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発見された小型のヒト新種の頭骨化石(左)。右は現在のヒトの頭骨=ピーター・ブラウン博士提供
http://www.asahi.com/science/update/1028/001.html
人類の中で、現代人も含まれる「ホモ属」の新種の化石が、インドネシアのフローレス島で見つかった。身長約1メートルと小型で、脳容積も、はるかに原始的な猿人より小さい。孤島に生息する動物種にしばしば見られる小型化により、ジャワ原人から分かれた新種とみられるという。外敵の脅威のない孤島で、少なくとも約1万8000年前まで生存していたとみられ、長期にわたって我々の祖先と「同時代」を生きていたことになる。
オーストラリアとインドネシアの研究チームが同島の洞穴から、女性と見られる1人分のほぼ全身の骨格や、別個体のあごの骨などを発掘した。島名から「ホモ・フロレシエンシス」と命名。28日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
約700万年前にチンパンジーと共通の祖先からヒト科が分かれた。初期のグループ「猿人」の中から、約200万年前にホモ属(属は、科の下、種の上の分類階級)が登場した。
ホモ属は大まかに、原人(北京原人やジャワ原人など)、そこから進化した旧人(ネアンデルタール人など)、現代人につながる新人(サピエンス種)に分かれる。いずれも猿人より大型化し、脳の容積も大きくなった。
しかしフロレシエンシスは、こうした傾向とは逆に、猿人(身長1〜1.5メートル、脳容積500立方センチ前後)より身長も、脳容積(約380立方センチ)も小さい。だが、歯の形や、頭骨の形態などが原人と共通なため、原人に近い新種とされた。
ヒトは、従来考えられていたより多様な進化を遂げていたことを示している。
同島の周辺地域には約4万年前に新人が進出し、先住のヒトを絶滅させたとされる。しかし同島は大陸や大きな島と隔たっており、海面が下がった氷河期にも周辺の島と陸続きにならなかったため、独特の生態系を保っている。
古い時代に同島に渡ったジャワ原人が、島に適応して小型の新種となり、こうした孤立環境の中で1万8000年前まで生き永らえたようだ。
(10/28 02:06)