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千葉邦雄のニュースの落とし穴
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/
バブル崩壊直後の1990年、東証平均株価が大暴落したお正月に、私たちの社会の失業者はまだ134万人に過ぎなかった。それから御用学者やお抱え言論人たちは「 IT 革命」が新たな雇用を産みだすやら、「介護保険制度」が失業を失くすやらが高々と唱えられたが、何の効果もないばかりか、逆に失業者がどんどん増えていったのだ。にもかかわらず竹中平蔵経済担当大臣は、何のためらいも後ろめたさも見せることなく「ニュービジネス分野で500万人雇用創出」すると、ヌケヌケとホラを吹き続けている。
竹中平蔵氏の500万人雇用創出のなかには、たぶん、会社をリストラされて仕方なく自分の家庭の家事手伝いをしているのを、ハウスメードの「家事サービス業」に従事したことにしてカウントしているのではないか、としか思えないような、あまりにも根拠のないインチキ発表なのである。今起きている失業は景気循環による失業ではなくて、社会構造の変質による「ジョブレス」時代の到来なのである。企業がイノベーションを加速し、マネー資本主義が加速してドル帝国主義が日本を占領すればするほど、失業者が爆発的に膨張する。
景気がどんなに回復しても、社会の安定化に最も大切な雇用が限りなく失われ、流動化していく流れになる。今後私たち人間は、地域や社会から確実に排除され、切り捨てられていくのである。すべての企業は利益の計上できるあいだにリストラを過激におこない、すべてのサラリーマンが日常的に「リストラ予備軍」として扱われてしまう。いまやトヨタのカンバン方式が、人間在庫に対しておこなわれているのである。
■4と9の奇妙な白昼夢
でも今回は、これぐらいにしておく。今回私が言いたいのは、むしろ逆の視点なのである。私たちがままならない状況に陥っているのは、むしろ私たちの日常的習慣が、現在という不幸を呼び込んでいる可能性が高いかもしれないのだ。というのは、妙な白昼夢を、椅子に腰掛けてボンヤリしているときに、見てしまったのだ。ほんの一瞬のあいだに、大体こんな感じのあらすじの夢を見たのだ。
部屋がいくつもあるビルの廊下を、私は足早に歩いているのだが、何処からかとても悲しげな声が聞こえてくる。しかし、それが何処からなのかは皆目わからない。しかし私は、何故かいきよいよく廊下を何度も曲がりながらも歩き続けている。自分がどんな目的で歩いているのかはわからない。とにかく違和感のような気分に囚われまま、悲しい声のしてくる在り処を求めて、聞き耳を立てながら早足で歩いている。そこでふと気が付く。どの部屋の番号も、9と4が付いているのだ。いや、そうじゃない。すべての部屋の番号が9と4だけで成り立っていて、それ以外の番号は何処にもないのだ。
なんとも嫌な建物である。目の前にある何回目かの4号室のドアを、私は思い切って開いてみた。その部屋の中には、大勢の男女子供が所狭しと集まっていた。そして皆寂しそうにうな垂れて、その不運をすすり泣いていた。首から上には皆、顔の変わりに4の数字が例外なく乗っかっていたのだ。圧倒されて立ち尽くしている私の傍に、細身の老人風のひとりが近づいてきて、懇願するように、こう言った。「私たちは何も悪いことをしていないのに、4という数字が付いているだけで、これまで虐待され、どの場所でも、嫌われ見捨てられてきた。だから、もしあなたが、不遇な私たち4を大切にして、愛してもらえるなら、あなたの人生を、誰よりも幸運で満たしてあげられると思う。これ、ウソじゃないよ」
4の数字の老人は、私にそれだけ言うと、くるりと背中を向けて、何ともいえない寂しそうな足取りでゆっくりと足を引きずるように皆のいる所に戻っていった。そして次の瞬間、その白昼夢はいきなり消滅してしまう。たぶん、ほんの一瞬のあいだの夢だったのだと思う。私のなかの潜在意識が、うたた寝の意識が混濁した一瞬の隙を狙って、勝手に白昼夢を描いてみせただけなのかもしれない。それとも、いつか何処かで聞いた話を、記憶が勝手に、いささかのアレンジを加えて再生しただけなのかも知れない。確かにほとんどの日本人は、4と9の数字を不吉ととらえて偏見を持ってしまっている。これは間違いない。だとすると、とにかく幸運を呼び込みたいなら、4と9の数字を、どうやら私は大事にしなければならないのかもしれない。
その白昼夢を見るちょっと前に、私は何気なくサン・テグジュペリの星の王子さまの絵本を、ボンヤリと眺めていたのだ。そこには、一匹のけものをのみこもうとしたウワバミの絵が描いてあった。その本には「ウワバミというものは、そのえじきをかまずに、まるごと、ペロリとのみこむ。すると、もう動けなくなって、半年のあいだ、眠っているが、そのあいだに、のみこんだけものが、腹のなかでこなれるのである」と書いてあった。
下にある絵が、そのウワバミが、ゾウを飲みこんでこなしているウワバミの絵である。帽子のように見えるかもしれないけど、ゾウをのみこんだウワバミの絵なのである。4と9とウワバミはもしかしたら親戚なのだろうか(笑)。 やれやれ
うわばみにのみこまれたゾウ
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/20040924.htm
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★ 星の王子さま サン・テグジュペリ 内藤 濯訳 (岩波書店 2000)