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消えゆく反抗期 中学生の8割「親子円満」? 精神的自立の危機指摘も
中学生の八割が親との関係は円満だと考えている半面、この年代に特有の「反抗期」の傾向が失われている実態が、教育シンクタンク「ベネッセ未来教育センター」(東京都多摩市)の意識調査から浮かんだ。調査をまとめた深谷昌志・東京成徳大学子ども学部教授は「一見、好ましい結果に見えるが、子供が親に依存し続けて精神的な自立が遅れている。社会全体でみると心配な結果だ」と指摘している。
調査は今年二月、関東の中学一−三年生千三百五十五人を対象に行われた。家庭で過ごす時間について半数を超える中学生が「のびのびできる」「安心できる」「楽しい」と回答。「退屈」「イライラする」「孤独」など否定的な回答はどれも半数以下だった。
親との会話は「父親とよく話す」が26・7%、「母親とよく話す」が54・9%。「親は自分を理解している」と答えたのは70・6%で、「親とうまくいっている」は父親とが77・7%、母親とは87・4%を占めた。「今と同じ家庭に生まれ変わりたい」(46・6%)が「生まれ変わりたくない」(21%)を大きく上回り、親を肯定的にとらえ、円満な家庭に満足している姿が浮かぶ。
半面、親はどういう場面で絶対にしかると思うかを複数回答させたところ、「先生の言うことを聞かなかった」「近所の人にあいさつしなかった」「朝家族に『おはよう』といわない」はいずれも10%前後。子供をしからない親たちの姿がうかがえた。
また「どういうことで親を超えたか」の問いに「母親の体力」とした中学生は79・8%だが、半数を超えたのはこれのみ。「付き合い方」「社会の見方」「社会常識」はどれも25%以下だった。
この結果について深谷教授は「これが小学生高学年の調査なら全く問題ないのだが、中学生になると、親に依存していた子供は親を疎ましく感じたり目障りに感じるもので、こうした反抗期固有の傾向がうかがえない。これは高校生への調査でもみられる傾向だ」と指摘する。
そして、「家庭が円満なことを否定する必要はないが、反抗期は子供が精神的に自立する上で不可欠な過程だ。近年の、友達同士のような親子関係や、親元を離れない『パラサイトシングル』などの現象と無関係と思えない。反抗期が消え、ゆるやかに成長するスタイルが定着したともいえるが、反抗期を持たない子供がどう自立するのか心配だ」と話した。
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≪人生観示さぬ親≫
子供の心相談をしている北海道旭川市の小児科医、田下昌明さんの話 「中学生が家庭でのびのびでき親に理解されていると感じることは、子供が親をうまく利用できていると思っていることの裏返し。いまの親は自分の人生観を子供に示しておらず、目に見えない親の大きさを子供が感じていない可能性がある。子供が三つ四つのころから子供の話を真剣に聴き、自分の人生観を示し、子供と生きる目的や理由について一緒に考えることを普段からしていなければ、子供は自分で道を探そうとはしない」
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反抗期 親から自立する過渡期にみられる一過性の不適応状態。子供は親に心身とも依存して育つが、中学生ぐらいになり自立するようになると、自分とよく似た、しかも身近にいる親の存在を目障りに感じたり、無視するなどの態度に出る。自分の殻にこもり、月日がたって自分ができてくると、殻を破って自分を表し、親との関係もやがて修復される。幼児期の第一次反抗期と対比し、第二次反抗期とも呼ばれる。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/04iti001.htm