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読売新聞社が日本テレビ放送網のほかに、地方のテレビ局24社、ラジオ局18社の株式を第三者の名義で実質保有していることが、11日までの本社の自主調査でわかった。
テレビ、ラジオ局はいずれも、その株式を一般投資家が市場で買うことができない非公開会社。このうちテレビ局9社とラジオ局3社については、第三者名義分を加えると、総務省令の持ち株制限を超えていた。このため本社は、前預金保険機構理事長で弁護士の松田昇氏を委員長とする調査委員会を設け、問題の全容解明を委嘱するとともに、早急に是正していくことにした。
これまでの本社調査によると、読売新聞グループ本社、同東京本社、同大阪本社は、それぞれ自社名義で地方テレビ局、ラジオ局の株式を保有する一方、本社や関連会社の役員ら個人のべ80人、取引先など他の法人のべ13社名義の株式も実質保有していた。個人名義の中には、グループ本社の水上健也議長、渡辺恒雄会長・主筆が含まれている。
これら第三者の名義により株式を保有しているテレビ局のうち、テレビ岩手、宮城テレビ放送、福島中央テレビ、テレビ新潟放送網、静岡第一テレビ、広島テレビ放送、福岡放送、テレビ大分、テレビ長崎の9社は総務省令の持ち株制限を超えていた。ラジオ局のうち、FM岩手、FMナックファイブ(埼玉)、FMラジオ新潟の3社も同様だった。
同省令は電波法に基づき、マスメディアが他の放送局の株式を保有する場合の基準を定めたもので、〈1〉全国で複数の放送局について20%以上の株主議決権を持つことはできない〈2〉同一地域では複数の放送局について10%超の議決権を持つことはできない――などと定めている。本社は、大阪の読売テレビ放送の議決権を20%以上保有しているため、同省令によれば他の放送局の議決権を20%以上持つことはできない。ところが、テレビ局9社についてはいずれも、本社名義分と第三者名義分を合計した比率が20%を上回っていた。
また、ラジオ局3社については、同一地域で他に10%超の放送局があるにもかかわらず、10%を超えていた。
第三者名義による株式保有は、古いものではテレビ草創期の昭和30年代から行われていた。読売新聞社は、グループ再編を機にコンプライアンス(法令順守)の強化に努め、その過程で第三者名義の株式保有を把握した。対象となる放送局のうち、長崎国際テレビとラジオ局1社については第三者名義を既に解消した。
また、唯一の上場会社である日本テレビについても是正すべきと判断、日本テレビと協議し、同テレビが有価証券報告書の訂正を行った。さらに、福岡放送については制限超過状態を解消するための株式名義書き換え手続きを進めている。
こうしたことに加え、本社はこれまでの調査結果を公表するとともに、一層の透明性を確保するため、今後の調査は社外の専門家による調査委員会に委ねることとした。松田氏は東京地検特捜部長、最高検刑事部長などを歴任した元検察官。委員会のほかのメンバーは、本社と顧問契約のない弁護士らに限る方針でいる。
読売新聞グループ本社・内山斉社長の話「過去からの株式管理に手抜かりがあり、誠に遺憾と言わざるを得ません。自主調査と是正手続きを進めてきましたが、一層の透明性を図るため、社外の専門家による調査委員会に厳正な調査をお願いしました。問題の早急な是正と信頼の回復に最大限努力します」
(2004/11/11/23:07 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041111i411.htm