現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ37 > 661.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
日経ビジネス2004年11月1日号
http://bpstore.nikkeibp.co.jp/mokuji/nb1265.html
シティ在日元代表、米大学に 名門への転身にCEOの謝罪も色あせる
今年5月まで米シティバンク在日支店の代表を務めていたチャールズ・ホワ
イトヘッド氏が、日本を離れて、米国の名門コロンビア大学(ニューヨーク市)
に職を得ていることが明らかになった。
法令違反には「ノーコメント」
ホワイトヘッド氏の現在の肩書は、法学部のディレクター。金融界の出身な
がら、弁護士資格を持つため、学術界に新天地を求めた。シティバンク在日支店
は今年9月、プライベートバンキング部門(富裕層の資産運用業務)で複数の悪
質な法令違反が発覚し、金融庁から支店閉鎖などの処分を受けた。問題に関与し
た社員は今後、訴追される可能性もある。しかし、法令違反を犯した時期の責任
者本人は米国へ逃れて、法学部で教壇に立っていた。
シティバンクは10月22日、金融庁に業務改善計画を提出。米シティグループ
のチャールズ・プリンスCEO(最高経営責任者)がわざわざ来日して、25日に会
見を開いた。会見の中でプリンスCEOは、「問題に関与した職員は既に処分され
ており、12人が退職した」と語った。しかし、12人が懲戒で解雇されたのか、自
主的に退職したのかについては、プライバシーを理由に「全員が自発的に辞めた
わけではない」と答えるにとどまった。
コロンビア大学のホワイトヘッド氏は、本誌の電話での問い合わせに対して
「元気にしている。大学で教えるのは、ずっと前から考えていたこと。実現して
よかった」と語り、シティバンクの処分と自身の転身についての関係を強く否定
した。
シティバンク在日支店の暴走については「私はシティを離れたので、話はシ
ティに聞いてほしい。シティがきちんと応対するだろう」と語る。さらに法令違
反をした組織を率いていた自身の責任については「それについてはノーコメン
ト」と繰り返した。
シティ本社は、金融庁に業務改善計画を提出するのに先立ち、国際部門を指
揮するデリック・モーン副会長と、プライベートバンキング部門の責任者である
トーマス・ジョーンズ氏とピーター・スカテゥロ氏の退社を発表した。日本の不
祥事に対応した処罰人事と言える。
特にモーン副会長は日興シティグループの合弁事業に関わり、日本企業の経
営者との関係も深かった。最近は、米国と日本の大企業の経営者が景気や産業に
ついて議論する「日米財界人会議」の米国側の代表も務めていた。
「日本固有の問題」と強調
昨年11月の財界人会議では、企業経営者が自身の署名により自社の倫理と経
営責任を保証するサーベンス・オクスレー法について話し合ってもいた。これは
米エンロンや米ワールドコムなどの不正事件をきっかけに新しく施行された法律
で、企業のコンプライアンス(法的順守)を厳しく問う内容。米国の証券市場に
上場する日本企業にとっても関心は高い。だが、肝心の米国側の代表会社が日本
で失態を犯してしまった。
日米財界の懸け橋であるモーン副会長にまで責任は及んだ。しかし、本来な
ら責任を徹底的に追及されるべき元在日支店代表は、早々に新たな職場へと羽ば
たいている。もちろん退職した社員の身の振り方は個人の自由だ。とはいえ、こ
れではシティ本社が真剣に原因を究明し、再発防止に取り組もうとしているよう
には思えない。
金融庁は行政処分の際に、シティグループ全体が「過度の収益性重視」に
陥っているとまで言及した。しかし、プリンスCEOは法令違反について、「日本
のプライベートバンキング部門に固有の問題」であることを繰り返した。邦銀幹
部は「シティは日本の金融当局を甘く見ているとしか思えない」と断言する。形
だけの陳謝では、世界最大の金融グループへの信頼は回復しない。