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(回答先: ブッシュ大統領のいとこらサイト開始、ケリー氏支持を宣言 [CNN] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 10 月 27 日 01:48:59)
11月2日(現地時間)投票の米大統領選。選挙戦最終盤になってもブッシュ、ケリー両候補の支持率は、きっ抗している。大量破壊兵器は見つからず、イラク開戦の論理は破たんした。明らかにブッシュ氏にとっては逆風だ。それでも、なぜ大接戦なのか−−その疑問を胸に米国各州を歩いた。【ロサンゼルス國枝すみれ】
中西部オハイオ州の看護師ジェイン・ミードさんは、前々回はクリントン氏に投票した民主党支持者だが、今回はブッシュ氏に投票する。「最も大切なのは3人の娘の安全。安全が最重要課題の時に、大統領を代えたくない」という。
義姉のマリーさんもブッシュ支持だ。01年の9・11同時多発テロの翌月に、娘の通う中学校は首都ワシントンへの修学旅行を予定していた。母親たちは真剣に話し合った。「危険、中止しよう」「中止したらテロリストに屈することになる」「でも、自分の子どもを危険にさらすの?」。結局、旅行は延期された。
2人は「セキュリティー・ママ」と呼ばれる主婦の典型だ。有権者が最も気にかける点は「財布への影響」というのは定説だが、今回は「子どもの安全」という母親の気持ちが加わった。マリーさんの夫ジョンさんは「米国が世界の警官でいることに疲れてきた。わたしたちには関係ない宗教戦争に金と命を費やしている」と不満を漏らすが、ブッシュ氏に投票する。「テロ問題はブッシュ氏の方がうまく対処できる」と信じているからだ。
米国では戦争は現職大統領への追い風となってきた。空港のセキュリティーが強化されたり、ロシアやインドネシアでテロが起きるたび、米国人の不安は増幅され、ブッシュ支持が増える仕組みだ。イラク情勢の泥沼化という弱点になるべき事実さえ、得点になりうる。「今は戦時中なのだ」との意識が高まるからだ。
取材中、2人に1人は「日本人はどう思う?」と聞いてきた。そういう時は「世界35カ国でブッシュ勝利を望むのは、フィリピン、ポーランド、ナイジェリアだけ」というメリーランド大の国民世論調査を引用し「仮に世界市民の選挙であれば、ブッシュ氏は落選している」と伝える。この世論調査は新聞にも掲載されたが、多くの市民は「初耳」と驚く。オレゴン州では「米国はなぜ狙われるのか。テロリストは自由で豊かな米国をねたんでいるのだろうか」と真顔で聞かれた。ねたみの気持ちだけで自爆テロが決行できると思っているのか、と驚いた。
ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、紛争の続くパレスチナで、パレスチナ人の犠牲者はイスラエル人の犠牲者の3倍に上る。イラク戦争で死んだ市民は1万3000人以上。しかし多くの米国民はイスラム社会の反米感情の原因に思いをはせることはないだろう。
米国社会の保守化もブッシュ氏を後押ししている。従来、民主党は都市部の労働組合員とマイノリティーを、共和党は大企業、自営業者、白人男性を支持基盤としてきた。が、ここ数年、共和党の経済政策のしわ寄せを受けているはずのブルーカラーまでが共和党支持に傾き始めた。
ワシントン州シアトルの酒場にいたジョン・マーティンさん(56)は、ベトナム戦争を良心的兵役拒否した元ヒッピー。大学中退後、建設現場で働いてきた。その経歴から見てもリベラル派だが「職場の仲間はブッシュ支持が多い。ブッシュの考え方は自分たちに似ているというんだ」といらだっていた。
ブルーカラーの共和党支持の風潮は、一部メディアの保守化、労働組合の組織率低下に加えて「ブルーカラーのインテリ層に対する反発」という指摘もある。米国の庶民にとって、リベラル派のイメージは、自分たちが汗して働いて払った税金で生活している公務員や大学教授、外車に乗ってすしを食べる派手なニューヨーカーやカリフォルニア市民の姿にだぶるというのだ。これがリベラル派批判−−共和党支持の構図になっているのかもしれない。
マーティンさんは「60年代の米国は、自分が幸せなら隣人も大丈夫かと気にしたものだ。今の米国人は大きな家に住み、子どもの大学費用を工面することしか考えていない」と保守化の進む米国社会を嘆いた。
いつテロ攻撃されるのか、なぜ解放したはずのイラク人に襲われるのか−−。取材中、米国人の目の奥に、理解できない世界を前にした、いらだちと不安の感情が透けて見える時があった。ジョン・ミードさんの投票理由は「ブッシュ候補は発言通り行動するから予測しやすい」。単純で分かりやすいブッシュ氏とその世界観が、米国の世論を引き裂いている。
毎日新聞 2004年10月27日 0時44分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041027k0000m070172000c.html