」119兆円から在庫増加を控除した金額と「純輸出」6兆円も削除の対象となる。
それらを勘案すると、国内総支出は338兆円になる。
そして、これが、GDPの総生産にもなるはずである。
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【14年度GDP】
単位:兆円
(国内総生産)
雇用者報酬:264
営業余剰: 90
資本減耗: 97
間接税: 41
補助金: −4
不突合: 7
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GDP 498
※ 項目の説明
「雇用者報酬」は、公務員や銀行員を含む給与・賞与に企業負担社会保険料を加えたものが基本で、退職金や通勤定期券など現物給与も含まれる。役員報酬は含まれるが、「営業余剰」から支払われる役員賞与は除く。
「資本減耗」は、固定資本減耗で減価償却及び突発的事故で失った固定資本。
「営業余剰」は、売上−仕入の付加価値から雇用者報酬と減価償却費(「資本減耗」がそれに相当)を差し引いたもの。粗利益(営業利益)−減価償却費(資本減耗)と考える。但し、帰属家賃や帰属利子など帰属(みなし)処理の営業余剰を含んでいる。
「間接税」は、消費税・酒税・揮発油税・固定資産税・輸入関税など。
「不突合」は、統計的に分類できていないもの。
(国内総支出)
民間消費: 333
政府消費: 39
固定資本: 119
在庫投資: 0
純輸出: 6
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GDP 498
[固定資本内訳]
民間住宅:18
公的住宅: 1
民間設備:71
公的設備: 6
一般政府:23
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合計:119
※ 項目の説明
「民間消費」は、間接税の負担を含む家計消費だと考えるといい。社会保障基金から出ている年金や公的扶助を基礎にする家計の消費を含む。海外旅行での買い物を含む。但し、外国人の国内での買い物は控除される。「総生産」に対応するため持ち家の帰属家賃52兆円が含まれている。民間消費に公務員家計分も含まれている。
「政府消費」は、ほとんどが公務員給与で行政活動で使う物品の購入も含んでいる。
「固定資本」は、固定資本形成で民間及び政府の設備投資・住宅投資・公共投資から構成される。
「在庫投資」は、対象期間の棚卸し資産の増減。
「純輸出」は、財とサービスの「輸出−輸入」。
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